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6:しかし新たな登場人物に物語は混迷を深め、 【6月29日 昼】
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別に、やりたくてやるわけじゃない。「仕方ないこと」なのだ。考えてみれば俺の人生に、間違いなんてあったのだろうか。あるとしたら、一体どこで、なにが間違いだったのか。そんなことはどうでもいいのかもしれない。いつか誰かが言ってたな。「歴史にifは存在しない。」そう、それなら、今の状況に身を投じるしかないのであろう。世間から見れば極悪非道かもしれない、が、俺から見れば正当防衛なのだ。仕方があるまい。乗っているバンが止まる。自分が緊張しているのがわかる。スライドドアを開けて外に出て、車の後ろに回り込んでトランクを開ける。トランクの扉の下潜る形になる。大きなバックが目につく。ここまできたら、躊躇することは何もない。鼓動が高まる。バックを開けようとして、響いた大きな音に全身が震える。鐘がなったのだ。