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梅雨の終わり、奇跡の始まり  作者: あららったったの
5/23

5:物語は少しだけ進展の色を見せる。【6月29日 夕】

5

私の前にいる2人、みこととなつきは、私に驚き、呆れている様子でした。

「ちょっとあんた、何言ってるわけ」

と言ったのが夏希で、みことは呆れた表情で私を見つめるだけでした。私は夏希に答えます。

「だからぁ、旅に出るんだって」

「いつ」

「今夜?」

「どこに」

「どこがいいかなあ…あ、私、夜景見たい!」

「なんでそんな急に…」

「だって今なら私、なんでもできる気がするの」

夏希は質問攻めをし、みことは口を開かず、ただ私を見つめていました。夏希が続けます。

「あんたさぁ」

「いいんじゃない」

みことが言いました。

「ちょっとみこと?何言ってんのよ」

「今ならきせきは、なんでもできる」

「おぉ〜みことちゃん、そうだよね!なんたってさっきあんなことがあったんだし」

夏希は何も言えません。やった。すると今度はみことが言います。

「どこ行くの」

「どこがいいかなあ、横浜とか?」

「私も行きたい」

「はぁぁああ?」

夏希が思わず大きな声を出しました。自分の大きな声に驚き、口を手で覆い、赤面し、教室内を見渡します。今は放課後ですから、私たち3人の他には1人もいません。夏希はちょっと顔を赤らめたまま、

「あんたたち、横浜ってどこにあるか知ってるの」

私は知りません。みことちゃんの方を見ます。みことちゃんと目が合いました。みことちゃんも知らないみたい。それを察した夏希が強気な口調で続けます。

「横浜ってね、神奈川県にあるんだよ」

「神奈川ってどこ」

「神奈川ってなに」

今度は私たちが同時です。夏希は自信げな表情をしたまま、机から教科書をとりだし、ページを開きます。社会の教科書です。

「いい?私たちがいるの、ここ。」と、日本の地図のページを開いて、言います。その指先は、日本列島の先っちょを指しています。

「千葉だね」とみこと、

「千葉だよ」と夏希。

そして夏希はもう1つのての人差し指で、少し離れたところを指し、いいます。

「横浜、ここ」

「近いじゃん」

私は思わずいいます。横浜ってもっと遠いんだと思ってました。

「だいたい、どっやって行くわけ?」

「私、空飛べる」

「あのなぁ」

「さっき飛べたし」

「じゃあ」

そう言ったのはみことです。

「じゃあ、もう一回やって見せてよ」

「ちょっとみこと」と夏希

「いいよ」

だって飛べるんですもの。私はさっきと同じようにやればいいのです。夏希が私の腕を掴もうとしますが、間に合いません。

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