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もっとずっと

「奏……!僕もう我慢できない……!」


「ダメだよユウ……!流石に早すぎ…!まだ3分も経ってないよ……!」


「だけど……だけど……」


「早くカップ麺ってやつ食べて見たいもん!!」


ユウは初めてのカップ麺に、ワクワクして仕方ないらしい。


数ヶ月の間、ずっと私が料理をして来たのだが、ユウも料理をしたいと言ってくる。しかし包丁などを扱わせるのが不安だったので、カップ麺を料理ということにするとユウは普通に喜ぶ。


正直罪悪感が凄い。ただお湯を入れるだけなのに、それですらユウは笑顔で、喜んで湯を入れる。


そんなユウに私は罪悪感に耐えきれなくなって、ユウに真相を話す。


「ユウ……その、実はそれ……あんま料理って言えないかも……」


そういうとユウは驚いた顔をするけど、その後に微笑んで


「僕の事心配してくれたの? ありがと、奏」


優しすぎて泣きそう……いや、普通に尊い…!

私はユウを騙していたのに…!なのに笑顔で、私を最大限傷付けないように………


「どうしたの…? 奏…?」


「いやぁ…!? 何でもないでふ……!」


「そう…? あ、3分経った」


危ない危ない……危うくユウに殺されてしまうところだった。と言っても私が勝手に死にそうになってるだけだけど。


それにしても本当に可愛いなぁユウは……3分経って蓋を開ける時、凄く嬉しそうな顔してたなぁ……


「いただきまーす……」


「あっ…!ちょっと待っ……」


ユウは蓋を開けると、すぐに食べようとする際に、私はある事を思い出すが、遅かった。


「あっちゅぅっ!!??」


流石の猫舌だった………ユウは思わず叫んだ。耳は低く伏せ、外を向く、所謂イカ耳というやつで、目には涙を浮かべ露骨に不機嫌になっている。


「焦って食べ過ぎだよ…! 気をつけなきゃ……!」


「ごめんなさい……あっつぅ……」


ユウは舌を出して必死に空気を当てている。

その姿を見て、私は思わず目線がズレた状態を想像してしまうが、ユウの必死さを見てると私の不純さが恥ずかしい。



ユウの耳はカップ麺を食べ終わっても、イカ耳のままだった。

ただただ黙って、どこかを見ている。

その姿は事情さえ知らなければただのクールな美人だった。


「ユウ…?そろそろ機嫌なおしたら…? 次気を付ければいいじゃん…! ね?」


「別に機嫌悪くないし……」


「……………」


私は一つ思いついた。

それは、自分の欲望を満たすためでもあり、ユウの機嫌を直すかもしれない少し賭けに近い方法。

まあ私の欲望を満たすためなんだけども。


その手段を決行するのは今日の夜、寝る時間だ。

どんな方法かって…?

単純な話だよ、一緒に寝る…!ユウと一緒に寝る事で、ユウは機嫌云々の前に動揺するに違い無い…!

最終的に更に機嫌を悪くするかもしれない。結果がどうなるかは分からないけど…これは間違いなく名案である…!!



そして夜中……



「奏?おやすみ……」


「ふへ…おやすみ……」


さぁ……早速決行の時間だ……!これは皆が思うよりも繊細な作戦で、早すぎるとユウが動揺しすぎるが、遅すぎるとそもそも寝ているかもしれない。

絶妙に眠気で反応が鈍いタイミングを狙う…!



そしてユウが自室に行ってから約10分が経った。


(そろそろかな……)


ユウの部屋の扉には鍵が付いているのだが、鍵はかかっていなかった。まあかかっていても鍵持ってるから開けれるんだけど。


扉を開け、物音を出さないようにしてベッドまで近づく。

そしてベッドに入り込もうとした時ユウは私がいる事にようやく気がついた。


「…!? 奏…? 何やって…!」


「バレちゃった…?機嫌直してもらおうと思って来ちゃった」


「別に僕機嫌悪く無いよ……」


嘘をついている。ユウの耳は低く伏せられ、外に向いたままだった。


「隠さなくても、耳で分かるんだから……」


「…っ僕をからかわないでよ…!」


ユウは顔を赤くし、目を逸らす。

その姿を見て、私の欲望はどんどんと大きくなっていく。

次第に私の目的は変わり始め、変な方向へと向かっていった。


「ねぇ…ほんとは嬉しいんでしょ…?分かるんだから…!」


「ちょっと……奏…!らしくないよ……」


らしくない。ユウの言っている言葉は決して間違いではなかった。

でも、らしくない自分にさせているのはユウが原因で、それなのにそんな事を言われ私は少しイラッときてしまう。


「らしくないって何……!私は勇気を出してるのに……」


「……! 奏……」


本来の目的はユウの機嫌を直す事なのに、止めないといけないと分かっているのに、私の口は止まらなくなってしまう。


「ユウが何も言ってくれないから…!私はずっと不安なの…!好きじゃないなら好きじゃないってはっきり言ってほしい…!」


「………」


ユウは何も言わずにただ、私を見る。それは私にとっては憐れみの目に見えて仕方がなかった。


「……何、その目……!」


ユウに見つめられる事に耐えれなくなった私は部屋から出ようと立ち上がった時だった。


「それで、奏はどうなの」


ユウの言葉に、私は立ち止まる。


「奏は何も言わないじゃん。好きなのか、そうじゃないのか」


「奏は僕のせいにするけど、それは奏も同じだよ」


薄々感じていた事をユウにはっきりと言われる。

頭がぐちゃぐちゃになって、何も考えれない。ただ、何か言い返さなければいけないと、そうじゃなきゃ気が済まなくなって、反論しようと振り返った瞬間ユウは私を引っ張り、ベッドへ押し倒す。


その手の力はとても強くて、私を出て行かせる気はまるでなかった。


「離してっ……!」


「嫌だ、絶対に離さない…!」


「僕の事、分かるんだよね…?なら、当てて見てよ…!」


ユウにそう言われ、耳を見ると未だに低く伏せたままで、不機嫌な状態だった。


「何で僕がこんななのか、分かるでしょ…?」


「分からないよ…!」


「はっきり言ってよ!そんなに不安なら教えてあげる…!僕は好き…!奏は…?」


ユウにそう言われ私の気持ちは余計にぐちゃぐちゃになっていく。

溢れる想い。ユウに想いを伝えられ、私もつられて想いを言う。


「好き…!ユウの事……好き…!!」


私の目には涙が浮かんでいるのが分かる。

その涙を、ユウは手で拭ってくる。その綺麗な手で私の涙で汚れた顔をただ優しい手つきで……



「そんなに泣かないで…似合わないから…」


泣かないでと言われると、余計に涙が止まらなくなる。

そんな姿を見て、ユウは微笑んで


「しょうがないなぁ……」


その言葉を言ってユウは私の口を塞いだ。

ユウは私の口の中を舌で掻き乱してくる。

今まで味わったことのない感触は、少し官能的な音を出して、私の心を揺さぶってくる。

そんな初めての体験をした衝撃で、涙はすっかり止まった。


「涙、止まったね……よかった……」


私の涙が止まったのを見て、ユウはキスをやめる。

やめないでほしい……そう思ってしまう。

一度味わった感触は、私を正常に戻す事を不可能にしていた。


「もっと……もっとして……」


「……! 奏…これ以上は流石に僕も……」


「お願い……!」


もはや二人とも理性はあれど、蜘蛛の糸程しか残っておらず、制御するのは無理だった。


ユウの舌は私の口の中をぐちゃぐちゃにしてくる。それに、私もやり返す。

ただずっと乱れていたい…ずっと口付けをしていたい…


「はぁ……奏、そろそろやめなきゃ……」


「ダメ…まだ3分も経ってないよ…?」


「私はカップ麺よりも、美味しいよ…?きっと…」


「そんな事言わないでよ……我慢できなくなっちゃうじゃんか…!」


ずっと唾液の音が聞こえる。

緑に光る瞳が私をおかしくさせていく。

ユウはそんな私が、後もう少しで何もかも考えれなくなるところだったところでキスをやめる。


「ちょっと…大丈夫…?凄い顔してる…」


「………!……?」


何も喋れない。ただ、呼吸する事で精一杯だった。

そんな私を置いて、ユウは額にキスをする。


「今日はもうやめにしよ、流石にやばそうだから……ね…?」


私はただ頷く事しか出来なかった。最初の目的と全く違ったけれど、こんな事になるなんて……作戦大成功かも………

発情期迎えてそう。


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