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幸せな時間

とある平日の職場


「ふふふふ…………」


私が何故笑ってるかって?それは簡単。

明日は休日、そして…!ユウとお出かけをするんです………!


「星島さん……なんか様子変じゃないか……?」


「仕事のしすぎで壊れたんじゃ……」


なんか酷いことを言われている気がする。

君達が仕事を終わらさないから私に回ってくるんじゃんか。

仕事のしすぎで壊れたと思うなら仕事減らせよ、そうすればユウとの時間をもっと増やせるのに。


ストレスが溜まっていくが、この仕事さえ終わればユウと一緒にいられる。

そう考えることによって同僚をぶん殴らなくて済んでいる。


「それじゃ!お先に!」


「あ、星島さん…お疲れ様です……」


同僚による私の印象がとてつもない方向に向かったような気はするが、そんなのはどうでもいい。


足早に家へと向かい、家の扉を開ける。


「ただいま!!」


「おかえり!かなで!」


家に帰ると、ユウは玄関まで来て迎えてくれる。

拙い言葉でおかえりという姿は、私の疲れもストレスも何もかもを忘れさせてくれる。


「ユウ………!」


私は思わずユウに抱きつく、その体は男の子なのに、すべすべで綺麗な肌で、男を感じさせる要素は何一つない。


「かなで!かえったばっか!きたない!」


「うっ………!」


ユウは物覚えはいいし、悪気はないのだが、たまに言葉選びを間違える。


「じゃあ……一緒にお風呂入ろっか……」


「はいる!」


帰ってきたばかりだが、私はお風呂に入る。


最初はユウが男の子なのもあって、一緒に入るのに少し抵抗はあったけど、男の象徴も猫耳と同じという風に考えることでなんとか耐えれている。


たまに暴走しそうになるけど、ユウが悲しむ事は出来ない。悲しまないんだったらなぁ!


なんでユウが存在するのかは分からないけど、私はユウと出会えてよかったと思ってる。


当然ユウを捨てた人のことは許せないし、許す事は出来ないけど、そのかわりに私が幸せにして見せる。


「かなで?て、とまってる!」


「あ、ごめんごめん……!」


ユウの体は中学生くらいの子と殆ど変わらない。

一緒にお風呂に入ってるなんてバレたら大変なことになりそうだけど、ユウは猫耳が付いてるから人じゃない。だから大丈夫だよね……?


「かなで!!て!!」


「あぁ……!今から流すから目とか気をつけてね?」



お風呂からあがり、夜食を一緒に食べる。

ユウはご飯を食べる時もとても嬉しそうで、見ている私まで幸せな気分にしてくれる。


「ユウ?箸はこうやって使うの、分かる…?」


「これつかいにくい!」


ユウに箸の使い方を教えるけど、ユウは使いにくかったのか箸を突き刺して食べる。


「ちょっと…それ行儀悪いよ…!」


「ごめんなさい……」


ユウに怒ると、ユウは少し悲しそうな顔をしてしまった。


「ごめんね…!けど、良くないと思う人もいるから箸の使い方、覚えよっか…?」


「おぼえる……!」


ユウは少し悲しそうだけど、誤魔化すように箸を頑張って扱っている。

ユウの頑張っている姿を見せられると、私も元気になれるような気がした。



食事もし終わり、寝る事にした。

明日はユウとのお出かけで、ワクワクが止まらない。


「ユウ…?明日はお出かけだから早く寝ようね……」


「うん…おやすみ……」


私がワクワクで寝られないのに対してユウはいつも通りで、眠そうにしている。

次第にユウは寝てしまい、その寝顔はとても可愛かった。


ユウの寝顔につられ、私も眠くなってくる………



翌日の朝、ユウはすごく楽しみな顔をしている。


「かなで!はやく!あいしてる!」


「ふへぇ…ちょっと待ってぇ……」


私の欲望によって作られた無自覚に放たれるユウの言葉が、私の理性を奪い取ろうとするが、あと一歩で踏み止まる。


ちなみにお出かけの内容とは、ユウの服を買いに行く事だ。


現状は私の服を着せてはいるが、男の子なのでやはり男物の服を着せなければならない。

正直な話、女物を着せていると私の理性が限界を迎えそうなのでそれを防ぐ目的でもある。



そして目的地のショッピングモールに到着したのはいいが、問題が生じた。


「男服分からな………」


「わからない!」


男服について何も分からない。というか普通にファッションを知らない。

ユウに何が似合うのか全く分からず、とりあえずで色々試着させる。


「あれぇ……?」


とりあえずで着させたはずの服は、ユウにとても似合っている。

それは私のセンスが良いというよりも、圧倒的にユウが着こなしている。


「めっちゃ似合うなぁ……」


「にあう!」


とりあえず着せていくが、全部着こなしてしまうので、想像以上に早く目的が終わった。


「ねぇ……あの子エグくない…?」


「ホントだ……モデルか何かなのかなぁ……?」


なんか私の知らない間にユウがモデルと勘違いされている。

実際、ユウは喋りさえしなければ所謂クール系女子に見え、周りを虜にする程だった。


「ふく!ありがと!かなで!」


まあ言葉は覚えたばっかだから喋ると幼く見えるんだけど。

そんな所も可愛いから問題はない。

それに家だと猫耳があるけど、出かける時はそれを隠しているから普通の女子に見え、いつもよりドキドキしてしまう。


「楽しい……?」


「たのしい!」


ユウと一緒にいれることがただ嬉しかった私は、私達を見ている怪しい人がいたが、気付けなかった……


「ふむ…あれはぁ…」


「博士?どうしました?」


「いやぁ…?少し懐かしいのを見つけてねぇ…」



数ヶ月後………



「奏、いってらっしゃい」


「行ってきます!」


ユウもだいぶ言葉を話せるようになり、今じゃ普通の人と同じように話せる。

ただ、『あいしてる!』を言われなくなったのは少し寂しいけど、まあそれはいい。


ユウは数ヶ月の間で凄く変わって、幼い言葉や表情の使い方だったのが、今では大人っぽい雰囲気に変わっている。


今日は少し特別な日で、クリスマスだった。


クリスマスなのにも関わらず相変わらず仕事が終わらないのは正直この会社やばいとは思うが、ユウと一緒にケーキを食べると考えて、なんとか我慢している。


「あの……星島先輩……これ教えてもらっても大丈夫ですか…?」


「ああ……大丈夫……」


なんとか仕事を終わらせ、ケーキを買って家に向かう。

今ユウは何をしてるのだろうか、そんなくだらない事を考えながら家に着くと、異変が起きていた。


「さっさと帰ってもらえます……?そろそろ奏さんが帰ってくるんで……!」


「冷たい事言うなぁ…こう見えても産みの親なんだよぉ…?ボク」


1七(じゅうなな)号。悪いことは言いません。私達について来てください」


「僕は十七号なんて名前じゃない!」


ユウが謎の二人と話している。

だけどあまりいい雰囲気には見えない。


一人は、とても幼い女の子で、白衣を身に纏っている。


もう一人はその従者らしいが、その顔を見て私は目を疑った。

従者らしき人物の顔がユウに似ていて、そして頭には猫耳があった。


そして話の内容的に察した。

白衣を纏っている少女が、ユウや従者を作った本人で、ユウを連れ去ろうとしているのだと。

そう分かると、私は咄嗟に話を遮る。そうしなければ、ユウがどこかに行ってしまう気がしたから。


「あのっ!私達に何か用でも……!?」


「奏!帰ってきたんだ……」


「キミは…?1七号の反応的に育ての親かなぁ…?」


「でしたら丁度いいです。奏さん回りくどいことは言いません。1七号を私達に返してください。」


「え……?」


薄々感じていた嫌な予感が当たる。

彼女達はユウを連れて行こうとしているが、私に止める権利はあるのだろうか。


ただ道端に捨てられていた所を拾っただけなのに、ほんのちょっとしか過ごしていない私に止める権利なんて………


「奏…!僕は絶対に行かないから!安心して……」


ユウの言葉を聞いて自分がなんて馬鹿なことを考えていたのか自覚した。

私が捨てられていた所を拾ったのだから、彼女達はユウを捨てた。


一度捨てたくせにユウを連れて行こうなんて勝手すぎる……!



「絶対に嫌です…!返しません!」


「奏さん。私達は1七号を作ったのです。ですから……」


「でも捨てたじゃないですか!道端に!」


「…………確かに、一度はそうしたかもしれません。ですが……」


「やめよう……」


「博士…!?」


「奏くん。君の言い分も理解できる。だけどボクとしても1七号は必要なんだよぉ……」


「何するつもりですか……」


「猫耳男の娘を堪能するのさぁ……!!」


「え?」


「「はぁ!?」」


ユウと従者が白衣の少女の発言に驚く。

っていうか従者さんは目的聞いてなかったんだ………


「とりあえず、近所迷惑になるので一回入ってください……」


「奏!?こんなやつ入れたら僕どうなるか……」


怪しい人達ではあるが、少女の目的を聞くとあまり悪い人達ではないような気がしたので家にあげる事にした。

そもそも近所にこんな話聞かれたら普通に私がやばい人だと思われるし。


「それで……どういうことですか?」


「簡単な話だよぉ…キミに懐いている1七号……」


「ユウです!」


ユウの事を十七号と呼ぶ二人のことは普通にムカつくけど、話を聞かなければ事情も分からないから、我慢する。


「これは失礼……ユウくんはねぇ…元々女の子にする予定だったんだよぉ……でも少し間違えちゃってねぇ…男の子になっちゃったんだぁ…」


「当時のボクは愚かでねぇ…猫耳は女の子にのみある事が至高であり正義だと思ってたのさぁ……だからボクはユウくんを捨ててしまったのさぁ…」


「でも!ボクはそれが間違いだと気づいた…よくよく考えると、男の娘の猫耳もかなりだという事に気づいたのさぁ…キミも分かるだろう…?」


「男の子なのに可愛らしい顔、そして猫耳は愛おしさを最大限に引き出し…そしてギャップ萌えを生み出すのさぁ…」


「まぁ…単純に捨てちゃったのちょっと良くないと思ったから無事か知りたかったのもあるんだけどねぇ…」


やばい……めっちゃ分かるっ………!!まさかこんな所で仲間が見つかるとは……!

でもここで共感してしまうとユウに軽蔑される気がする……!!!


私が悩んでいると少女は私にだけ聞こえるようにして


「共感できるんだろう…!大丈夫…ユウくんには言わないしぃ…ただ定期的にユウくんに会わせてもらえればそれでいいんだよぉ…お願い…数ヶ月かけてやっとここを見つけたんだよぉ…」


「ユウを襲ったりしませんよね…!?」


「しないさぁ…というか逆に襲ってなかったんだねぇ…」


「襲えるわけないじゃないですか…!ユウの悲しむ顔なんて見れません…!」


「おやおやぁ…可愛い顔が歪む所がいいんじゃないかぁ…まあボクも襲えないけどねぇ…」


少女と話していると次第に仲良くなり、つい握手を交わしてしまった。


「ボクの名前は天猫(あまねこ) 玲奈(れな)…よろしくねぇ…?」


星島(ほしじま) (かなで)です……!」


「奏…?何で仲良くなってるの……」


「あっいや……これは違うの…!」


「博士……話が違います」


「まぁまぁ…同志が見つかったんだしいいじゃないかぁ…」


「そうだ…!ケーキを食べましょう!買って来たんです!」


「奏!?話聞いてる!?」


最初はどうなるかと思ったけどユウは連れてかれないし、仲間が見つかったし今日は最高かも……!

1七号と十七号で分かれてるのは玲奈側か奏側かで表したりしてます。


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