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この世界は、小さく静かでちょうどいい~小さな体ではじまる異世界転移〜  作者: ウラン
第3章《風読みの街で》

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第60話 会食前の考え事

気づけばこのお話も60話になりました。

ブックマークやPV、ユニークアクセスが増えているのを見て

「え、ほんと?」って何度も確認しました。

大きな事件や派手な展開があるわけでもなく、

小さな世界で、暮らして、考えて、迷っているだけの話なのに、読んでくれる人がいるのが本当に嬉しいです。

反応をもらうたびに

「もう少し先まで一緒に行こうかな」と思えて、

流花の時間がここまで来ました。

謎解きまではもう少し、完結までのプロットは出来てるのでもう少しお付き合いいただけると嬉しいです。

少し、疲れたな。


今日は朝から、ずっと歩きっぱなしだった。

流花は旅館の部屋に戻り、畳の上に座って大きく息をつく。


窓の外はまだ明るい。

でも身体の奥は、ちゃんと「休みたい」と言っている。


——お風呂、入ろ。

部屋についている浴室は、木で作られた小さなお風呂だった。

湯気の向こうに、やわらかい木の色がにじむ。


温泉、はさすがに無理だよね。

そう思って、少しだけ笑う。


でも、これはこれで、とてもいい。

足を伸ばして湯に身を沈めると、

一日分のざわざわが、少しずつほどけていった。


——会食って、誰が来るんだろう。

倉庫番の一族の人たち。

それとも、外の世界と関わる人。


私、大丈夫なのかな。

ちゃんと、ここにいていい存在なんだろうか。

そもそも——

私の役割って、なんなんだろう。


あと二時間もすれば、きっといろいろわかる。

それなのに、考えるのを止められない。


……まあ。

ナギがいるから、大丈夫か。

何かあっても、守ってくれそうだし。


そんな確信めいた感覚が、いつのまにか根を張っている。


——そういえば。


ナギって、彼女いるのかな。

そんなこと、今まで考えたこともなかったのに。


そもそも、いくつなんだろう。

年下な気もする。

話し方も、雰囲気も、どこか落ち着いていて、

でもときどき、年相応に見える瞬間もあって。


……それなのに。

倉庫で書き物をしている横顔とか、

今日、街を歩きながらさりげなく前を歩いてくれたときとか、

ふとした拍子に、すごく大人に見えるときがある。


ああいうとき、

この世界のことを全部知っている人みたいな顔をする。


——ずるい。

……って。

何考えてるんだ、私。


ここに残るか、元に戻るか。

まだ何ひとつ決めていないのに。


それどころか、

この世界で自分が何者なのかすら、まだわかっていないのに。


お湯の中で、流花は小さく息を吐いた。


風呂から上がり、

新しく仕立ててもらった水色のワンピースに袖を通す。


よく見ると、

ボタンだと思っていた飾りは、あのとき沙羅に渡したビーズだった。


——これ、ちょっと可愛すぎるかな。

髪をほどき、鏡を見る。

映った自分は、少しだけ若く見えた。


……お腹、空いてきた。

ご飯、なんだろう。

和食かな。

考えただけで、少し気持ちが軽くなる。


初めて会う人たちとの会食。

ドキドキ半分、不安半分。


でも、その真ん中に、

ほんの少しの楽しみが、確かに混じっていた。

知らない街で、

知らない人たちに会う前の夜。

考えても仕方ないことばかりが、

静かなところに集まってくる。

決めなきゃいけないことは、まだ先。

わからないことも、きっとわかる。


今回は流花の独り言回でした


ここまで読んでいただきありがとうございます。

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