三夢話
俺達は五人か。俺を含めて五人。あまり人付き合いは得意じゃないんだよな…
ここは古びた洋館の書斎。辺りは真っ暗で部屋の中を照らすロウソクの灯りが俺達の影を不気味に浮かび上がらせていた。
「これいいんじゃない?」
「どれだ?」
「ここここ」
「どうだろうな。慎重に決めたい。なあこれいけるか?」
「うん。大丈夫だと思うよ」
「…」
この書斎にあるのは魔道書らしい。
何千、何万とある魔道書の中から十二冊を選び一冊につき五つの呪術を行わなければならない。
それが俺達がこの洋館を出るための条件だ。
中には途轍もなく危険で、失敗すれば命を取られるかもしれないものが山ほどあるらしい。
慎重に吟味し、俺達にできるものを選び取らなければいけない。
今は合計で二十二の呪術を済ませたところだ。
今のところ体に異常はない。
そう思った矢先、全身に寒気が走る。
執務机の後ろに設けられた洋館には似つかわしくない小さめのスライド式の窓が少し開いているのに気が付いた。
外部に鉄格子を設けたその窓の向こう側には相変わらず夜の真っ暗な風景が映し出されている。
「どうしたの?早く閉めてよ」
「ああ…」
コンビを組んだ相方の少女が俺に催促する。
窓に近付くのも怖い。もしかしたら空いている隙間から手が伸びてくるかもしない。
恐る恐る手を伸ばして何とか閉めれた。
もう嫌だな。気が滅入りそうだ。早く帰りたい。
そういえばこの子とてもかわいいな。俺が知ってるアニメで出てきそうな程だ。
ここから無事に帰れたら、いいんだけどな。