私はヒラメ~♪
やぁ皆さん、毎日3食ご飯を食べていますか?
しっかり食べなきゃダメですよ?
え?余計なお世話?あんたには関係ない?いえいえ、皆さんが元気なら、もしかしたら皆さんのうちの誰かが、音楽に目覚めるかもしれませんし、或いは作詞家になるやも分かりません。
そうすれば巡りめぐって、私はあなた方の誰かが奏でたメロディを楽しむことができるかもしれません。皆さんのうちの誰かが作った曲を奏でることが出来るかもしれません。
ああ、考えただけで胸が高鳴り、心臓が興奮と期待の調律を奏でています!
私はヴァイオリンをよく弾きますが、楽器は全般的に使えます。
ああ、いえ、才能はありません。私は他のどの方よりも物覚えが悪かったと、音楽教室時代の恩師も嘆いていました。
しかし私は、他の生徒の方々が奏でる稚拙な曲を聞くたびに、これから伸びるであろう可能性の大きさ、その時その時の感情、それらの一見未熟なものが織り成す調和をこの鼓膜で、皮膚で、目で感じて、とても楽しかった……
そして私は、誰よりも長く、楽器と共にあり続けたからこそ、楽器の力を引き出せるようになったのです!!
ああ、すいません。おいてけぼりにしてしまいましたか。
え?変態?私がですか?
……ふふふっ、それは、昔からよく言われますが、この音楽を愛する気持ちを変態だと揶揄するのなら、それは私にとって、何よりの誉め言葉になります。
皆さんも感じたことがあるでしょぉ?音楽を聴いて気持ちが奮い立つ感覚を、悲しくなる切なさを、名曲に出会えた感動をっ!!
………与えられた時間は限られています。音楽が絡むと我を忘れるのは私の悪い癖ですね。
実は、私は異世界、というところに今いるようなのです。
えぇ、えぇ、ご存知の方もご存知でない方もいると思います。
ご存知でない方は、今いる世界を自宅、異世界を、木星とお考え下さい。それ以上の説明は、私には難しいのです。
木星……ジュピター……え?ああ、また飛びそうでしたか。えぇっと、どこまで話しましたっけ?
……ああ、異世界に跳ばされたまででしたか。そうなんです、私は今、異世界に遭なn ……え?そういうのはいらない?うざい!?
………そうですか……私はうざいですか……
え?続きはよ?ああ、そうですね、実は、私は海を泳いでいたのですよ、オーストラリアから、西へ西へと……え?バカだろ?それは否定しようのない事実です。
話を戻します。泳いでいると、海に沢山の海草が浮いていたんですよ!えぇ、言いたいことは分かります。そうなんです、そこで私は新たな曲を閃いたんです!!そしたら目の前に、でっかいひらm ………えぇ、冗談です。近くにヒラメのような形をした島がありました。嘘じゃありませんよ?ただ、島の直径は目測で20メートル、海面から10センチ高い平べったい島なのに 、島の周りだけ波がなく、沈む気配が微塵もありませんでした。私は帰る方向も分からなくなっていましたし、二日ほど泳ぎ疲れて死にかけていましたから、その島、ヒラメ島に上陸しました。すると、突然また曲が頭に思い浮かんだのです!!体はぼろぼろでしたが、私はその曲を口ずさみました。
すると、島の真ん中から反響が聞こえて、私は訝しみながら島の中心に歌いながら近づいて行きました。するとなんと、いつの間にか洞窟の中にいたのですよ!
え?意味が分からない?どこがでしょうか?まず歌いながら近づいていったところ?はぁ、やれやれです┐( ̄ヘ ̄)┌
だって、考えてみて下さい?キーワードはこの二つ、頭に浮かんだ、気持ちよく歌っている。ほら、そういうことです。…分からない?それはまだ私と同じ土俵まで上がっていないからです。
では話を戻しま……え?あと何でいきなり洞窟かって?知りません。仕切り直して。
そう、私は洞窟の中にいたのです。そこには、おっさんのように横になり、お尻を掻きながらせんべいを食べてるクマドリメイクの美女と、正座をしている男女の二人組の、計三人がいました。私は歌いながらその方々の所へ近づいて見ると、クマドリメイクの美女に、
「なんだよ、うるさいぞ」
と、注意されました。ああ、その声には、迷惑という気持ちしかのってません。
「失礼しました。ここは何処でしょうか?」
私は人に迷惑をかけてまで歌うことはしません。音楽は、音を楽しむものです。不快にさせるなんてもっての他。
「ここ?ここは、擬似的な世界境界線、私が、こいつらを叱るために作った私の新しい縄張りだ」
何を言っているかさっぱり分かりませんが、詳しく聞いても分からないってことは分かりました。
「なるほど、それはともかく、少しせんべいをわけて貰えないでしょうか?二日ほど何も食べていないもので」
「ん?別に食べなくても問題は……って、お前人間じゃねぇか!?」
?この人は何を言っているのでしょうか?
「えぇ、私は人間ですが?そういうあなたは?」
「私は、今はクマドリの気分のアステリアという。絶賛空から逃亡中の女神様だ」
どうやら空から逃亡中らしいです。
「この島は、オルテュギアー島……今はデーロス島?と言う」
「デーロス島?あの島はエーゲ海にあるのでは?」
「バカかお前は?あれはダミーだ。レトの出産を受け入れたあとは、偽物とすりかわってゼウスから逃げた。アイツは私が鶉になって逃げようとしたとき、あろうことか岩にしようとしやがった。しかしな、アイツが私を岩にしたんじゃない、あいつより先に私が自分で岩になったんだ。岩を岩になんて出来ないだろう?だってもともと岩なんだからな!!
あー、思い出しただけでイライラするな!!」
どうやらギリシャ神話の女神のようだ。どうせなら、エウテルベやポリヒュムニアがよかったと思ってしまう私は、強欲でしょうか?
「そうですか、それで、何か食べ物をくれませんか?」
さすがに、そろそろ限界です……
「ああ、餓死しそうなのか、バカ見たいに歌っていたから大丈夫かと思ってた」
アステリアさんはそういうと、せんべいの袋ごと渡してきて、
「じゃあこれやるよ」
と、せんべいをくれました。私はその、クマドリのメイクの女神の讃美歌を閃き、せんべいを素早く食べて、歌い始めます。
「その姿は夜空に輝く星のようぶふぁーっ!」
歌い始めで私はアステリアさんに殴られました。
「私の前で空という単語は使わない方が身のためだぞ?お?」
めっちゃ怖いです。正座してる女の人もビビってます。男の人は寝てますね…
「っててめえぇぇえ!!寝てんじゃねぇよ!!」
アステリアさんはキレてますね。美しい体に布を巻いているだけのその服がはだけて、大きな胸が揺れているのが見えます。
「……おい、ズタ、チルセ。てめえら反省なんて微塵もしてないんじゃねぇか?」
「いっ、いえいえいえいえっ!!反省しています!!お手数をおかけして大変申し訳なく思っておりましゅ!!」
焦るあまり舌をかんだ美人さん。こちらはいかにも高級素材って感じのローブに身を包んでいますが、少しだけ胸部に膨らみがあります。
……なるほど、希少価値ですか。
「おい、そこの人間、なに哀れむ目で私の胸を……ってすいません!!すいません!!」
「ほう?胸が気になるなら、揉めば大きくなるらしいぞ?私が直々に揉んでやろうか?」
「いっ!!いえっ!そこまで気にしてません!大丈夫でござります!!」
テンパって言葉が可笑しいです。そしてまだ起きない男の人、て言うかどっちがズタさんでどっちがチルセさんなのでしょうか?
そんな名前の神様今したっけ?
「ズタ?そもそも貴様のバカな行動の尻拭いを、何故、逃亡中の私が、しなければならなかったのだろうな?なぁ?」
アステリアさんが猫なで声でそういうと、眠っていた男の人は、信じられない速さで起き上がり、敬礼をしています。
「サァイエッサー!!適当にこっちの神にお願いしてちょ?ってチルセに頼んだので知りません!!」
言い終わるが早いか、アステリアさんはそのスラッとした足でズタさんを蹴り飛ばしました。……アステリアさん、パンツ履いてないんですね。
「チルセ?」
「はいぃぃい!?」
「説明」
「とりあえず私の得意技の多重存在化で、この世界の神にお願いして回っていたら、アポロンさんが、おばさんなら優しいから聞いてくれると思うよ?って言っておられたので、アステリア様に聞いて頂けるよう根回しをして、気づかれないように、こちらに協力して頂けるように差し向けました!!」
「アルテミスを差し向けたのは貴様らだったのか?」
「それはぁ、そのぉ…」
チルセさんがモジモジしてます。
「はっきりいえ」
「アポロンさんがノリノリでアルテミスさんにチクってました!!」
それを聞くと、アステリアさんはため息と共に頭をかいています。
「あいつか……まぁいい、貴様らはしばらく私の暇潰しに付き合って貰う」
「そんなぁ〜、あの子の要望だって全部受け入れたじゃないですか!?」
「あれは貴様らが、じゃなくて守護竜がだ。自分で創った生き物の方が創造主よりも頭もよくて強いというのは、滑稽と言う他ないぞ?」
どうやらいろいろと事情がオアリノヨウデ。
私は空気ですね。歌おうにも、殴られて頬が腫れている今は、声を上手く出せません……骨、折れてませんよね?
「まぁいい、貴様らはそこで待機だ。チルセ、ズタを縛っておけ」
「はいっ!」
慌ててズタさんをふんじばっているチルセさん。
「とりあえずほら、顔を治せ」
そういって私の顔にアステリアさんが手を向けると、手のひらから私の顔の腫れた部分に向かって光が伸びてきて、晴れが引いて、痛みも無くなっていきます。
「まず言っておくが、ここからお前の生きていた世界に戻ることは出来ない」
「……どういうことですか?」
「考えてもみろ、ここは私の世界だが、すぐそこは空に晒されている。ゼウスに見つかったら、何をされるか分かったものではない。だから、外界とは隔絶していたのだが、こいつらの手伝いで、少しだけ外界と接続したが、ゼウスに感づかれたから、後100年は隠れないといけないんだ」
なんと、私は帰れないそうです。
「そこで、だ。どうせなら、異世界に行ってみないか?」
おや?話の流れが読めません。
「異世界、ですか?」
「ああそうだ、異世界とは、近く見えて遠くにある世界で、そうだな、地球から星に手を伸ばす感じ?うーん、難しいな……とにかく、お前の生きてきた世界とはまったく違う未知の世界。魔法があり、珍しい食べ物、風景、生き物、異文化…違うものだらけで、好奇心が刺激されないか?」
「ちょっ…っ!!アステリア様!?」
「うるさい黙れ。……行ってみたいとは思わないか?」
そう、ですね。
「その中には、楽器はありますか?」
「楽器?あるぞ?地球上に存在しない素材で作られた、様々な音色を出す楽器がたくさん」
「異世界に行くとしましょう!!」
どうせなら、私はもっと多くの楽器や、聞いたこともないような歌を聞きたい。歌いたい!
「そうかそうか、それでだな……ついては一つお願いがあるんだが、向こうには、エリザベス・イテル・ファキットという女性がいるんだが、彼女も地球出身でね、転生して、あっちの人間として生まれ変わったのだが、どうも精神的に不安定で危なげなんだ。もし見かけたらでいい、気にかけてやって欲しいんだが、頼めるか?」
「任せて下さい。同じ女の子なら、いろいろと話しやすいでしょう」
「そうか!!それで、異世界への行き方は二通りあるんだが、お前は転生と召喚、どっちがいい?」




