4・北の国の衛生改革(志村甲・長村門道)
色々忙しく不定期投稿となっています。
申し訳ありません。
しばらくこんな感じになってしまいます、気長にお待ち頂けましたら幸いです。
(・・・指は動く・・・身体は動く・・・感覚はある)
「守護様お気付きになりました!」
「おぉ!良かった!」
周りが騒がしいが無視する。
(痛みは無いようだ、目もちゃんと見える)
上半身を起こす。
「おぉ!お目覚めになったぞ!」
「誰ぞ茶を待て!」
侍?らしき人々が周りを囲んでいる。
武器は外装の作り込みと身のこなしから本物のようだ。
「渡来人殿、北陸宝来国にようこそ、拙者この北の国の大老を務めております山口と申します」
(時代劇では無いな、着物がこなれていてどう見ても本物だ。これは転移か?過去に来たのか?北陸宝来国などは聞いた事が無いから別世界への転移か?)
渡された茶を一気飲みする。
(まずい・・・)
「これはご丁寧に私は志村…いや、長村門道と申します」
「少し混乱されて居ると思いますが、こちらの世界の話をさせて頂きます」
*********
なるほど、向こうの世界から人が流れ着き知恵と繁栄もたらすのか。
10年前に9人の渡来人が東の国に現れた。東の首脳陣は普通1人程度なのに大量の9人もの渡来人漂流に大喜び。
でそいつらは3年後しらっと裏切り、革命を起こして国を奪ったのか・・・
で周りの国を侵略戦争を仕掛けているって・・・
それは繁栄じゃなくてその国、いやこの世界に混乱をもたらしてないか?
そいつらは明らかにイレギュラーだと思うぞ!
「だいたい分かりました。不思議ですね」
「良くわからないのです。何かことわりがあると思うのですが・・・ところで門道殿は何か仕事をされてしましたか?」
「もちろん仕事人ですが、歳を取りせがれに仕事は譲りました」
「ほう、何の仕事ですかな?」
「医術を少々嗜みます」
「それは願っても無い!この国は病で亡くなる者が多いのです!ぜひお力をお貸し下され」
「魔法とかポーションは無いんだな?」
「はい?魔法とは?」
「呪文を唱えたりするやつ」
「あぁ!祈祷ですな!もちろんございます」
(こりゃ魔法は無いな)
「ぽう、しょんとは、どんな物でござる?」
「飲むと傷が治って元気になる薬だな」
「それは伝説の神薬ですなぁ、神話などには出て来ますな」
(転移したのだから何かしら超常的な物がありそうだが・・・)
「まぁ、いい街中を案内してくれないか?」
「はっ!かしこまりました」
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二頭立ての馬車で街中に進む。
白い屋敷の広い庭に人がひしめきあっている。
「此処は?」
「医療所でごさいます」
人は多いがちゃんと並んでいる。
人々を見るとどこか薄汚れている。
「何を渡しているんだ?」
「この薬です」
「これだけか?」
「はい」
(なるほどドクダミか・・・ん?)
起き上がれずに担架に乗せられている者、歩行がおかしい者、顔色が悪い者・・・
「ちょっと待て!」
並ばせて、すね・足首を指で押すとへこみが戻りにくい。
「脚気だな」
「不治の病です・・・」
「玄米と餅麦を食わせとけ」
「は?それで治るのですか?」
「治る!」
「おい!聞いたか!皆の者!門道殿の言う通りにうごけ!」
(まずは衛生面だな)
俺の周りに巫女装束の者が集まってきた。
一番前にいたきつめな顔の女が前に出た。
「なにか?」
「ここの薬師長の春代と申します」
(ほう、ここの実務者のトップかな?なかなかいい面構えだ)
「渡来人様お願いでごさいます!我々に知恵をお授け下さい!この薬だけでは救え無いのでございます!」
「とりあえず衛生面を改善したいな」
「は?えいせいめんとは?」
「うーーーん・・・あぁ、“穢れ”を落とす事と言えばわかるか?」
「落ちるのでございますか!」
「うん、落ちるぞ!石鹸という物の作り方を教える。それで洗えば穢れが落ちる」
「ぜひ!ぜひご教示下さい!」
「あぁ、あと他の薬も教えるから作ってくれ。人はまだ居るのか?」
「はい!門道殿、他からも薬師を集めます!」
「宜しく頼みますね」
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ムクロジはかなりあるそうなので、実の皮を水に入れ振る。
そうすると天然のハンドソープになる。
手洗いを権力を使って習慣化させる。
あとは定番の米糠だ。風呂で袋に入れて肌を擦るときれいになる。
服などはかまどの灰に水を入れ一晩置き、その上澄み液を使えばアルカリ洗浄液の完成だ。これが皮脂を落としてくれる。
コレと男湯と女油を分けた公衆浴場を作った。
ただ、江戸時代の公衆浴場の欠点を改善し換気を気をつけ雑菌の繁殖を抑えた。
湯の汚れを防ぐ為にまず洗い場で身体を洗い、そのあと湯船に行く事を徹底した。
最後にきれいな沸かし湯をかけて退場するようにした。
日々、営業後は徹底して掃除をさせた。
さて、固形石鹸だ。
固形石鹸はこっちの世界には無い事が分かった。
“穢れを落とす事が出来る”と宣伝すればかなり高額で売れるだろう。
木灰水に溶かし上澄み液を取って何度も煮詰め、濃度の高い強アルカリ液をつくる。
ラッキーな事に海にも面して居るので、貝殻を焼き生石灰を灰汁に混ぜた。
これで成功率がかなり上がる。
大釜に鹿・熊の油を入れ弱火で温め強アルカリ液を少しずつ混ぜていく。
ひたすら何日も交代で煮込みまぜる。
油脂とアルカリが反応しドロドロになるまで煮込む。
大量の塩を入れると塩析分離により石鹸成分が表面に浮き上がり不純物が下に沈殿する。
石鹸を木型に入れ数ヶ月乾燥させれば完成だ。
菜種油なども使い、沈香など香りを付け高級なものも作り輸出の目玉とした。
薬は萬金丹・反魂丹・葛根湯・小柴胡湯・十味敗毒湯・抑肝散と現代でも代表的な物を作る。
正露丸を作りたいが、木クレオソートが作れない。
途中までは作れると思うが、いかんせん精製が何とも難しい。
きちんと精製しないと毒素が多くて使えないのだ。
クレオソートがあれば他にもいくつかの薬が作れるのだが・・・
まぁ、こればかりはしょうがない。
あと病気の予防対策として飲料水は煮沸して飲むか濾過をする。
簡単な濾過装置を教えた。
ただこの濾過した水は長持ちしないため、何日も貯めないように指導する。
コレでかなりコレラや赤痢のリスクが減るはずだ。
あと下水に蓋をし蚊の発生を防いだ。コレで日本脳炎が防ぐ事が出来る。
ボウフラをわかせないように水溜りは小まめに捨てるように指導する。
池などはメダカや金魚を飼うようにさせる。
成虫が隠れる場所を無くすため草刈りをまめに行わせる。
あとは除虫菊だが、この国にコレがあった!
蚊取り線香が作れる!
花を乾燥させ粉末にし同量のタブノキ樹皮の粉と水を混ぜ練る。
形を作って乾燥すれば完成だ。
除虫菊も増産体制に入らせた。
あと西の国は鍛治が得意らしいので、ソロキャン用の小さい二次燃焼ストーブを大量に発注した。
薪が貴重な時代なので、これがあれば松ぼっくりが少しあれば簡単にお湯が沸く。
このストーブ・石鹸・薬・蚊取り線香を他国に販売し徐々に国力が上がって来た。
俺は北の国の“御伽衆”と言う役職になった。
まぁ、国の相談役みたいなもんだ。
薬師長の春代は俺直属の部下になった。
最近口うるさくなり世話女房になっているが・・・




