9:信者たちは幼いめいを崇め、 【11年前】
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神の子、めい様。それは私たち、すなわち生徒たちの新たな信仰の対象だ。まだ3歳だと言うのに、世界の全ての真理をご存知だと言う。そんなことがあり得るだろうか。そう、めい様はまさに神の子なのだ。もう私たちは何も怖がらない。めい様がついているのだから。しかし、めい様が生まれてからと言うもの、なんだか魅音様のご機嫌が優れないように感じる。気のせいだろうか。まあ、あれだけ優秀な神の子を産まれたのだ、魅音様もお疲れであろう。しかし、私達をあるべき方向へ導いてくれる。
今日?ああ、私はめい様の助言を受けに来たのだよ。実は家族とうまくいっていなくてね。ええと、妻と、娘の3人家族だよ。だけどな、最近、妻が私を毛嫌いしているんだ。どうするべきか、悩んだ末、やはりめい様に伺った方が良いと思ってね。まあ、相談料がちょっとばかり高いがな。だが、めい様は良くも悪くもきっぱりとした助言をして下さるって評判じゃないか。…その様子だとどうやら知らないらしいな、めい様の噂。まあいい、私が話そう。
先々週からめい様が相談に乗られ始めただろ?その時から、めい様は過激な助言を下さることで話題なんだ。家族と縁を切れ、誰にも知られずに引越しをしろ、全財産を教会に埋めろ、指を切れ、あるいは…。
そう、それだよ。今日は日曜日なのに、生徒数29人だ。そう、1人、いないんだよ。わかるだろう?