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この世界は、小さく静かでちょうどいい~小さな体ではじまる異世界転移〜  作者: ウラン
第3章《風読みの街で》

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第80話 実感する

時間軸、整えました

蒲田さんの手のひらの上で、

小さく揺れながら――


創太さんが、ふっと口を開いた。

「どうじゃ?」

「……実感するだろ?」

「はい」

流花は、正直にうなずいた。


創太さんは、少しだけ笑って続ける。

「でもな 確かに、我らは人間だよ」

「ただ、小さくなった。それだけじゃ」

「心配せんでええ」

その言葉を聞いて、流花は思った。


――たぶん、創太さんは。

それを言うために、ついてきてくれたんだ。


「創太さん、同い年だったのは本当に驚きました。でも、ここで45年の時を過ごしてきたんですよね」

「そうだな。こんな姿になったのを親や友達が見たら驚くだろう?」

流花はなにも言えなかった。


しばらくして、蒲田さんが静かに言った。

「流花さん……本当に驚きました」

「父が言っていたんです お店に来た人が、小さくなって、向こうにいたことがあるって」


「えっ?前にも私のような人がいたんですか?」

「はい、ここができてから100年位、こちら時間でですが、その頃は、何人かいたらしいです。だからもしかしたら、そういうこともあるかもしれないとは思っていましたが……」

「実際に見ると、本当に」

言葉を探すように、少し間を置く。


「……驚きました」

そして、流花の方を見る。

「流花さんは、大丈夫ですか?」

「不自由していませんか?」

「はい」

流花は、すぐに答えた。


「皆さん、優しくしてくれますし」

「住むところも、仕事もあるので」

「大丈夫です」

少しだけ、声を落として続ける。

「ただ……」

「家族には、連絡した方がいいのかなって」

「元気なことだけでも、伝えた方がいいのかなと」


「そうだね」

蒲田さんが、うなずく。

「まだ、流花さんがいなくなって、二、三日しか経ってないので警察が動く前に……」

「手紙だけでも、出しておく?」


「はい」

「じゃあ、すぐ書きます」


「今じゃなくていいよ」

蒲田さんは、やさしく言った。

「僕が明日、連絡ポストに取りに来るから」

「そこに、一緒に入れておいて」


「会議が終わるときで大丈夫だから」

――ここでも、時間のずれを感じる。


流花は、ふと思って聞いた。

「創太さんは……ご家族に、お手紙書いてないんですか?」

創太さんは、少し考えてから答えた。

「一度だけな、子供が生まれたときに」

「元気にしとるから、心配するなって」

それだけ言って、

また、前を向いた。


一緒に乗っている陽介さんが、にっと笑って言った。

「流花ちゃん、うちの風守りの街にはな、職人がようけおって賑やかなんじゃ。鉄も木も、道も家も、毎日どこかで音がしよる」

「寂しいと思う暇もないぞ。たまには遊びに来い、歓迎するよ」

そう言ってから、少しだけ声を落とす。


「……外の世界から、一人でここに来るってのは、そういう覚悟がいることなんじゃろうな」


「さぁ、着きましたよ」

空気を変えるように言うと

蒲田さんが私たちを降ろしてくれた。

すごくゆっくりと大事なものを扱うように


ここでは本当に

みんなが優しい


流花の心には温かい風が吹いた。

小さくなったことを理解するより、先に体で知る、そんな時間です。

流花の周りには、説明をしない優しさが少しずつ集まっています。

それが、この街らしさでもあります。

次からは、いよいよ「生活」が動き出します。

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