理解
光のない空間、魔物の住まう楽園。“魔境”にて、一つの知性が輝く。
「ほう、この状態でも意識を保っておるのか」
そう、黒髪の男が言う。
「かろうじて、ね。それより、あの子に謝りたい」
私は、その男に懇願する。
「あやつに対してか?なぜ?お主は何を謝りたい?」
「……分らない。でも、悪いことをしたと、今になって思うの。他の人に対しても…ね」
その男は、少しの間考え込む様子を見せた。
そして、
「運命に逆らうのも、また、一興か……よかろう、お主にチャンスをやろう」
そう言って、手の中に光の粒ができる。
それは急速に拡大し、人の形をなしていく。
「これがお主の身体じゃ。上手く使いこなすがいい」
左手に持っていた、彼女の魂をその方にそっと入れる。
浮遊感のみの感覚が、徐々に重みを増していく。
徐々に手足の感覚が芽生え、地に足がつく感触を得る。
「あ…ありあ……」
「礼はいらん。まだ慣れだしたばかりで声もまともに出ないだろう」
そして、新しい光が男の手の中に芽生える。
「これを持っていけ。倫理の欠片もないからな。まずはこれでも読んで人間を知れ」
手は正確に動くようで、手渡されたそれを持つ。
まだ形にはなっていなかったが、ずっしりと重く、温かみを感じた。
「あろ。なはえわ?」
「あぁ、名前ね。ガル・ラビスだ。お前の名はないのか?簒奪なら肉体との繋がりは消える。別に名乗っても大丈夫だぞ」
「なはえ……は、い」
「なかったのか。それなら新しくつけねばならぬな……」
ガルは、少し考え込む。
「リシュ…リシュ・イシュル、とかどうだろうか?嫌ならいいぞ」
私は、顔をふるふると横に振る。
「なら良かった。」
顔は変わらなかった。だけど、目だけは少し柔らかくなった。
「あろこ、しろはみの。なはえなんていふかしってる?」
「白髮、まあ知ってるが……それは、自分で探すといい」
ガルが指を鳴らす。
瞬時に場所が変わり、草原に出る。
いつも見た空ではなく、青々とした果てが見えない広い空。
(こんな見え方だったんだ)
私は黒い雲の隙間からしか見たことがなかった。
こんな広大だったとは気づかなかった。
草木も全部が青々としており、私の家付近とは大違いだ。
手には皮の表紙の分厚い本を持っていた。
重さが一緒なので、ガルに渡された物だろう。
最初の1ページ目を開ける。
そこには、人間としては当然。けれど、彼女にとっては新鮮な内容が書いてある。
・無闇矢鱈に人を殺してはならない。
・他人との違いを尊重しろ。
・人間社会を知れ。
・―――
・――
……
そして、その項目の最後には“人の幸福を知れ”と書かれてあった。
その後も文章は続いており、人間社会の成り立ち。
地理や国名の正確な地図。今までの歴史や雑学までもが書かれている。
果てには魔法理論までもが……
読んでいた本のページがパラパラとめくられ、心地よい感覚が服越しに身体を撫でていく。
(風なのに温かい。前はもっと冷たくて、ドロっとしてたのに)
その時、空中に線が伸びているのが見えた。
風で揺られ、今にも消えてしまいそうだったがたしかにあった。
その魔力の線は見たことのある魔力で形成されていた。
(あの子の魔力。この先にあの子がいるかも……)
そうして、それを目印に転移する。
見た目、前世と良く似た見た目だが少し違う。
髪色は空を映し出したかのような白色。
服は未定。いい案が思いつきません。のでなにかください。
今はロングですが、街についたらヘアゴムなど買ってツインテに戻ります。




