第8話 機械人形の実態
あれから私は遺跡に通いつめるようになった。魔王の娘だと知られても問題のない唯一の相手だったからだ。
ずっと友達が欲しかった私はフローズンドールと一緒に過ごす時間だけが幸せだった。
「フローズンドール〜!今日は美味しい焼き菓子を持ってきましたわよ!」
「サーヤ様、ありがとうございます。」
元気に手を振りながらいつも通り遺跡に入っていく。
レジャーシートを広げて焼き菓子やケーキを置いていく。
「「いただきます」」
「ん〜!このクッキーは相変わらず美味しいですわ〜!」
「良かったです、サーヤ様」
機械人形はどうやら食事も出来るようで最初は驚いた。試しに一度食事を与えたら人間のように食べ始めた。
栄養などを気にする必要は無さそうだが、誰かと一緒に食べるご飯は美味しい。度々食事に付き合わせていた。
「フローズンドールはこの中でどれが一番美味しい?」
「わかりません。全て一緒です。」
「もっと人間らしくなってくれるとマスターとしては嬉しいんですけれどもね〜?」
「すみません、サーヤ様。」
僅かにフローズンドールの眉が下がったような気がするが、気のせいだろう。この子は機械人形、感情が存在しない。
無理な要求をしてしまったことに私は一言"ごめんなさい"と伝える。
「それにしても、何故フローズンドールはずっと放置されていたのでしょう?この遺跡に入る人だって何人もいたでしょうに。」
「私はかつて戦争のために魔王様に作られた戦闘用の機械人形です。魔王の娘であるサーヤ様だからこそ、魔力が反応したのだと思われます。」
「お父様が…!そんな理由でずっとここでひとりぼっちで?」
「はい、他の人間や魔族は私を起動させる事ができませんでした」
「ごめんなさい、私がもっと早く気付いてあげられていれば……」
「サーヤ様、大丈夫です。私は今こうしてサーヤ様の傍でお仕えするために生きています」
「ありがとうございますわ、フローズンドール…」
ここに来られてよかった。フローズンドールは私を求めて認めてくれる。
もっとたくさんの人がいる場所にフローズンドールを連れて行ってあげたいけれど、それは出来ない。私の身分がバレてしまう。
せめてこの遺跡の中で、二人で幸せを噛み締めていよう。




