禁断のお買い物
今日も私の大好きな娘と義母のお話です!(#^.^#)
「奏ちゃん、ちょっといい?」
私の部屋がコンコン!とノックされた後に聞こえた義母の声にちょっとドキッ!とする。
また何か“やらかし”たかなあ……
“やらかし”はしょっちゅうだし、その事で義母から叱られたりはしないけど、忙しい義母に余計な手間をかけさせてしまうのが申し訳なくて悲しい。
とにかく急いでドアを開けると、義母はいつになくはにかんだ表情を頬の辺りに漂わせている。
「ちょっと相談と言うか……聞きたい事があるの。」
「えっ?! 私でいいの?」
「奏ちゃんがいいの!だって隼人さんの事だから……」
「それなら……お父さんは絶対浮気なんかしないよ!」
即座に返した言葉に義母は一瞬固まって大笑いした。
「うん!それは分かってる!全然心配してないから」
指で涙を拭いながらも笑いの止まらない義母につられて私も大笑いしている。
「まあ、お父さんなんかがお義母さんに好かれる事自体が奇跡なんだから!」
「あらあら、私のダンナ様を“なんか”なんて言わないで」
「それは娘の特権です!」
ここで義母はまた吹き出したのだけど、その目が悪戯好きの乙女の色になった。
「じゃあ、悠耀も息子の特権で私の事を“なんか”って言っていいんだ」
「え~っ!それは絶対ダメ!!」
「どうして?」
「……だって、お義母さんも義兄さんも素敵だから……」
「じゃあ、奏ちゃんも言っちゃダメ!」
「いや、それは……」
「ううん!ダメよ!奏ちゃんも隼人さんもとっても素敵だから」
私の手を取って真顔でこんな事を言われて……私は照れ照れになってしまうのだけど
「でね、奏ちゃん!」
と義母は本題に入った。
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義母と……『どこで攻略するか?』を検討した結果、日用品と同じカゴに入れてレジを通せると言うハードルの低さから総合スーパーで買い求める事にした。
で、先にキッチンペーパーや柔軟剤や私のノートなどをカゴに入れ、いよいよ男性の下着売り場へ!!
同じフロアとは言え、このエリアに足を踏み入れたのは私も初めてだ。
「考えてみれば……お父さん、下着だけは独りで買いに行ってたみたいなんだ。それも滅多にある事じゃ無かったから、下着はみんなヨレヨレでさ!『男やもめに蛆がわく』ってこんな事を言うんだなって思ったよ。冬になるとこう言うのを着てた。それもみ~んなヨレヨレ!」とベージュ色の股引を指差す。
「そうなの?」
「そうだったんだよ!それが突然、洗濯物が変わってきたの!パンツだって、なんだかお洒落な柄だし……いくら寒くなっても洗濯カゴに股引が入る事が無くなったの。でね、分かったの「誰かとお付き合いしてるんだな」って!」
「そっか、奏ちゃんにはバレバレだったわけね 不愉快に思った?」
「それは無い! ただ……」
「ただ?」
「お父さんがまた悲しむ事になったら嫌だなあって」
「奏ちゃん……」
「だからお付き合いしてくれたのがお義母さんで……私、お義母さんにはどんなに感謝しても足りないんだ!」
私の言葉にお義母さんが涙模様になりかけたので私は慌てて話題を変える。
「でもさあ!お父さん、寒く無いのかなあ~ ほら!こっちのレギンスとか柄入ってるし良くない?」
「そうねえ~最近はこういうのを履いてる人、見掛ける様になったわね」
「えっ?!」
「ほら!私、看護師だから」
「そっか、男性の下着事情も見知ってるお義母さんの前で……」と言い掛けて、ハッ!と気が付き口を閉じる。
「えへへへ」「ふふふ」とお互い会話をやり過ごす。
「お義母さん!これ買おうよ!私が『やせ我慢しないように!これ履きな!』ってお父さんに言って置くから!」
「アハハハ!ありがとう! 因みに今日は悠耀の下着も買おうと思うのだけど、奏ちゃん選んでみる?」
「ええええ??!!」
「だって、奏ちゃん、平気で悠耀の下着を洗おうとしたじゃない」
「もぉ~!! それ、今言わないでよ!」
こう言う時のお義母さんは本当にお茶目で……私達は『嬉し??恥ずかし!!』の“禁断のお買い物”をキャイキャイ言いながら続けたのだった。
おしまい
このお話は「義兄のいる風景」 https://ncode.syosetu.com/n4287jp/ のスピンオフ作品です。
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