第5話 新たな仲間
「いらっしゃいませー。って昨日疫病の依頼を受けてくれた人じゃないですか!」
「ああ、そうだ。」
依頼も無事解決し、疲れながらも斡旋所に戻って来た。相変わらず疲れた声で受付嬢が迎えてくれた。
「依頼で何かありましたか?」
心配そうな顔で声をかけて来る。やはり街の一大事だったし、誰も依頼を受けたがらなかったからどうなったのか気になるのだろう。
「その事で話がある。周りに聞かせたくないからマスターと話したい。」
「そんなに重要なことなんですか?分かりました。こちらにどうぞ」
俺は受付嬢についていき、マスターの部屋まで行く。
「失礼します、マスター。ただいま例の疫病に関する依頼を受けてくださっている冒険者様が、マスターとお話がしたいと言う事でお連れしました。」
「入っていいよ。」
マスターから返事があり、俺は部屋に入っていく。受付嬢と同じようにマスターもまた疲弊したような表情をしていた。
「貴方が疫病の依頼を受けてくださっている冒険者ですか。この斡旋所のマスターです、どうぞよろしく。」
「ユウ・クレストだ。」
「疫病の件だって?何か分かったのかい?」
「ああ。まずあれは疫病なんかじゃなかった。」
「疫病じゃない、というと?」
「あれは魔族が仕掛けた呪いだったよ。」
「魔族だって?人間と魔族は不可侵のはずだが?」
「俺もそう聞いていたが、どうやら人間に対して敵対しているグループもあるらしい。」
「そんなことが。それで子供達は?」
「大丈夫だ。その魔族は倒したから呪いも消えているはずだ。教会のシスターが今見ている」
「そうか、それなら安心だ。今回は本当にありがとう。まさか魔族まで出で来るとは思わなかった。町長と話して依頼料も上げさせてもらうよ。明日また来てくれ」
「分かった。明日また来るよ。そうそう、教会の司祭はどうする?いくら騙されたと言えどお咎め無しじゃ街の人も納得しないんじゃないか?」
「そうですね、それも町長に話しておきましょう。」
「よろしく頼む。」
俺はそう言うと斡旋所を後にした。流石に疲れたから早く宿でゆっくりしたい。
宿につくなり俺はすぐにベッドに寝転び、ふぅと溜息をついた。まさか魔族と戦闘になるとは初めての出来事だったし、寝転んだ途端一気に疲労が来て、すぐに眠りについた。
そして翌朝。小鳥はさえずり、窓から陽の光が差し込む。
身支度をすると俺は斡旋所に向かっていた。
「いらっしゃいませー!!」
受付嬢のいつもの挨拶だが、最初に比べ元気が良さそうだ。事件が解決したからゆっくり休めたのだろう。これで街の活気も戻るといいのだが。
「ユウ様ですね。今マスターを呼んできますね。」
そう言うと受付嬢は奥に向かって行く。暫くしてマスターが奥の部屋から出てきた。今度はマスターも表情が明るい。
「待たせたな。まずは依頼料だが、魔族と戦った分危険手当として少し上乗せしてある。確認して見てくれ。」
「分かった」
金貨の入った袋の中身を見て、俺は金額を確認する。確かに少し増えている。これだけあればしばらく旅が続けられる。
「確認した。」
「よし!ここからはその後の話だが……」
俺はマスターから事の顛末を聞いた。まず司祭だが、人間に偽装した魔族に騙された。
あんまり子供達に人気がない自分が人気が出るようにとその魔族からこの地方には無いお菓子を譲り受けたそうだ。これを使い子供達をパーティに誘えば人気者になれると司祭は思ったらしい。
シスターや親を出禁にしたのは人気を独り占めしたかったと話したらしい。
司祭は街から追放。後に新しい司祭が王都から派遣して貰うと町長が決定したらしい。子供達の方だが、あの後全員目を覚まして体調も変化ないという事だ。しばらくしたら全員親の元に帰るらしい。
「そうか、子供達が全員無事で良かった。司祭は自業自得だな。話してくれてありがとう。では俺はこれで」
無事依頼は終わり、報酬も受け取った。マスターに背を向けて店を出ていこうとすると、背後から声をかけられる。
「そうそう、教会のシスターがお礼したがっていたぞ。」
「分かった。寄ってみるよ。」
斡旋所から出て教会に向かうと、シスター達が一生懸命働いていた。俺の姿を見たレファナが駆け寄って来た。
「ユウさん!」
「レファナさん。昨日はお疲れ様です。」
「いえいえ。子供達も明日には元気になると思いますし、本当にありがとうございます。」
「俺は出来ることをやっただけですから。」
「そうですか。あの…ユウさんはこの後、どうするんですか?」
「俺は旅人ですよ。人々を助けながら旅を続けます。」
「では、私も連れてって下さい。」
レファナは急にそんな事を言ってきた。今までずっと一人旅をしていたものだから驚いた。しかも教会のシスターと共に旅をする事になるとは。
「私はユウさんの考え方に感動しました。世界を旅し人々を助ける、私もそうありたいと思います。ぜひお願いします。」
「分かりました。一緒に行きましょう。明日の朝街の広場で待ち合わせで」
「はい!よろしくお願いします。」
さて、旅の仲間が出来たし準備をしっかりしないとな。
「おはようございます」
「おはよう、レファナ。今日からよろしく。」
翌朝、俺はレファナと合流しマデゼア街を出る。子供達の笑い声を聞きながら。




