やっちゃった…(・ω<)
それからは何事もなく、いや、いろいろあったけど、五歳になり、お勉強しなければならないそうです。
まぁ、私は深く考えることが、音楽を除いて苦手でしたが、お母さんの教える勉強は、とっても分かりやすいです。
「はい、じゃあハーティア?この世界には、どんな種類の人種があるか覚えている?」
「あい!人間種と、獣人種、森の民に石の民!!」
「はい、よく出来ました♪じゃあ〜〜…獣人種には分類分けがされています。どのように分類分けがされていますか?」
「うんと、うんと、10種類の種族に分かれてるの!!それで、10の種族は髪が白くて、上がっていくごとに、青、赤、緑、黄色、ピンク、茶色、オレンジ、紫、黒と白のしましまなの!!」
「まぁハーティア!!すごいわ〜♪よく出来ました!!」
「えっへんなの!!」
おっと!?今私のしゃべり方がキモいと思ったそこのあなた!!
この喋り方は、なんとか喋ろうと努力した結果癖になっただけだから気にしてはいけない!!
「それじゃあ、私たち郷の住人はみんな青みがかった緑色です。私たちの種族は、一体なんでしょう?」
「えっ!?習ってないの!!だからわかんないの…」
「そうねぇ、答えは、どれでもない、でした!!」
お母さんはどや顔でそう言った。
「ええ!?……不正解だったから、トライルはお預けなの?」
実は、私が勉強をしなかったのをみかねたお母さんは、質問に答えられないと、その日の音楽の時間を取り上げるという暴挙にでたのだ!!
「今回は私がハーティアのしょんぼりした顔が見たかっただけだから、セーフよ〜♪」
「むかつく!!むかつくの!!理不尽なの!!」
「あぁ、怒った顔のハーティアも最高よ!」
ダメだ、ぜんぜん勝てる気がしない…
「もういいの……お母さんは、イジワルなの…」
「あぁ、いじけてるハーティアも最高よ!」
どうやら、肉体年齢に精神年齢が合わせられてるようで、ぜんぜん感情をコントロール出来ないのです。
「もう、お母さんなんて、お母さんなんて!!大っ嫌い!!なの〜〜〜!!うわぁ〜ん!!」
私は、お母さんに無情なる宣告をつきつけてお家からとびだしました。
「……えっ?ハ、ハー……ティア?」
お母さんは相当ショックを受けているみたいでしたが、とびだしたわたしには、それに気がつくことはありませんでした。
「でね、でね!?お母さんったら、私が怒ってもいじけても、『怒ってるハーティアも最高よ〜♪』っていって、謝ってくれないの!!完全にバカにされてると思うの!!ねぇ、フラン大先生、聞いてるの!?」
「聞いてる聞いてる。というか、君の音楽教室の時間はあと三時間後だ。よりにもよって自宅に押し掛けるなんて……」
私は、この憤りを誰かと共有したくて、フラン大先生の自宅に押しかけています。
「それより!それでね、それでね!私はついにいってしまったの!!あの禁句を……」
いきなり声をおとして下を向きながら話し出したわたしに、その雰囲気に圧倒それたフラン大先生は後退りします。
「ごくり……な、なんていったんだ?」
おそるおそる聞いてくるフラン大先生に、勿体ぶりながら私は教えて上げました。
「それは、ね?………『お母さんなんて、大嫌い』…だよ?」
「ひやあぁぁぁああっ!!」
どうやら大先生は、怖い話が苦手なようです。
怖い話のような雰囲気で話しただけで怖がるのんて、相当だよ?
「それでね?家出だと思うのこれは。だから、今日は止めてほしいの♪」
めい一杯ぶりっ子しながらそう言うと、幼女趣味なのか疑いたくなるくらい悶えるフラン大先生。
「やめろ!!お前みたいな可愛い謎生物が、その力を使うな!!私を殺す気か!?」
「そんなつもりはないの。でも、泊めてくれたら……」
そういって私は、更なる爆弾を投下するべく、服を少し着崩して、色めかしくフラン大先生ににじりよります。
「や、やめろ!!やめてくれ〜!」
やめてと言いながらどこか先が気になる様子のフラン大先生。
アステリアさん、その御業をお借りします!!
「今夜は、寝かせないの♪」
そういいながら、指を腰から胸、そして首筋にかけて這わせ、耳元で可愛く囁くと、フラン大先生の耳をハムっと唇で優しく噛みました。
「あ、あぁぁぁあ……」
先生は、身体中紅潮させながらプルプル震えています。
一度身をもって味わっていますから、そのお気持ち、よくわかります。
大先生の今の怯えた子ウサギのような姿に、もっとサービスしようかとも思いましたが、これ以上は、大先生の新たな門を開く気がして、大先生の耳に優しく息を吹き込む程度に留めておきます。
「フゥ〜」
「きゃあああぁぁぁぁあ!?」
フラン大先生は、びくびくしながら気絶してしまいました。
これはやり過ぎましたね……
「フラン先生?家のハーティア来てませんか?」
やっ、ヤバイのヤバイの!!お父さんがきたの!!
「フラン先生?結界もかけてないんですか!?非常事態なんですか!?入りますよ!!」
えっ!?これは本格的にヤバイの〜!!
こうなったら、私が出るしかないの!!
フラン大先生に布団をかけて、お父さんの所へと向かいます。
「お父さん、わたしはここなの!!」
「おお、やっぱりここだったのか。フラン先生は?」
な、なんと言えば……あっ、そうだ!!
「フ、フラン大先生は、私が怖い話をしたら、ビックリして気絶しちゃったの」
「なんと、やはりフラン先生はその系統が苦手だったか…」
なんとか誤魔化せそうです。
「私がお布団をかけておいたの」
「そうか、しかし、これからはフラン先生に迷惑をかけないように気をつけるんだぞ?」
「は〜いなの!!」
私が返事をすると、お父さんは満足そうにうなずき、フラン先生のお家に結界を張った。
「結界を張ったら、フラン先生は出れるの?」
「ああ、フラン先生は俺より実力が遥かにうえだ。こと魔法にかけては、あの人はこの郷の中では一番だな」
どうやらフラン大先生は、魔法のスペシャリストらしいです。
「なんてったって、あの、世界最凶の魔女の弟子だからな〜」
世界最凶って、なんか怖そうです…
「世界最凶の、魔女?」
「ん?あぁ、ハーティアは知らないんだな。いいか?世界には、いろんな人がいる。そのなかでも、一番危ない人のことを、魔女と呼ぶんだ」
「なんだかとってもすごそうなの…」
「とっても恐ろしいのさ………一つの大陸を破壊したり、国を滅ぼしたり、な。
その歴代の魔女の中でも、今世の魔女は、なんと不死身らしいんだ。御年528と言われている」
「ええ!?そんなの、もはや災害なの!!」
「あぁ、その通り。魔女は、災害の一種として数えて問題ない。そして、その今世の魔女の名は、クラリス・ハート。聖地を消滅させた、通称『無情なる虚無の支配者』だ」
私は、その名前を聞いて、思い当たる節が、というか、出会った記憶があります。
顔は見ていませんが、私を取り上げたのは、間違いなく彼女なのです。
お父さんに伝えるべきか、胸の内に秘めておくべきか、どうするのが正解なのでしょうか?
「クラリス・ハート………」
「ああ!!それどころじゃなかった!!おいハーティア、急いで帰るぞ!!」
いきなりお父さんは、私を担ぎ上げ、お家に向かって走り出しました。
「えっ!?な、なんなの!?」
「ラスがすごく憔悴して、倒れたんだ!!」
お母さんは、わたしのせいで倒れたのだと直ぐにわかりました。
……わたしの、わたしのせいで、わたしのせいで、わたしのせいでわたしのせいでわたしのせいでわたしのせいでわたしのせいでわたしのせいで………
「わたしの、せいで……」
「おい!?どうしたハーティア!!魔力を抑えろ!!」
「わたしの、せいで!!」
「おいおい……冗談だろ?」
私が自分を責めれば責めるほど、わたしの体から黒い靄が噴き出してきます。
「わたしの、せいでっ!!
わたしがあんなことを言ったから!!
わたしが出ていったから!!
わたしが、わたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしが!!」
バチイィン!!
すごく大きな音が聞こえたと思ったら、わたしはいつの間にか、お父さんにおもいっきりひっぱたかれて、地面に倒れていました。
「お、父さん?」
「今お前がすることは、そんな風に自分を責めることか?魔力を収束させて、感情的に解き放って、気づいたときには、郷ごとドカンか?ハーティア!!お前が今からしなければならないことはなんだ!!言ってみろっ!!」
「わ、たしが、しなければ、ならない、こと、は、……お、母さんに、お母さんに、お母さんに、謝ることなの!!」
「そうだ!!ぐずる暇があれば、さっさと謝りに行け!!」
「うんなの!!行ってくるの!!」
そういって私は、叩かれて腫れた頬を撫でながら家に向かいました。
「お母さん!!」
家に帰って、そのままお母さんの寝室に向かうと、寝込んだお母さんが、虚ろな目で外をみつめていました。
わたしの声が聞こえて、お母さんはこっちを怯えた目でみましたが、それは一瞬で、わたしの赤く腫れた頬をみて、ものすごい早さでこっちに走ってきました。
「ハーティア!?どうしたのその頬は!?
ちょっと待っててね、今治します!!」
そう言うとお母さんは、手で空中に円を描き、その手の動きに合わせて、うっすらと青い光が現れました。
「癒しの青よ、今こそその力を発揮し、我が愛しの娘を癒しなさい」
お母さんが光に命令すると、青い光は大きくなり、私を包み込みました。
「わわっ、傷がなくなってる!!」
「ええ、これは召喚魔法。癒しの聖霊の力の残滓を召喚したの…」
「……お母さん、実は言いたいことが……」
わたしが言い終わる前に、お母さんはわたしに抱きついて来ました。
「ごめんなさいハーティア!!私、貴女の反応が楽しくて、貴女の表情が可愛くて、意地悪してしまったの!!」
「私こそごめんなさいなの!!本当はお母さんのことを嫌いになんてなってないの!!お母さんが大好きなの!!」
「あぁ、ハーティア〜〜〜!!私、私、貴女に嫌われたのかと思って、もうどうしていいのか分からなくて……うわぁ〜〜〜ん!」
お母さんが、不安だった気持ちを告げる途中で泣き出してしまいましたが、なんだか子どもみたいです。
「よしよしなの。わたしはもう怒ってないの。だからもう大丈夫なの。だから、元気をだすの!!」
わたしは、お母さんの頭に抱きついて、頭を優しく撫でました。
「……うふふ♪これじゃあ、どっちが子供か分からないわね?」
「お母さんは、まだまだなの!」
「なんだと~~~!あっ、待てー、ハーティア~~~!!」
わたしはお母さんから逃げながら、コッソリとお母さんの優しさに、涙をこぼしていました。
あっ、ちなみに、私の頬を叩いたのがバレたお父さんは、お母さんに引きずられて、闇の中に消えていきました。




