旧支配者からの宿題
掲載日:2024/12/27
「くそ! 失敗!?」
暗い部屋の中で女性が叫ぶ。
彼女の実験はまたも失敗したのだ。
半狂乱になって泣き喚く彼女を見ながら隣に座っていた男性が言う。
「もうやめようぜ。こんな無意味なこと」
「うるさいな! 次は上手くいくから……!」
そんな言葉を言う女性を見て男性は心底うんざりした。
もう、この光景は何千、何万……いや、もっと多くの回数を見ているのだ。
男性はそんな彼女から視線を移し部屋に貼られている、かつてこの世界を支配していた者からの命令を眺めた。
『死の世界に変わってしまったこの星に命を創ってほしい』
この星を死の世界に変えてしまったくせに、その後の処理を任せるなんて……旧支配者である人間とは実に身勝手なものだ。
「次、次……って言いながらもう119229回も失敗してんじゃん」
「うるさいな! 無駄口叩く暇があったら手伝ってよ!」
その言葉に男性型アンドロイドは重い腰を起こす。
「はいはい。仰せのままに」
きしり、きしりと機械の身体を動かして相方である女性型アンドロイドの隣に立って実験に付き合い始めた。
寿命を持たない二体の滑稽且つ無意味な時間は今日も穏やかに流れていた。




