11・時差
「ところで志村さん、連中と俺らの歳が変わって無いように見えたが?うちの竹山宗家も40代半ばと言ったとこか?これをどう思う」
「おお!吉間さんもそう見えたか。こっちに来た時期に差があるみたいだね。俺はこっちに来て3年になるが吉間さんはどのくらいになる?」
「俺はそれより1年早いなぁ4年になるよ。あいつらは10年ぐらい前らしいから、どういう訳か?時差があるようだね」
「っと言う事はだ!」
「ん?なんだい志村さん?」
「南の国が怪しいな・・・」
「南の国がどうかしたのかい?」
「最近、南の国の作物が増産されてるでしょ?」
「あぁ、最近は少しづつ輸出もしてるね」
「八代さんは農業研究所勤務だったよね?」
「あぁ、そうだった!新種の野菜テストで味見でもらったりしてたね」
「間違いないね」
「八代さんだな、違いない!」
「じゃあ吉間さんも西の守護様に話し通してくれないか?一緒に南に行って確かめよう」
「八代さんの突兵拵も持って行かないとね。他に何かあるかな?」
「そうだねぇ、そのまま同盟組んでも良いように、実務者の同行もお願いして見ようか?」
「そうしよう」
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南の国に西と北の守護様から文を送ってもらい、使者を向かわせる旨を知らせた。
直ぐに返信が来た。
待っているとの事なので急ぎ出発した。
南の国の国境の門をくぐると日本の田園風景が広がっていた。
「これは八代さんだな」
「間違い無いな」
「長村様、八代さんとはどなたですか?」
弟子で薬師長の春代は細々と俺の面倒を見てくれている。(女房気取り、いや老人を介護してくれてるヘルパーさんっと言った感じかなw)
今回の旅にも希望し同行している。
正直こっちの常識が分からない事が多く、かなり助かっている。
「昔からの信頼出来る仲間だよ」
「それは楽しみでございますね!それにしても田畑が豊かで羨ましいですね」
「ああ、これが八代さんの仕事だったからな」
「やはり渡海人の知恵は凄いですね。10年前不二山に青い光が上がった時には国中がガッカリしましたよ」
「何それ?」
「青い光?」
「えっ?聞いていませんか?」
「何を?」
光の色で渡来人がどの国に現れるのかが分かるんですよ。
春代の説明によると、不二山に青い光が上がると東の国、赤い光は西の国、黄色の光は北の国、緑の光は緑の国に現れると言う事だ。
「あぁ、だから待っていたのか・・・」
「そうです、祠で待って居れば現れますから」
「なるほどね」
春代の話しを聞きながら暫く街中を進むと城が見えて来た。
城と言うよりちょっと高台にあるお屋敷と言った感じだ。
正門前に何人か人が立っている。
真ん中の人がこっちを確認し手を振っている。
「おーい!」
「久しぶり!」
手を振り返した。
「やはり西と北の国の渡来人は志村さんと吉間さんだったか!」
「こっちも南の状態を聞いてピンと来たよ!ところでこっちに来てどのくらい?」
「もう少しで3年になるかなぁ」
「やはりこっちに来た時に前後の差があるようだね」
「詳しくはまた後で話そうか」
「八代さんこれ、大和守写し」
「おっ?これ吉間さん新しく作ったくれたんだ!これはありがたい!突兵拵も再現してくれたのは嬉しいね。剣の使い勝手と言うのは、ほぼ拵で決まると思ってるよ」
「重さもバランスも拵がかなり重要だからね」
刃を自分側に向け左手に鍔下鯉口を持ち右手で鞘を持ち、刃を自分側に向け掲げ刀礼をする。
鯉口を切りゆっくり抜く。
互の目の刃文が姿を現した。
『おぉ!』
その美しさに周りから声が上がる。
「一斗殿は武士なのですか?」
目付役の頭が不思議そうな顔をして聞いてきた。
「いや、仕事は農業関係だよ」
「何故、剣をお持ちなんでしょう?」
「うーん、でも向こう側では剣士でもあるんだよ」
「はぁ、二足の草鞋と言うやつですか?なかなか忙しいですなぁ」
何か納得?したようだった。
「八代さん一斗とは?」
「こっち来た時、尾上一斗と名乗ったらそのままでね・・・」
「そりゃ酷い!子連れなんちゃらだ!水○流斬馬刀!とか、俺は単芸左前にしたよ!」
「片目片腕か!姓はたんげ!名はしゃじぇん!」
「俺は長村門道だ!2人よりマシだよ!」
「必殺の仕事の人だ!昼行燈かい!」
「みんな酷すぎだよwww」
皆、似たような事をしている。
相変わらずで安心した。
久しぶりに大笑いさせてもらった。




