15・草原
「我々2名以外は全滅になりました」
東の渡来人を狩らに行った三国の忍びが戻って来て報告を行っている。
(なるほど毒とはな、現代人の日本人我々にはダブーの感覚があって使えないがな。まぁ正確には偽装毒か?)
それにしても正直言って5人を始末するとは思わなかった。こっちの世界の者は実戦慣れをしている。
これでレンジャーの常だけになったので、コレでかなり楽になる。
忍びに敵の侵略の進路の説明を受ける。
さて我々は何処で待ち受けるかだが、奥ノ原と言う平地一択だ。
我々の作戦が展開し易く、なにしろあのレンジャーとの力の差が出ない。
純粋な剣の勝負に持ち込まなければ、我々に勝ち目は無い。
山や市街地戦になれ全く無い1ミリも無い。
そのぐらい訓練した兵士との力の差がある。
「俺にやらせてくれ」
「志村さん同門はやりにくいんじゃ?」
「いやそんな事は無い。奴の技は知っているが奴は俺の技を知らないからな」
「分かったじゃあお願いするけど、無理はしないでください」
「分かってるよ、じじいだからなw」
時間をかけてそちらに引き込んでもらう。
ここまで到着するまで、あと数ヶ月はかかるであろう。
待ち受けて色々仕込む事にする。
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奥ノ原、ここ抜ければ南の国だが・・・
「前方のアレが気になりますね」
「2週間前は無かったな?」
「間違いなくありませんでした」
目の前に長屋らしき建物が連なって立っている。
「まぁ、敵だろうな、第二進軍体制で進め!」
前衛が3つに分かれた中央にも剣、その後ろに弓、その後ろに常こと夜が居る。
半分を過ぎたあたりで異変を感じる。
「全軍停止!」
耳を澄ませる。
(おかしい、静か過ぎる)
バチバチ、ジ!ボゥ!
周りの温度が上がり爆ぜる音と熱風が来た。
(火攻めか!)
あっという間に火に囲まれるがすぐに馬から降り、ダッシュして火の壁を突き破った。
案の定、外には敵が居て槍を突いて来た。
それを払い相手に斬り込む。
敵は何ヶ所かのトンネルから出てきているようだ。
仕込んでいたんだろう。
火で囲み動けないようにしてそこに大量の弓矢を撃ち込んでいる。
そして、俺のように火攻めから抜けた者を始末している。
俺を囲んでいた敵が下がり輪になる。
人壁が開き男が出てくる。
「名前は常だったか?」
「ほう、誰かと思えは先代の頃の年寄りか!」
志村が剣を抜く。
「さて、お仕置きだ小僧」
「何言ってやがるこの年寄りが!」
常が喉突いて来たところを半身になり避け素早く前に抜ける。
「やはりジジイだな!避け方も大きいな」
「そうか?そんな事無いと思うぞ?」
「じじい、俺の見切りを見せてやるよ。紙一重とまでは行かないがこっちに来て身体能力が上がってお陰で良い所まで攻められるんだぜ!ジジイには出来ないがな」
「ほう?じゃやってみるがいい」
志村が左手で胸をガードしながら右片手で常の喉を突いた。
常はその場から動かず首を少し傾けてギリギリで避けた。
「見たか!これぞ神の見切り!」
志村は攻めより速いスピードで退がりながら、常の首横にある突いたままの剣先を数センチずらした。
常の首から血が噴き出る。
「ちゃんと避けないと首切られるぞ?首だけ避けるってお前それ韓国剣道か?スポーツだな」
常はまさかと言う顔をしている。
「まぐれだ!」
志村はそのまま軽く攻撃をする。
常は大量に血を流しながらも軽やかなステップで避ける。
「みたか!この流れる水の如く華麗な足運びをを!」
しかし直ぐに、今まで当たらなかった志村の攻撃が当たりはじめる。
「どっ、どう言う事だ!ぐえっ!」
常の腹をえぐった。
「お前の動きはこっちの動きを見て動いているんだよ」
「当たり前だ!クソジジイ!」
「それはただの反射だ」
「俺はレンジャーなんだよ!身体能力が普通のやつより良いんだよ!」
「確かに反射として優秀だがな、でも刺されただろ?」
「まっ、まぐれだ!」
「そうじゃ無いんだよ。俺が徐々にノンアクションで攻撃しているんだよ」
「問題無い!」
「あるから刺されてるんだバカ者!」
肋骨から心臓を突く。
「なまじ身体能力が高いからそれに頼ってしまうんだ。起こりを捉えられないといつまでも二流だぞ、まぁ生まれ変わったらその稽古をしろ」
「うっ、うるさい・・・お前になぞやられん!」
そう言うと常は火の中に入った。
青い炎になり燃え尽きた。
(何だ今のは!さすが異世界!)
東の鬼兵隊は戦力の半分以上をこの平原で失った。




