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この世界は、小さく静かでちょうどいい~小さな体ではじまる異世界転移〜  作者: ウラン
第2章《小さな世界の仮住まい》

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第45話 旅の準備

それから、旅の準備に何が必要かを考えることにした。

相手は、もちろんキヨさんだ。


ナギは「ヒロさんと将棋を打つ」と言って、奥の部屋に引っ込んでいる。


居間のテーブルで向かい合いながら、キヨさんが指を折る。

「会議は一週間でしょ」 「前後を合わせると、十日くらいは必要ね」

十日、と聞いて、流花は少しだけ背筋を伸ばした。


「服は、もう少しあった方がいいわね」

「下着も、少し買い足しましょう」

「向こうの宿で洗濯はできるだろうし」

さらさらと、生活の話が進んでいく。


「会議に出るなら」

「少し、ちゃんとした服もあった方がいいわ」

その一言に、流花は頷く。

「今からなら、間に合うと思うけど 沙羅のところ、行ってみる?」

その提案に、迷いはなかった。

「はい お願いします」

そうして二人は、連れ立って店を出た。


「沙羅~、いるー?」

いつもの調子でキヨさんが声をかける。

「はーい」

奥から顔を出した沙羅は、流花を見るなり目を細めた。


「あら そのワンピ、こないだのだね」

流花の青緑のワンピースに、視線を落とす。


「やっぱり、その色にしてよかった とっても素敵よ」


「……ありがとうございます」

流花は、少し照れながら答えた。


「実はね」 流花が切り出す。

「風読みの街に、十日ほど行くことになってね     あと二着くらい、お出かけ用に作ってもらえますか?」

キヨさんが、すぐに言葉を足す。

「この子、行ったことないって言うから ナギの会議のついでに、連れていってもらうことにしたの」

「ツカサのところにも行くから 少し、ちゃんとしたのも作ってあげたくて」

沙羅は、ふんふんと頷いた。


「了解です いつまでに欲しい?」

「来週の休みには、取りに来るわ」

「あと、下着も二セット」


「色は……」 沙羅が少し考える。

「紺でいいと思うけど 流花ちゃんは、どう?」

流花は、首を振った。


「似合いそうなのを、作ってもらえれば 沙羅さんすごくセンスいいから、任せます」

一瞬きょとんとしてから、沙羅が笑った。


「嬉しいこと言うじゃん」

「じゃあ、任せて!」


「休みの午前中に取りに来るわ よろしくねー」

「まかされたー」

そんなやり取りをして、二人は店を出た。


「キヨさん」 歩きながら、流花が小さく言う。


「ありがとうございます。こんなことまでしていただいて」

キヨさんは、足を止めずに答えた。

「いいの」


それから、ちらっと流花を見る。

「娘なんだから遠慮しないで。ね」

その言葉が、胸の奥に、ゆっくりと染みていった。


ここまで読んでくださって、ありがとうございます。

今回は「旅の準備」の回でした。

服を選んだり、持ち物を考えたり、誰かと一緒に予定を立てる時間って、特別なことが起きなくても少し嬉しいですよね。

流花がこの街で「守られている」と感じる瞬間を、そっと置いてみました。

引き続きおつきあいいただけたら嬉しいです。

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