第12話 同盟結成
ユウ達が魔族の里を出発してから数日。
旅は順調に進んでいた。
「しかし人が増えたなぁ。何だか一人旅が懐かしく感じる。」
ユウが旅を初めてからずっと一人旅だった。
それはとある事情があるのだが、まあ今は今で楽しいと思っている。
「ユウ。何か楽しそうですね。」
「あぁ。こんな旅も悪くないな。」
ユウとレファナがそんな話をしていると隣りからサーヤが話しかけてくる。
「ユウ様は今まで一人で旅をしていたのですか?そしてレファナと出会ったと…」
「あぁ。少し事情があってな。レファナとは前に立ち寄った街で出会ってそれから一緒に旅をしている。」
「男女二人きりの旅だなんて…!!なんてハレンチな…!!」
サーヤが良くない方向に妄想を膨らませ出すとユウが続けて喋り出した。
「ところで里の外はどうだ?サーヤとフローズンドールは里からほとんど出れなかったのだろう?」
「はい。私はずっとあの遺跡にいました。新鮮です」
「やっぱり同じ場所から出られないのは退屈でしたわ。なので今は自由って感じがしてとても清々しい気分ですわ!もうフードを被る理由も無くなりましたしね。そ・れ・に〜」
サーヤはガバッとユウの腕に抱きつく。豊満な胸を押し当てながら。
「今は私がお慕いするユウ様と一緒ですから!旅はとっても楽しいですわ〜♡」
「そうか…。外はまだまだ色々な場所があるからな。楽しめるといいな。」
ユウは少し戸惑いながらサーヤ達に話しかける。
「さて。そろそろ休憩しようか。結構歩いたしな。」
「そうですね。では休憩しながらお食事にしましょか?」
「そうしましょう!レファナが作る食事は別格ですもの!早く食べたいですわ!
「はい。私もいただきます。」
「そうだな。毎回すまないが頼む。」
そんな話をしていればユウが何かに気が付いた。
「ん?すまん!少し席を外す。」
レファナの提案でご飯になったがユウは何かを発見し1人離れていく。
「あら、行っちゃいましたわね…」
急にどうしたんだろうか、と思いつつ食事は出来たてを食べてほしいし待つことにする。
「ところで〜…せっかくの良い機会ですからお聞きしますけれど、レファナはユウ様のことどう想ってらっしゃるのです?やっぱりユウ様にぞっこんですの?」
「え?ユウの事ですか?」
サーヤの話にレファナは少し考えて口を開く。
「私もユウが好きですよ。まだ知り合って間も無いですけど、その生き方や考え方全てが素敵ですから。貴女もですよね、サーヤ?」
「もちろんですわ!ユウ様のお声、お姿、そして思考、そしてレファナの言う通り素晴らしい生き方!好きじゃない方がおかしいですわ!」
声高々にユウの魅力について語り出す。そして徐に握手を求めるようにレファナに手を差し出す。
「決まりですわ!今日から私とレファナでユウ様大好き同盟結成ですわ!!」
「そうですね。一緒にユウを支えて行きましょう。」
そう言うとレファナはサーヤの差し出した手を握る。
しばらくして、ユウが戻ってきた。
「今戻った。すまないがレファナ、食事をあと二人分用意してくれるか?」
「それはいいんですけど?」
ユウが戻って来たけれどあと二人分って余程お腹が空いたんでしょうか?レファナが疑問を持ち周りを見ると、ユウの後ろに子供が二人見えた。
「ユウ。その子供は?」
「あぁ。さっき見えたんだよ。いくら比較的安全な街道でも子供の二人旅は危険だからな。まぁ詳しい事はご飯の後にしようか?」
「そうですね。お二人も宜しければどうぞ召し上がって下さいね。」
そう言ってレファナは素早く料理を作り始める。今日のメニューはカボッチャの煮付けとオトウフ入りのスープ、バターチキンソテーだ。
料理が出来上がると子供たちが目を輝かせる。
「わぁ!すごく美味しそう!」「僕も早く食べたい!」
「お食事が出来ました、皆さん召し上がってください。」
「「わーい!」」
「今日も一段と美味しそうですわ…!」
子供たちが喜んでいる横でサーヤは生唾をごくりと飲み込む。実はサーヤはチキンが大好きなのだ。
「ん〜!バターの濃厚さとチキンの旨み…!!最高ですわ〜!!!」
「これ美味しいね!メイ!」「うん、美味しいね!お兄ちゃん!」
そうして食べ進めていけばあっという間に全員完食した。
「「「ごちそうさまでした。」」」
余程お腹が空いていたのか子供はすごい勢いで食べ終わっていた。その後二人は喋り出す。
「ご挨拶が遅れてごめんなさい!僕の名前はレイです。こっちの妹は…」
「メイです。美味しいご飯ありがとうございました!こんなにお腹いっぱい食べれたの久しぶりです!」
「俺はユウ・クレストだ。この四人で旅をしている。」
「私はレファナ・レンスです。美味しく食べていただけたならよかったです。」
「フローズンドールです。」
「サーヤ・ステラリアですわ〜!えーっと、ただの魔族ですわ!」
それぞれが自己紹介を終えると、ユウが喋り出す。
「しかし何故子供二人でこんなところに?」
「僕達は物心ついた時に両親が病で亡くなってしまったんです。お金も無くメイを養う為に冒険者になるしかなかった。そんな時にこの先にある街で僕達でも出来る仕事があるって聞いたから。」
「お兄ちゃんは私の為に無理しちゃうから心配なんです。私はどこかの街で安全に暮らしたいのに…」
子供冒険者の話をユウ達は黙って聞いていた。
そして思い思いに口を開く。
「まあ、それは可哀想に…こんなに幼い子ですのに…」
「この世界ではよくある事だが子供を残して亡くなるのは聞いてて悲しくなるな。」
「ご両親が病で、ですか。それは辛かったでしょう。」
ユウ達の言葉を聞いて子供冒険者は両親の事を思い出していた。
しばらく無言の時間が過ぎた時、ユウが言葉を掛ける。
「なぁ、もし良ければ次の街まで俺達と一緒に行かないか?」
「本当ですか?」
「ああ。ただ俺の仲間がいいならだけどな。」
そう言うとユウはサーヤ達に向き合う。
「もちろんですわ!こんな幼い子たちで街まで向かうなんて!ユウ様に賛成ですわ!」
「私はサーヤ様がよろしいのであれば大丈夫です。」
「私も賛成ですよ。私達がいれば盗賊たちも手が出しにくいでしょうから。」
サーヤ達が次々と賛成していく。みんなならそう言ってくれると思っていた。
「全員賛成だな。では次の街まで一緒に冒険しよう。ついでに少し修練しながら移動しよう。」
「いいんですか?」
「あぁ。もしこのまま冒険者を続けるならどうしてもある程度の腕前と知識が必要だからな。ただ妹さんはまだ幼いから見てるだけになるがそれで大丈夫か?」
「はい!よろしくお願いします。」
「私も大丈夫です。お兄ちゃんだけでも教えてください!お願いします。」
子供冒険者はさっきまでの暗い顔から明るい顔に戻り元気に返事していた。
それから子供達はユウ達と一緒に次の街を目指し歩いて行く。
その姿を見たレファナは自分の過去を思い出していた。
「あぁ、私もそんな事ありましたね。懐かしい…」




