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この世界は、小さく静かでちょうどいい~小さな体ではじまる異世界転移〜  作者: ウラン
第3章《風読みの街で》

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第75話 外との交易

蒲田さんが窓を閉めながら言う。

「私の話はこの辺にして、今回の品物についての話をしましょうか」

木枠が鳴り、外の風の音が一段遠のいた。


まだ聞きたいことが山ほどある気もしたけれど、蒲田さんは軽く手を上げて制した。


「流花さんも、まだ気になることはあるでしょう。でも私も長い時間こちらにいると早く老けてしまう気がして、こちらにいるのは一回2時間位にしているんです」

――そうか、時間のずれがあるんだった。

30代位に見える蒲田さんだが、毎週来ていると言っていたし、気にはなるよね


蒲田さんは机の上に1枚の紙を置いた。

多分A4サイズなのだろうけれど、

広げるとテーブルいっぱいになる。

細かい文字で、びっしりかいてあるので

ここの人達にはわかりやすいサイズ感になっている


こういうところまで考えてくれているのか、と流花は思った。


「まずはこちらが持ってきたもののリストです」

いつもの、塩、砂糖、胡椒。

チョコレート、ココア。

クミン、シナモン、クローブ、ナツメグ。

カレーパウダー。

ココナッツミルク、ツナ缶、鰹節。

その他にも保存できる食材が並んでいる


流花は思わず目を瞬かせる。

「……スパイス、多くないですか?」

「ええ。スパイスはこちらでは採れませんし、カレーは特に人気でして。最近は料理の幅も広がっているみたいで、スパイスはよく求められるんですよ」

蒲田さんはリストを指でなぞりながら続ける。

「でも、流花さんは分かると思いますが、業務用の袋を一袋ずつあれば、ここでは三ヶ月分、皆さんの食事が賄えますから」


流花は、かつて見慣れていた業務用パッケージを思い出す。

確かに、あの量なら三ヶ月どころか余裕がありそうだ。


食料品だけじゃない。

ゴム、ペットボトルのチップ、石灰、灯油、羊毛、植物の種、ビニール、、、、

暮らしを支えるもの。

工夫の余地を広げるもの。

時間を、少しだけ短くするためのもの。


流花は、改めてリストを見つめた。

確かに、こちらにはないものばかりだ。


けれど、文明を一気に進めてしまうようなものも、見当たらない気がする。


「流花さん、他に気になったものはありますか?」

風守りさんが言った。


「逆に言うと……このリスト以外のものは、こちらで作っているってことですよね。すごいなぁと思って」


風守りさんは、少しだけ笑った。

「ざっと450年の歴史がありますから、大概のものは作れるようになったんですよ。まだ、流花さんはこちらの生産力を、あまり分かっていないと思います。流花さんからの提案は次回から、ということにしましょう」

そして、頭領が続ける。

「明日からの部門会議で、各街と話してみてもらえませんか?」


部門会議。

各街。

「何せ、外から人が来るのは、こちらも四十五年ぶりなんです。創太さんが最後で」

「はじめの頃は、五年に一度くらいは来ていたらしいのですが」


――ということは。

いま、私がここに呼ばれたことにも、何か意味がある?


流花の脳裏を、

あるものの存在が、ふっとよぎった。


外との交易は始まりましたが、

この回では「変わりすぎないこと」を大切にしました。

流花が呼ばれた理由も、

交易の行方も、

まだ少し先の話です。

次は、流花が気になったものとは?

ここまで読んでいただきありがとうございます。

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