20.彼女の分だけ豪華な昼食とエキゾチックな天幕
まずは一旦、彼女を地面へおろす。すると、ばっと駆け出してどこかへ行こうとした。でも、リードに繋いであるからすぐに止まった。緑と白のリードがびぃんと、引っ張られる。ああ、良かった。リードをしておいて。
「ロッティ? いきなり走り出したらだめじゃないか……」
「す、すみません。つい」
「今からご飯にするよ。ほら、戻っておいで?」
「はーいっ!」
可愛くお返事をして、嬉しそうな顔でとっとこ、とっとこと駆け寄って戻ってきてくれた。兄上から「お前は甘すぎる」と言われているが、こんな可愛い顔を見たら許すしかない。笑いながらしゃがむ込むと、嬉しそうに頭を擦りつけてきた。ふわふわだ、可愛い。
「可愛い~! 冒険はあとでにしようか。お腹が減ったんだろう?」
「はい! シェフ特製、私専用のランチメニューなんですよね……!?」
「ああ。一緒に食べれるように工夫してくれた。でも、私のにはお肉が入ってるからね? だめだよ、食べちゃ」
「はい……。でも、ちょっとぐらいなら、食べてもお腹壊したりしないんですけど?」
「それでもだめだ。ぽんぽんが痛くなっちゃうよ?」
「子供扱いしないでくださいよ、も~!」
シャーロットが不貞腐れて、私にふわふわなお尻を向ける。いつもは下がっている尻尾がぴんと立っていた。可愛い。つい、尻尾を撫でてしまう。
「ごめんよ、子供扱いしてる訳じゃないんだ。可愛くてつい、どうしてもね」
「……ならいいです。最近のアルフレッド様、赤ちゃん言葉が増えてきましたよね?」
「うっ、すまない。つい、可愛いすぎて……」
落ち込みながら謝ると、機嫌が良くなったのか、むふむふと鼻息荒く振り返る。
「なら仕方ないですね! ご飯は? ご飯っ」
「ああ、ちょっと待ってくれ。その前に天幕を設置しなきゃな」
「天幕を……?」
「兄上が用意してくれたんだ。この前、義姉上と一緒に使ったらしい。ほら、これ」
コートのポケットから、紺色のスティックを取り出して蓋を外す。先端は鋭く、針のように尖っていた。シャーロットには少し離れていて貰い、スティックを地面に突き刺すと、ぼんっと音を立てて、立派な天幕が現われた。横にいたシャーロットがグリーンの瞳をまん丸にし、首を傾げる。
「てん……まく? これがですか!?」
「うん。中にピクニックバスケットが入ってるよ。ああ、そうだ。イーデンに着いたよって連絡しなきゃな」
定期的な連絡が無いと、捜索する手はずになっている。コートの黒いボタンをぐっと押し、口元を近付けて話す。
「イーデン? こちらアルフレッド。無事に春の森に辿り着いた」
「分かりました。じゃあ、次は三十分後に連絡してください」
「ああ。ただ、これから昼食を摂る予定だから遅くなるかもしれない。でも、心配しないでくれ。大丈夫だから」
「了解」
短い返事だ。彼らしい。私がボタンから手を放すと、早速、シャーロットがそーっと入ってゆく。このテントは深い青色をしていて、かなり大きい。出入り口に垂れ下がっている青い布には、金色のタッセルがいくつも縫い付けられていた。てっぺんには王家の紋章が描かれた、金色の旗が揺らめいている。
私も靴を脱ぎ、青い布をくぐり抜けると、木組みが目に飛び込んできた。天井は高く、強烈な赤と青のモザイクガラスのシャンデリアが吊り下げられている。床には擦り切れた青い絨毯と、ふわふわの毛皮が敷いてあった。それに、壁と言っていいのかどうか、よく分からないが、壁際にはダークブラウンの本棚が並んでいる。
兄上と義姉上の趣味だろうか? 美しい装丁の本ばかり並んでいた。その隣には同色のキャビネットが並んでいて、アンティークのランプや異国の雑貨がこまごまと飾られている。でも、ひときわ目を惹くのは、奥にあるクッションとソファーだった。白い布張りのローソファーに、刺繍入りのクッションがいくつも乗せられ、その中央にちんまりと、満足そうな顔をしたシャーロットが座っている。手前には低いテーブルが置いてあって、そこにピクニックバスケットが乗っていた。
「ここ、なかなかいいですよ! アルフレッド様! 気に入りました~」
「可愛い~……。額縁に入れて飾っておきたい可愛さだな」
「へっ? 前みたいにスケッチします?」
「うーん、何も持って来てないからなぁ。しまった、持って来れば良かったか」
「じゃあ、次は持って来て描きましょうか! 私も何か描きます」
「うん……。そうしようか、じゃあ」
当たり前のように、彼女が次の話をしてくれる。それが嬉しくてたまらなかった。ようやく手に出来た幸せは、苦しくなるほど甘くて、失ったらどうしようという恐怖に襲われてしまう。
(……もしも、嫌われたら? 一瞬で終わる。何も残りはしない)
最初の頃は怖くて仕方なかった。でも、彼女が少しずつその恐怖と不安を溶かしていってくれた。にこにこと微笑みながら、「大丈夫ですよ! 好きですからね? ちゃんと傍にいますからね?」と何度でも言ってくれた。その度に救われた。彼女といると、陽だまりの中にいるような気分にさせられる。いつもいつも。
「ロッティ。抱っこしても?」
「はい、もちろん! どうぞ~」
ご機嫌なシャーロットを抱き上げ、ソファーへ腰かける。極上の座り心地だった。ふんわりと、重たくなった体を受け止めてくれる。春の暖気とあいあまって、このまま眠ってしまいそうだ。一つあくびをしながら、シャーロットを膝の間に置いて、まずはコートを脱ぐ。
「ここで昼寝をしたら気持ち良いんだろうな……」
「で、でも、先にご飯ですよね? あっ、それとも寝ますか? 私、その間にりんごチップスでもつまんでますけど?」
「いいや、大丈夫だよ。食べようか。でも、その前にもふもふがしたいなぁ」
「おわっ!?」
ひょいっと抱き上げると、驚いたのか声を上げる。しまった、もう少しゆっくり抱き上げるべきだった。あくびを堪えつつ、お詫びも兼ねて、頬へキスをした。ちゅ、ちゅ、ちゅ、と何度もキスしていれば、恥ずかしそうに「も~、アルフレッド様ったら~!」と呟き、体をくねらせる。可愛い。私はペットにキスしているような感覚だが、彼女はどうも違うらしい。思いっきり背中の毛皮に顔を埋め、深く息を吸い込む。
「は~……甘い、春の良い匂いがする」
「さっきごろごろしましたからねえ。でも、大丈夫ですよ? アルフレッド様がこの天幕を眺め回している間中、ずっと丁寧に毛づくろいしてましたから! 汚くないですよ?」
「大丈夫。土もついていないし、気にならないから。……あ、でも、ドレスには葉っぱがついてるなぁ」
「えっ!? そ、そんな!」
くすりと笑いながら、小さな葉っぱをつまんで取り除く。上手く毛づくろいが出来ていなかったと知って、落ち込んでしまったのか、膝の上のシャーロットがうつむいていた。
「私、淑女失格です……」
「そ、そっか。ほら、ピクニックバスケットを開けてみようよ。中身知らないんだ。どういうものが入ってるかな」
「ご飯っ、ご飯っ!」
「あっ、こら! だめだよ? テーブルに乗っちゃ!」
「み、見ようと思っただけなんですけど……」
しぶしぶ、テーブルから飛びおりた。不満そうだったので、「足に土がついていて、汚いからだめだよ?」と言い聞かせながらも、ピクニックバスケットの蓋を開ける。保冷と温めの二つに分かれていて、片方には銀色のスープジャーと食器、もう片方にはサンドイッチやサラダ、フルーツの詰め合わせとオードブルが入っていた。ほんのり温かいカトラリーを出して、テーブルの上へと並べる。シャーロットは人の姿に戻る気が無いのか、わくわくした表情でお座りしていた。
(うーん……。この様子を見ると、人の姿に戻ってとは言えないなぁ)
ちょっとぐらい、人の姿でいちゃいちゃしたかったんだが、仕方無い。諦めるとするか。考えを切り替え、白磁の皿を手に持ち、フォークで彼女の分をよそう。中にはメニュー表が入っていた。それによると、これは人参とカボチャのゼリーよせ、海老が入ったトマトのライスコロッケに、ウサギが喜ぶハーブとオレンジ、食べられるパンジーと薔薇の花びらのサラダ。
それから、リボンの形をしたパスタにバジルソースを絡めたジェベーゼ、サーモンと木の実のパイ包みに、じゃがいものガレット。全粒粉のパンに、レタスと檸檬、白身魚のフライが挟まれたサンドイッチ。胡桃とオレンジのパン、トマトとほうれん草のキッシュに、ラズベリープティング、シナモンと胡桃のパウンドケーキ、それにアーモンドタルトまで……。
「シェフはウサギ好きなんだな? 明らかに私のより多い……」
「かもしれませんねえ。お城でいっぱい、色んな人にもふもふして貰ってるので、その中にシェフが混ざってたのかもしれません!」
「ロッティ!? ええっと、出来ることなら私以外の人間に触らせないで欲しいって、常々言ってるよね……?」
「ぷっ?」
都合が悪くなったからか、またきゅるるんと可愛く瞳を潤ませ、首を傾げた。私がじっと険しく見つめていると、急にころりんとお腹を向ける。条件反射でつい、皿を置いて触ってしまった。
「かっ、可愛い~!! 仕方無いなぁ、もう! 次から気をつけるんだよ!?」
「はい、気をつけます! 今度からはなるべくもふもふさせませんっ」
「可愛い~……ふわふわ! ふわふわ!」
ひとしきりお腹に顔を埋め、嗅いでからソファーへ腰かける。ちなみに私の分はローストビーフサンドイッチと、玉子とベーコンのサンドイッチ、魚介類のサラダとコーンクリームスープ、レーズンのパウンドケーキとチーズタルトだけだった。シャーロットに、スプーンでゼリーよせを食べさせながら考える。
(まあ、ロッティの分が豪華で良かった……。良かったんだが、少しだけ寂しいな)
軽んじられている訳じゃないと思う、おそらくは。ただ、今日の料理を担当したシェフがウサギ好きで、彼女の分を豪華にしただけだろう。溜め息を吐いていると、ふいに彼女がこちらを見上げた。
「むぐ、何だかごめんなさい! アルフレッド様。私がこんなに魅力的なしっとり毛皮を持っているばかりに、悲しい思いをさせてしまって……」
「っぶふ、大丈夫大丈夫。でも、確かにこのふわふわは罪だね~。可愛い!」
「この国の王族を陥落させるほどの毛皮です。むんっ」
「きゃわ……!!」
まあ、いっか。ロッティが嬉しいのならそれで。必死にスプーンからむちゃむちゃと、ゼリーよせを食べている彼女の頭を撫でて笑う。しばらくしてから全てを食べ終え、ふんしゅっと鼻を鳴らした。
「もう人の姿に戻ります! 食べにくいです」
「だろうね……。だと思った」
「ちょっと甘えんぼしたい気持ちがあったので、ウサギ姿でいたんですが」
「可愛い~。もう気が済んだのかな?」
「はい! なので人の姿に戻りますね。それに沢山食べたい時は人の姿と、ウサギ姿に戻るのを交互に繰り返すと、ちょっとだけ胃にスペースが空くんですよ。ちょっとだけ」
「えっ!? そうなんだ? 知らなかった……」
私としては人の姿に戻ったシャーロットと一緒に、のんびり食事を楽しもうと思っていたんだが、彼女の頭の中には、沢山食事を胃に詰め込む考えしかないらしく、つぶらな瞳をらんらんと輝かせていた。膝からおりたあと、人の姿に戻る。
「よしっ! これでカトラリーが使えます! 食べます」
「あっ、うん。良かったね……」
「どれもほどよく塩味が効いていて美味しいですよ。あれ? アルフレッド様は食べないんですか?」
「ああ、じゃあ、食べようかな?」
もしかしたら、デートだと認識しているのは私だけかもしれない。彼女はただ単に、暖かい春の森に行って、しこたま食べる行事だと認識しているのかもしれない……。落ち込んでいると、彼女がうきうきとした様子で、お皿へパイ包みやキッシュ、サンドイッチを盛り始めた。しぶしぶと、私もローストビーフサンドイッチを手に取り、齧りつく。パンは表面がかりっとしていて、柔らかな玉ねぎと湿ったローストビーフによく合っていた。酸味のあるソースがたまらない。ぴりりと、粒胡椒とマスタードが効いている。
「は~、美味しい! どうですか? アルフレッド様もそれ、美味しいですか?」
きらきらと、澄んだグリーンの瞳が嬉しそうに光り輝いていた。彼女はいつも距離が近い。その距離の近さに息を呑みこみ、たじろぐ。思えば彼女は、婚約前から距離が近かった。柔らかそうな茶髪に白い肌、嬉しそうな表情に立ち昇る甘い匂い。たまに、自分だけが彼女に焦がれているんじゃないかと、そう思ってしまう。
(……そうか。人の姿に慣れないのは近頃、ウサギ姿でいることが多いからか)
もう婚約して随分と経つのに、慣れなくて緊張してしまう。どうしてだろうと思っていたが、人の姿でいる時間が短いからだ。好みの外見なだけに、いまだに慣れない。でも、その戸惑いを出したくなくて、にっこりと微笑んだ。
「美味しいよ。君が食べられるものであれば、分けてあげたんだが」
「大丈夫ですよ~、これも十分美味しいので!」
嬉しそうにはぐはぐと、サンドイッチを食べている彼女を見て、ふと悪戯心が湧く。彼女の照れた顔が見てみたい。髪を巻き込んでしまいそうだったので、耳元に優しく触れ、こぼれ落ちていた髪を耳の後ろへとかける。案の定、びくりと体を揺らし、こちらを振り返った。赤くなった頬を見て、自然と笑みが浮かぶ。
「あ、の? あっ、髪の毛、ありがとうございます……」
「どうしたしまして。あ、口元についてるよ」
「えっ? でも、だ、大丈夫です! 自分で取れますから! またつくだろうし……」
慌てふためいている彼女が可愛くてつい、強引に口元のパンくずを取ってしまった。至近距離で見つめ合ったあと、軽くキスをする。これで思い出してくれるといいんだが。今日はピクニックデートの日で、何も食事をたらふく詰め込む日じゃないってことを。彼女がもぞもぞと、口元を動かしてはにかむ。
「い、いいですね? たまにはこんなのも……」
「この森は代々、王族が密会やデートに使ってきたらしいよ」
「へっ? そうなんですか? でも、お花畑もありそうですし、うってつけですね!」
「うん。だから、デザートは外で食べないか? 兄上は心配症だから、この天幕を用意してくれたけど」
「どーせっ、ブラコン陛下のことだから、アルフィーたんを地面に座らせる訳にはいかないっ! って、こぉ~んな顔して言ってたんでしょう?」
「ロッティ! っはは」
シャーロットがわざとらしく眉をひそめ、むんとくちびるを尖らせながら、腰に手を当てた。可愛い。仲良しだ。愛おしくなって額へキスすると、弾けるような笑顔を浮かべる。
「ふふ、ありがとうございます! こうやって豪華な天幕でまったりするのもいいけど、春の森で食べるのも楽しそうですね」
「うん。でも、ウサギの姿には戻らないでいて欲しいなぁ」
「戻りませんよ。だって、沢山食べられないから」
「そっか……」
二人でキッシュやパイ包みを食べ、時折顔を見合わせ、キスしたり、食べさせたりして楽しむ。しがらみや王族としての責務、頭が痛い問題など、全てを下界に置き去りにして、好きな人と春の森を楽しむのはこの上なく楽しくて、甘くて、ずっとずっとこの場所にいたいと思わせる。
(……ああ。だから、父上は王妃様を連れて行かなかったんだ)
誰も連れて行かなかった。どんなにせがまれても、母以外の女性を連れて行かなかった。ふと「本当に好きな人が出来たら、連れて行こうと思ったんだよ」と、父が言っていたことを思い出す。他にも綺麗な側室が沢山いるのに、どうして母だけ愛しているのか。他の女性に悪いとは思わないのかとか、散々悩んだりもしたけど、今なら分かる。一緒にいて、心からくつろげる人が母だけだったんだろう。肖像画の中からこちらを見つめている、気弱そうな笑みを浮かべた母を思い出す。あまりにも見るのが辛くて、父は全部焼いてしまった。
(兄上が絵を守ってくれなきゃ、一生母の顔も知らないままで……)
感謝してもしきれない。……それにしても、随分と前から来たかった場所だからか、やけに感傷的になってしまう。私がぼうっとしていると、彼女が心配そうな顔で覗き込んできた。
「どうしましたか? アルフレッド様。楽しくないですか?」
「えっ? そんなことはないよ、ごめん。ただ、母と父のことを思い出していて」
「あ~、女好きの先王陛下とおっちょこちょいのお母様のことですか?」
「ロッティ……」
「でも、良かったですね! アルフレッド様も、アルフレッド様のお母様も愛されていて。陛下に」
「そうだね」
「しかも、ずっと欲しかった子供まで手に出来たんでしょう? 今でもその子供にお母様は愛されているし、本当に幸せ者ですね!」
シャーロットが何も気にせず、にこにこと笑ってそう言った。そうか、幸せか。何となく、今まで母は不幸だと思い込んでいた。兄上から王妃様を含め、色んな人から嫌がらせを受けていたと聞いていたし、出産の時に死んでしまったし。持っていたサンドイッチを握り締め、天幕の入り口に目を向ける。青い布の隙間から暖かい、春の風が吹き込んできた。布がはたはたと、穏やかに揺れ動いている。
「……そうか。母は幸せだったのか」
「幸せ以外の何ものでもないと思いますけど?」
「何となく、母は不幸だったって思い込んでいたんだ。自分でも、何でそう思い込んでいたのか、よく分からないけど……」
何度も手紙に綴られていた“幸せ”だという文字。何となく見て見ぬふりをしていたのかもしれない。自分が殺したという罪悪感から、会いたくても会えない辛さから。黙り込んでいると、そっと、彼女が膝の上に手を置いてきた。
「大丈夫ですよ、アルフレッド様! 私が家族になるし、子供だって沢山作りましょうね!」
「ぐっ!? げふ、ぐふっ!」
「だ、大丈夫ですか!? むせちゃいましたか!?」
わざとなのか、天然なのか、時々びっくりするようなことを急に言い出す。また速く脈打ち出した心臓を押さえ、深く息を吐き出した。
「はー……。びっくりした。と、とりあえず外に行かないか? デザートを食べよう」
「はい! 私、子ウサギちゃんと一緒にお散歩するのが楽しみなんですよね~」
「可愛いだろうなぁ、それ!」
ん? でも、待てよ。赤子の姿にならないんだろうか。詳しく聞こうとしたところで、彼女がぽんっとウサギ姿に戻る。
「さ、行きましょうか! 食べに!」
「ウサギ姿にならないって言ってたのに……」
「ぷっ?」
「可愛い顔をしてもだめだよ、ロッティ。ま、いっか。あとで戻ってくれるのなら」
「お望みならあとで戻りますよ~。行きましょう、早く早く!」




