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この世界は、小さく静かでちょうどいい~小さな体ではじまる異世界転移〜  作者: ウラン
第3章《風読みの街で》

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第79話 会議の後

少し静けさが戻ったところで

頭領は、集まっている顔ぶれをゆっくりと見渡した。

「……今日は、長い時間ありがとう」

「今回の会議は、流花さんのおかげで、とても実りのあるものになりました」

一度、言葉を切る。

「そして、初めて“外”をはっきりと見ました」

「便利なもの。速いもの。私たちには、まだ作れないもの」

「正直に言えば、怖さもあります」

「けれど――」

少しだけ声を強める。

「知らないままでいるより、

知ったうえで、選ぶ方がいいと私は思う」


「私たちは、この街を守ってきました」

「急がず、壊さず、代わりのきかないものを、何度も話し合って」

「これから先も、それは変えません」

視線が、流花に向く。

「それでも私たちは、これから文明を進めていこうと思います」

一拍置いて、続ける。


「ここにいる私たち全員で、

そして、ここにいない人たちの暮らしも考えながら、少しずつ決めていきましょう」


「流花さん」

頭領は、こちらを見ながら話す

「あなたは外を知っている。これからこの街を進めていくお手伝い頼んでもいいだろうか?」

「私たちは、急ぎません。迷ったら立ち止まって見んなと相談しながら進めましょう」


流花は、少しだけ背筋を伸ばして答えた。

「私に、できることがあれば。ぜひ、お手伝いさせてください」


そのやり取りを聞いて、創太が口を挟む。

「まあ、まずはここで少し生活してみるとええ、それから、どうするか決めたらいい」


「……ありがとうございます」


最後に、場を包むように続ける。

「それでは皆さん、今日はここまでにしましょう」


そうしているうちに、蒲田さんが立ち上がった。

「では、私はこれで帰ります」

「こちらが持って帰るものは……

いつもの場所にありますでしょうか?」

風守りの陽介さんが、うなずいた。


「今回は、ちょっと多かったからな」

「一緒に行こう。説明せんといかんものもある」

そして、蒲田さんの方を見て言う。

「悪いが、連れていってくれ」

陽介さんは、手のひらを上に向けて、軽くウィンクした。


「……え? それは、いいの?」

流花が思わず目を見開くと、

蒲田さんが笑いながら言った。

「この方が楽だって、陽介さんが言うんですよ」

「流花ちゃんも、乗ります?」


「家具……見てみたいし」

流花は、少し迷ってから言った。

「……いいのかな?」

ナギを見ると、やさしくうなずく。


「流花ちゃんが見たければ、行ってくるといいよ」

創太さんも立ち上がった。

「じゃあ、ワシも」

「持ってきてくれたもん、見たいしな。一緒に行くかの」

頭領が、場を締めるように言った。


「それでは皆さん、また秋に」

「注文品は、会議のあとで連絡箱に入れておいてください」

「お疲れさまでした」

椅子が引かれ、会議室の空気がほどけていく。


蒲田さんも立ち上がり、

ゆっくりと椅子を戻すと――


私たち三人を、手のひらに乗せてくれた。


ふわり、と身体が持ち上がる。

視界が一気に高くなる。

床が遠ざかり、

天井が近づく。


その瞬間、流花ははっきりと感じた。

――ああ、私。

小さくなったんだ。

長い倉庫番会議が終わりました

これからの風街が動き始めました。

そして流花は、

自分が小さくなったことを、改めて知ります。


ここまで読んでいただきありがとうございます

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