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第9話 「懐かしくて、すごく楽しい」

「サービスランチ、三つ!」


女将さんの声が、はっきりと通った。


鍋に油。

火は強め。


海老を入れると、ぱちっと音が弾ける。


トマト。

半分。


赤がほどけ、湯気が立つ。


「いい匂いだね」


カウンターの向こうから声がする。


「今日の、ちょっと辛いやつだろ」


海老。

色。

塩。

トマト。


――楽しい。


ほんの一瞬、そう思う。

すぐに次の声が飛ぶ。


「焼き魚定食、二つ!」

旦那さんが、別の火口に回る。


「炊き込みご飯、ひとつ!」

女将さんが皿を並べる。


鍋を振る。

次の海老。

音と匂いが、重なっていく。


「早いね」

「新人さん?」


そんな声が、背中をかすめる。


――楽しい たのしい!


さっきよりも、はっきりと。

考えなくても、

手が動く。


鍋の中で赤がまとまる。

火を落とす。

少し待つ。


「美味しい!」


客席から、はっきり聞こえた。


「これ、ご飯足りないな」

「おかわりちょうだーい」


胸の奥が、きゅっと鳴る。

少しだけ、間が空く。

鍋を置き、息を吸う。


――懐かしい。


この忙しさ。

この音。

この匂い。

でも、

すごく楽しい。


「流花」

旦那さんの声。


「いいぞ」


すぐに、次の声が重なる。


「サービスランチ、二つ!」


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

今回は少し短めでしたが、ランチタイムの空気を中心に書いてみました。

次は、ちょっとしたハプニングです。

また読んでいただけたら嬉しいで

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