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第28話 加工するということ

「ここは……文房具、かな」

棚に並んでいるのは、紙とペン。

筆や色紙なんかもある。

用途ごとに分けられているのが分かる。


「そのままじゃ、使えないけどね」

ナギが言って、懐から一本のペンを取り出した。


見た目は、よくあるペンだ。

でも、そこにあるペンとは明らかに違うとわかる。

「これ、元はあそこのペンだよ」

「え……」

「インクはそのまま、でも、切ったり小さくしたり、詰め直して外側は別の素材で作って」

「そうやってここのみんなが使う用のペンが作られているんだ」


「もう何世代も、みんなで研究してきた」

「特に職人さんたちがね」

ナギは、ペンをくるりと指先で回す。


「この場所にあるものも、無限じゃないし」

「使い切ったら終わり、じゃ困るでしょ」

「だから、自分たちで作り出さないといけない」

流花は、棚を見渡した。


紙も、ペンも、どれも新品のまま。

でも、そのままでは生活に合わない。


「この街、風受けはね」

「服飾系の研究者や職人が多いんだ」


「隣の町は、農業とか畜産が得意で」

「食品加工の人も多いよ」


「町ごとに役割がある」

「そして新しいものを作る」

「そうやって、成り立ってる世界なんだ」

ナギは、少しだけ笑った。


「だからね」

「大きくて使えなさそうなものも」

「持って帰って、考えてみると」

「案外、使い道が見つかるかもよ」

そう言って、差し出されたのは——


カラフルな鉛筆キャップだった。

赤、青、黄色、緑、紫。 

透明でキラキラしてるそれは

流花の腕ほどもある。


「……懐かしい」

小学生の頃、使っていた記憶がある。

でも、こんな大きさで見るのは初めてだ。


「きれいだけど……」

「何に使えばいいんだろう」

色鮮やかで、形も単純。

それなのに、用途がまったく思いつかない。


流花は、しばらくそれを見つめた。

この世界では、

「分からない」は、

「まだ考えていない」という意味になる。


そんな気がした。


流花が“作る側の思考”に一歩踏み込んだ

次は

この鉛筆キャップがどう転ぶか

もしくは「流花自身が加工される側から、加工する側へ」

自然に繋げられる。

今日はここまででも、すごく満足感ある一話。

続きはまた、頭が冴えてるときに行こう。

ここまで読んでくださってありがとうございます。

この世界では、

「あるものをそのまま使う」よりも、

「考えて、手を入れて、次につなぐ」ことが大事みたいです。

倉庫は、物置というよりも、出発点。

流花も、少しずつその感覚に触れはじめています。

次も、もう少し倉庫の中を歩きます。

また読んでもらえたら嬉しいです。

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