第3話「『スペル』の試し打ちを!」
「早く見せろよー!」
「もしかしてその力で魔王ってやつに勝っちゃうんじゃねえか!」
そんなことを言われながらとりあえず広場まで来てみた。
「じゃあここでやるぞー!皆みとけ!俺がこの世界の英雄タガヤ様だ!」
いっちょまえに拳を掲げてみせる
「おおおーーー!!!」
「空に向かってデコピンしてみてくれよ!」
デコピンか。きっとそんなものでもデタラメな力でどーたらこーたらなって雨でも降りだしたりとかできるのだろう
「見とけよ」
皆が言いを飲む中……
「デコッッッピン!」
――――――何も起こらない
俺はここままじゃまずいとアッパーや、正面を向いて正拳突き的なこともしてみる。周りから見ればかなり滑稽なダンスをしているように見えているのかもしれない
「「「えっっっっ」」」
まって超恥ずかしいんだけど! どうなってんの!
「タナカって人、どうやってたの??」
俺が周りにそう聞くと、皆が皆その辺りに落ちてるものを拾い出して。
「てめーなんかがタナカ様を馴れ馴れしく呼んでんじゃねぇー!」
「何が英雄だ!ばかなのか!恥ずかしくないのか!」
超恥ずかしい。し、痛い。色々と投げないで。お願いだから
「何がスペル持ちだ!」
「そういえばさっきてめえ魔の子と一緒にいたやつだろ!」
「これだから魔の子に関わってるやつは!」
アイナが少し悲しそうな顔をする。男達は去っていった。魔の子ってなんだ。それから、ひとまず俺は泣きたい
「ヒール。大丈夫?あんなのは気にしなくていいと思うの!これから、1から冒険者としてレベルアップしていけばいいんだよ!」
そんなことをアイナが。恥ずかしさのあまりに俺は顔を伏せたまま
「わ、笑いたきゃ笑えよ。」
「何言ってんの。これからは仲間なんだから、『スペル』って何のことかわかんないと思うけど、使い方だってこれから少しずつ知っていけばいいんじゃないかな!助け合おうよ!」
え、凄く天使です。にひひと笑うその笑顔。とろけます。日本の都会に歩いていたら絶対に女優などにスカウトされるだろう美貌が俺には眩しすぎます。
「なんかよくわかんないけどパーティに招待してくれてありがとう。こんな俺で本当にいいのなら君の他のパーティメンバーを紹」
「君って家もない感じだよね! あぁ残念だ! じゃあこれから野宿できるとこ探そ?」
「それもいいけど俺としてはさきに紹」
「さーがそ!」
「紹」
「そ!」
パーティは俺ら2人だけなのか。しかもなんか訳ありな感じ。実は少し面倒な奴と仲間になってしまったのかも知れない。
ね!




