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魔王の娘は剣士様にぞっこん!?  作者: 恋苺かぷち
第一章

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第2話 不穏な気配

「ふぅ。風が気持ちいいなぁ。」


エリオス街から東へ向かっている。自分は自由な旅人だからゆっくりとしたペースで見て回るつもりだ。

しばらく歩いただろうか。流石に腹が減ったようで、お腹から音が鳴った。


「お腹空いたなぁ。朝早く出立したから何も食べてなかったな。」

「" BOX"(ボックス)


通称 BOX"(ボックス)。アイテムボックスと呼ばれることもある。空間魔法の一種であり、冒険者には欠かせない大事な魔法だ。これさえあれば大抵のものはボックスに収納しておき、持ち歩くことが出来る。おまけに食べ物も腐らないし、旅人には必須のスキルと言っていいだろう。


「さて。いただきますか!」


空間から常備していたパンと干し肉を出して食べようとした。

その時、何処からか声が聞こえてきた。


「うわー!助けてくれ!」

「ん?」


声が聞こえた方向を見ると行商人が盗賊に襲われていた。相手の数は4人程だろう。最近は物騒になってきてるとは言えど、行商人が襲われる事件はあまりなかった。


「行くか!」


俺は急いでBoxに物をしまい、駆け出していく。


「大人しく荷物を渡してくれれば命までは取られぇよ!!」

「ただ抵抗するなら殺してでも奪うがなぁ!!」


盗賊たちが下衆な笑いをしながら行商人を見る。


「しかしこれは大事な薬で今流行してる疫病に効くかもしれないんだ!」

「ごちゃごちゃうるせぇよ!もう殺しちゃおうぜ。」


そう言い放てば盗賊が刃物を振り上げる。このままではまずい。


「間に合うか?」


俺は刀を鞘から抜き放ち、さらにスピードを上げる。

その刹那、ザシュッと盗賊の身体が2つに分かれる。


「間に合ったか!!」


盗賊が倒れ、無惨に死ぬのを見ながらそう呟く。


「誰だテメェ!」

「ただの旅人だよ。お前らみたいな奴が嫌いなね!」


そう言うと同時に俺は盗賊たちに切りかかり、あっという間に殲滅してしまった。


「大丈夫ですか?」


俺は地べたに座り込み呆然としている行商人に話しかけ、手を差し伸べる。


「はい。お陰様で荷物も私も助かりました。本当にありがとうございます。」


行商人は仕切りにお礼をしてくる。余程大切な荷物なのだろう。

ふと気になる事を聞いてみる事にした。余程大切な荷物ならば護衛を付けるのは行商人の中では当たり前なのだが、護衛がいないのだ。


「これだけの荷物だから護衛がいるのではないのか?」

「いやぁ~恥ずかしながら何度も襲われてその度に逃げられちゃって。」


なるほど…護衛依頼は何も無いまま依頼終了するケースが多いから人気なんだが、盗賊や魔物に襲われるケースもある。初心者冒険者を雇ったのだろう。


「良かったら俺が護衛しましょうか?」


どこの街に行くか分からないが俺は自由気ままの旅人だ。護衛がいないのも危ないし、放ってわくわけにはいかない。


「本当ですか?貴方みたいな腕の立つ人に護衛してもらえると助かります。」

「わかりました。ではよろしくお願いします。」


盗賊も皆殺したことだしひとまず一安心だ。だが用心しながら行こう。

行商人の馬車に乗り込ませてもらい、ぽつぽつと話し始める。


「それにしてもこの荷物はなんですか?結構量が多いですが?」


改めて見ると量が多い。いくら国中に不穏な空気が流れていると言っても情勢は安定してるし、経済も安定してる。これだけの量を運搬するなど余程の事だが?


「あれ?隣街のマデゼアで謎の疫病が流行してるってご存知ありません?」

「謎の疫病ですか?」

「そうなんですよ。何故か急に流行しだしてシスターの回復魔法も余り効かないらしくて街中が大騒ぎらしいですよ。」


街で突然流行り始めた疫病。不自然ではないか?最近はこの国も物騒だし、何か手を引いている者がいるのではないだろうか。そんな思いは胸の内にしまっておいて、話し始める。


「なるほど。それではこの荷物はその

疫病を治す薬ですか?」

「もしかしたら治るかも、程度ですよ。街としては藁にも縋りたいのでしょう。シスターの回復魔法でも治療できないのに効果があるか分かりませんがね。」


突如流行り出した、謎の疫病。

人々を助けるために世界を渡り歩き旅をしている自分が、放っておく事はできない。

決意を固めながら、馬車はマデゼア街に入って行った。

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