第4話 「寝床を!」
今日はもう疲れた。いろいろと。寝るところくらいはしっかり確保したいものだ。お金は無いけども
「俺本当に金無いからさ、悪いんだけど宿代貸してくれない?」
「なっ、私もあまり持ち合わせがないの! 野宿しましょ!」
しっかりとした所で寝たい! 寝たいが、金がないのなら仕方ない
「いいところ見つけたの!そこで寝ない?」
「本当にいいところなら」
「こっちー!」
ん。俺は疲れてるけど、どこかこいつは嬉しそうだ。気にしないでおこう。それから俺は俗に言う河川敷と呼ばれる場所までついてきた
「あれ、お前さっきいいとこ見つけたって言ってなかった?」
それはあまりにも初めてとはいえないなんとも生活感のある雰囲気
「ておい!絶対お前ここに住んでんだろ!流石にこんなゴミ溜め俺は嫌だからな!」
住んで入るだろうがところどころ本当にゴミがすごい!
「言ったわね!たしかにちらほらゴミがあるけど寝かしてあげるって言ってるんだからいいでしょ!我慢しなさいよ!」
「俺はやだね! 贅沢なことは言わないからせめてベッドの上で寝たい!」
「それを贅沢っていうの! 1つ屋根の下こんなに可愛い女の子が一緒に寝てあげるんだから我慢なさい!」
「それで我慢できるならこんなこと言ってねえし!? 屋根って言ったってただの橋じゃねえか!」
雨の避けのために橋の下に住んでいるのだろう。くっそ。こんなことなら……
「じゃあ好きなとこに行きなさいよ! タガヤにそんな場所があるならね!」
ちょっとたしかに今の俺には寝る場所なんて。贅沢なんて言えないのか。どうしよう、色々言ってしまった! とりあえず
「いや俺はいい部屋だと思うよ?」
「でしょ」
にひひと笑顔を見せ、アイナは川に体を洗いに行った。気づいたが一文無しの俺に贅沢なんて許されなかったんだった
しばらくしてアイナが体を拭きながら戻ってくると
「そこにシャンプーとかあるから。使ったらいいよ。ゴミなんて思わないならねー。」
「ごめんなさい。使わせていただきますっっっ」
俺はぺこぺこしながらアイナが帰ってきた方に行き、少し石の並びが整えられたところを見つけ、そこで体を洗い始めた。少し気になるがゴミのおかげでこちらは見えないようだ。今回は酷いことを言ってしまった。なにかアイナの為になることをして、誠意を込めてまた謝ろう。そんなことを思いながら体を流し終える。そして戻ると
「私の横だけど、我慢。できるわよね」
「深く感謝します!」
少し嬉しい。すぐにアイナの側に横になり、俺はとりあえず今日のことを振り返る
学校が終わり、放課後遊びに誘われ。げーせんでゲームして。転移して。ギルドに行って。あ、『スペル』を確認したんだ
「結局Uってなんなんだよ。」
俺はふと思い出す。タナカ様ってのはどうやってそんな力を。U、全ての攻撃が究極的に。さっぱりわからん。そんなことを考えていると
「タガヤ、これからだけどさ……よろしくね?」
「こちらこそよろしくアイナ」
流石に背を向け寝ているのでアイナが今どんな表情をしているのか分かりかねるが、声のトーンが伺ってるっぽかったのでおそらく喜んでいるのだろう。
それから俺は少し考える。どうして見ず知らずの俺に声をかけた。そんなにパーティメンバーができなかったのか。魔の子とはどういことだろう。俺の中でそれらはきっとすぐに明らかになると言いくるめ深い眠りについた




