森の人気者
「ねぇねぇ、鷹さん、私の声届いてる?」
りすは空を見上げる
鷹を見上げる
勇猛な鷹を見上げる
「私のことを見てよ?」
「どうして私のこと、見てくれないの?」
鷹は獲物を狩る
野山を駆け巡るうさぎを狙う
金色のうさぎを狙う
「結局、鷹はうさぎが好きなんだね」
「りすなんて興味ないんだね」
りすは地面に座り込む
地面を人差し指でなぞる
すると、太陽が地面を明るく照らす
小さいどんぐり
大きいどんぐり
欠けたどんぐり
きれいなどんぐり
地面いっぱいのどんぐり
りすはどんぐりを集める
手あたり次第、口にほうばる
ほうばっては、家に持って帰る
ほうばっては、家に持って帰る
「かえるさん、たくさんどんぐり見つかったんですよ。おすそ分けです」
「まぁ、ありがとう、りすさん」
「トンボさん、たくさんどんぐり見つかったんですよ。おすそ分けです」
「まぁ、ありがとう、りすさん」
「ありさん、たくさんどんぐり見つかったんですよ。おすそ分けです」
「まぁ、ありがとう、りすさん」
りすは森の人気者
一番の人気者
ひとりぼっちの人気者
グワン、グワン、グワン
グワン、グワン、グワン
「どなた?」
「あなたをお迎えにあがりました」
「あなたは鷹さん?」
「はい、そうです」
「まぁ、なんてこと」
「あなたが大好きです」
「あなたは、うさぎが好きなんじゃないの?」
「確かに、うさぎが好きでした」
「まぁ、そうでしょう、うさぎは金色に光ってますし」
「僕も金色に目がくらんでました」
「どうして私を?」
「気づいたんです。茶色が一番、美しいって」
私は、茶色のリス
こげ茶色のしましま模様
ちびっこのリス
「茶色の私を愛してくれる?」
「はい、一生愛します」
「まぁ、こんなことがあって良いのかしら」
「はい、他の生き物たちが教えてくれました」
「他の生き物たち?」
「はい、かえるさん、トンボさん、ありさん…」
「まぁ、そんな…」
「皆が教えてくれました。あなたが一番、美しいと」
「ありがとう、みんな」
「私のフィアンセになってくれますか?」
「もちろんです、鷹さん」
りすは鷹の背に乗った
グングン、グングン、飛んでいく
見たことのない空に飛んでいく
雲の上へ飛んでいく
雲の上には虹がかかる
色とりどりの虹がかかる
どの色が一番、美しいですって
もちろん、決まってます
茶色が一番、美しいですから




