プロローグ
小説初心者で初投稿ですのでおかしな表現や誤字脱字等あるかもしれませんがよろしくお願いします。
本文
この地方の4月にしては暖かい日であった。
と言っても平均気温が氷点下になる事も珍しくない地方であるので、暖かいといっても10℃以下である。
ウィルキア連邦は国土を南北半分に分けると北側が冷帯、さらにその北側は寒帯に位置しているため非常に寒い。
このベロゴルスクは冷帯に位置しておりこの街で生まれ育った自分達からすれば暖かいことには違いない。
この暖かさを心地よく感じていた時、不意に部屋の電話が鳴る。
「玄関にセルゲイ様がいらっしゃっております。」
使用人にすぐに通すように伝え、自分はお茶の準備をする。少しすると部屋のドアがノックされる。手に持ったお茶を2人分をテーブルの上に置きながら入るように言った。
「やあ、ヨシフ!!」
ドアが開くなり大きな声を上げる来客。
間違いようのない、セルゲイの声だ。
「元気そうだな、また会社で何かやってるらしいじゃないか、今度は何をするつもりだ?」
自分――ヨシフ・ジュガシヴィリ――は友人セルゲイの最近耳にしたいろいろな噂を聞いてみた。
「大統領閣下に聞かれたんじゃ仕方ないなぁ。」
意味ありげな笑みを浮かべるセルゲイは持ってきた鞄からパソコンを取り出し、少し操作すると画面をこちらへ向けた。
その動きから元々何かを見せるつもりで来たのだろうと察した。
「俺の会社の商品は知ってるだろう、今回持ってきたのはこの2つだ。」
セルゲイの会社は統一航空機製造会社という国営企業で国内の航空機メーカーを子会社に持つ巨大企業であるため、軍民問わず多くの航空機を設計・製造している。
「前にも同じようなことを言ってた覚えがあるんだが?」
「ああ、6年前にI-22を持ってきた時だな。」
I-22は6年前にセルゲイ自身が設計開発を行い自社予算で試作機を開発した最新鋭戦闘機である。
先進的なデザインとステルス性、運動性を持った非常に強力な戦闘機で今年に5月なってようやく量産型1番機が完成し部隊配備されようとしている。
「1つ目は…、こいつだ。」
「――新型艦載機開発計画?」
「これは艦上戦闘機だ、試作機は計画値通りの好成績を出しているぞ。」
セルゲイが持ってきた機体は艦上“戦闘機”。
つまり、純粋な運動性と機動性を追求し空戦に特化させた機体だ。
「今時こんなのは流行らないんじゃないか?」
艦載機には万能性が求められる。
それは空母に乗せられる艦載機には限りがあるからだ。
その少ない艦載機の中でそれぞれに役を分けていたらただでさえ少ないのに更に少なくなってしまう。
機種を統一する事は修理部品の統一という面でも有利である。そう言った面から艦載機は万能性の高いマルチロール機が使用される。
だがセルゲイの開発した新型はそんな時代の流れに逆行する形になる。
「ああ、でもな…」
セルゲイはニヤついた顔を隠そうともせずにこっちを見ている。
「その新型がI-22と同等だとしたらどうする?」
マルチロール機は当然ながら空戦に主眼を置いた訳でわない。
だからI-22のような空戦に特化させた戦闘機と戦えば苦戦は免れないだろう。
「整備コストが高いし対艦ミサイルが積めないが、去年配備されたSi-12と一緒に運用すれば問題ない。」
確かにマルチロール機であるSi-12とならハイローミックスで通せるか…。
画面を下へスクロールさせていくと新型機の図面やスペックが書かれている。
だが書いている内容からある事に気がついた。
「お前、もう試作機を造ってあるのか?」
以前のI-22の時もだったがセルゲイは何時も自分が設計した機体を自社予算で造ってしまう。
その為、統一航空機製造会社の運営する博物館には過去の製品と一緒にセルゲイ作の試作機が大量に並んでいる。
「自社予算だからな、政府から貰った金は使ってないぞ。」
だからと言ってそんなに沢山造るものでもないだろう。
と心の中で呟きつつ改めてセルゲイの資金力に恐怖してしまう。
「もう一つは空対空ミサイルか。」
Rvv-79という新型ミサイルは現在採用されているRvv-77の発展強化版であり、従来型が射程94kmに対し新型は120kmと大幅な射程延長が図られている。
それでありながらサイズは従来型とほぼ変わらない。
確かにいい買い物ではある。
「更にこいつの改良型は艦載して個艦防空ミサイルに出来るようにしてあるんだ。」
「まあ、検討はしておくよ。」
そう言うと直ぐにセルゲイはパソコンからUSBメモリを取りテーブルの上に置く。
「よし、伝えたいことは伝えたいから俺はそろそろ会社に戻ろうかな。」
セルゲイはそう言いながら立ち上がり窓の外を見る。
「今日は雪が降るなんて聞いてないぞ。」
自分も立ち上がり外を見ると確かに雪が降っていた。
「結構降ってきてるな、全く今日は運がないぜ。」
次の瞬間、窓の外から強烈な閃光が走り、思わず手で目を覆い床に伏せた。
薄眼を開けて隣を見るとセルゲイも同じように手で顔を覆っている。
「なんだこれは、核攻撃か!!」
「知らん!!」
思わずセルゲイに怒鳴りつける。
核攻撃であるならばもう既に俺たちの体は燃え上がり影を残すだけとなるであろう。
だが、未だに熱線は来ないし爆風も来ない。
これからどうなるのか、ここで死ぬのか、それさえも分からず私は意識を失った。
如何でしたでしょうか?
誤字脱字報告や感想等どんどん受け付けていますのでよろしくお願いします。