3・南の国の生産性向上(八代誠・尾上一斗)
(・・・これじゃあダメだ)
南の町の農地を見て回る、全くお話にならない。
人類の歴史は飢えとの戦いと言っても過言では無い。
我々の日本でも昭和までは“ひもじい”という事が多々あった。
元号がかわり平成になった頃より、やっとひもじさに勝てるようになった気がする。
この世界はたぶん平安時代なみの生産性だ。
ひもじいなんて生やさしいもんじゃ無い。
とにかく飢えとの戦いだ。
この程度の生産性だと産業も発展しないし人も増えない。
っと言う事は優秀な人も出て来ない知恵も出ない、いつまで経ってもこのまんまの悪循環だ。
飢饉になればごっそり死んでしまう。
いわゆる負の無限スパイラルだ・・・
「現状は分かりました。早急に出来高を倍増させます」
「一斗殿そんな神のような事は無理ですよ。出来ればもうやってますよ」
あちこちから嘲笑される。
「黙れ!一斗殿に逆らった者は罰を与える!」
守護様が家来に言い放った。
「大老!老中!・若年寄!一斗殿を支えよ!そして一斗殿の御身分は御伽衆とする!」
「皆さん嘘だと思うでしょう?騙されたと思ってこの一斗に少しお時間を下さい。宜しく頼みます」
皆に頭を下げた。
(とりあえず二毛作と灌漑と肥料から始めるか)
米を収穫した後に麦を植え収穫を倍にする。
簡単な水車による灌漑で丘にも水を曳き土地を開墾する。
土を肥やす為に干し魚や植物灰や堆肥作りそれらを使う。
************
「一斗殿、家臣一堂心より感謝致します」
「食物も何とか民に行き渡るようになり、飢える者も居なくなりました」
「街は店などが増えております!」
「しばらく他国に売る分を減らし、飢饉に備えて備蓄も増やして下さい」
「わかりました!」
数年たって生産性も倍増し、農業に関する枝の仕事が増え経済も活性化してきた。
南の守護様も大喜びしている。
俺は城下に屋敷を構えて城に通っている。
役職はそのまま御伽衆だ。
まぁ、首脳陣の相談役みたいなもんだ。
「それは重畳。大老殿・老中殿・若年寄殿もう少し改革を進めたいのだが?」
「これ以上まだ増産出来るのですか!!」
「まだまだ豊かになりますよ」
「おぉ!素晴らしい!夢のようだ」
「まさに御伽話ですなぁ!」
さてと、お次はノーフォーク農法だ。
ただしちょっと変えた日本版になる。
これまでの水田の稲作から、畑作の農法も導入するのだ。
耕地を4つに分け毎年作物を順番に変えて休耕地を減らす。
麦・豆類・穀物と野菜・クローバーなどの牧草の4種を栽培する。
豆類を入れる事により土壌の窒素が補給され、肥料に頼らない農業が確立される訳だ。
そうすればそうそう崩れる事の無い、増産の為の“仕組み作り”の完成だ。
豆類が取れば納豆・味噌・醤油・あんこが作れる。
それを加工する場が出来る。
そしてそれを提供する場が出来る。
このように基幹産業を強化すれば、それに付随する物がどんどん広がって行くのだ。
それが経済だ。
あと甘味が欲しいがサトウキビが見つからないので養蜂を始めた。
これで蜂蜜が手に入る。
養蜂は国益になるので国の事業にした。
あとは米や麦や粟を蒸して粥にし、そこに麦芽をまぜてでん粉を糖化させる。
濾した液を取り除き煮詰める。
そうすれば麦芽糖、要は水飴の完成だ!
あんこも色々な野菜も作るし、これでお菓子文化と料理文化も花が咲くだろう。
(鳥の照り焼きも食べたいしな)
とても楽しみだ!
そして数年で南の国は農産物の生産と輸出の大国となった。
尾上一斗こと八代誠は家中から絶大な支持を受けている。
(今更、八代とか言えないから、もう尾上一斗でいいか・・・)




