どっちのほうがいい…?
「アイ…私寂しいの…」
「ふふっ…いいよ、奏…」
「ちょっと待て! 奏には僕がいるじゃないか…! 僕から離れるなんて…絶対に許さないから…!」
「ユウ…!?」
「あんなやつ、放っておいてさ…私を見てよ…」
「奏…! お前を幸せにするのは僕だけだ…!」
「あいつと私」 「僕とあいつ」
「「どっちを選ぶの…?」」
「どっちもじゃ…ダメ…?」
「ダメに決まってるでしょ奏……もー! せっかくまともに続いたのに、最後の最後でそれじゃどうすんのさ!」
「そもそもこの台本無理あるよなぁ……」
私達は今、会社の宴会で行う演劇の練習をしています。
なんでもラブストーリーものらしく、最後の場面を練習するのに二人を巻き込んだんだけど……
演技って分かってても選べない…!二人が演技上手過ぎてリアルに感じちゃうんだよなぁ……
「別に二人から選ぶだけなんだしあんまり気にしなくてもいいと思うんだけどなぁ…』
「練習とはいえ二人から選ぶのがちょっと……」
「ふふっ…奏って優しいんだね…私、そんな奏のところが好きになったんだよ…?」
「え!?」
アイってばいきなり何を言い出すの…!?そんなこと言われたって……
「僕の方がもっと奏の事好きに決まってる…! それに、僕と奏は付き合ってるんだぞ…!?」
「付き合ってても関係ないね…! 恋っていうのは、縛られないものなんだよ?」
「ちょっと二人…せっかく二人でいられるようになったのに喧嘩しないでよ…!」
「「ごめん……」」
二人はちょっと仲が良くないかもだけど、喧嘩するうちはまだ大丈夫だよね…!
それより演劇どうしよっかなー……
私が悩んでいると、アイが一つ提案を出してきた。
「そうだ! じゃあ今から奏をドキドキさせる対決をしようよ!」
「何それ……」
明らかにユウは乗り気じゃないけど…大丈夫なのかな……
「私とユウで奏をドキドキさせる事をするの、さっきの演劇みたいに…! それで、最後にどっちの方がドキドキしたか奏に決めてもらって、勝った方は奏と一夜を共に……」
「一緒に寝る権利って意味だよな…?」
「いーや! 一夜だね! そこは譲らないから!」
なんかとてつもない権利がかかってるんですけど…!しかもこれどっち選んでも私意味ないじゃん!
「ちょっと…何勝手に……」
「絶対に負けないから…!」
ユウまでやる気になっちゃったー!? 最悪ユウに止めてもらおうと思ってたのに!
「それじゃ…先手は私がもらうよっ!!」
私が困惑していると、アイがいきなり行動を起こしてきた。
「さあ、お姫様…? 私と共に過ごしましょう…!」
アイはそういうと私をお姫様抱っこしてきた。
「えぇちょっと何して…!?」
あっ…でもこういうの意外と新鮮でいいかも……!なんて私が思いかけた時、私の視線に大きなアイの胸が入る。
うわぁ……相変わらずでけぇ〜……なんか見せびらかされてる感じして凄い嫌な感じしてきた……
「巨乳アピールされてる感じして嫌……」
「ええ!?」
「奏の事なんも分からないんだね…! お姫様抱っこのお手本を僕が見せてあげ……!るよ……!」
ユウが私をお姫様抱っこしようとするが、持ち上げることができない。
「ふぬぅぅぅ…!!!」
「そもそも出来ないんじゃ話にならないね…!」
アイが煽るように言う。私そんなに重たかったかな……まぁでも最近食べ過ぎだったかもしれないし……
「じゃ…じゃあ…! お姫様抱っこは出来なくても…! これならどうかな…!」
そういうとユウは冷蔵庫から苺を取り出してくる。
「ほら…奏…? あ〜ん」
ユウは私に苺を食べさせようとしてくる。声色は普通だけど、表情は若干恥ずかしそうにしている。
そういう感じでくるかぁ…!それ正直私も恥ずかしいんだけどなぁ…!
恥ずかしがりながら苺を食べる。
(ユウのその行動…最初はどうなるかと思ったけど…恥ずかしがってるんじゃ私が勝って終わりかな…)
アイがそんな事を思っていた時だった。私が苺を食べようとした時、苺を持つユウの指に舌が触れてしまう。
「はうっ……!」
(なにっ!??)
やばっ…!指舐めちゃった…!しかもユウ変な声出しちゃったし…!
私が慌てていると、ユウの顔がどんどん赤くなっていく……
「こ…これもっ!演技の一つだからっ…!」
恥ずかしそうにしてユウはそう話すが、どう考えても嘘だね…!これ!ほんとにごめんね…!
(なるほど…照れているところを見せ、トドメの一撃を与える…! ユウ…思ったより手強い……!)
なお一人だけ演技だと信じていた。
(この不利を打開するには……これしかない…!)
「……?」
アイが行動を起こす。それは、もはやズルに近かった。
「んーー…」
「え!?」
アイは口に苺を咥えて、私の前に差し出してくる。それは食べようと思ったら唇が触れてしまうように。
「おいっ…! それはズルいぞ!」
「さ…流石にそれは…!」
私が止めようとすると、アイは私を無視して、私の喋る口を咥えた苺で塞いでくる。
「…!?!?」
「な…なにやって…!!?」
「ふぅ……」
「ふぅ…じゃねぇよ! 何してんの!?」
ユウとアイが言い合っている間、私は口に残る苺を噛む。
苺の味は、少し酸っぱかったけど、そんな事より、いきなり過ぎて、言い合いを止めることも出来なかった。
ちなみに勝負は引き分けということになったらしく、結局一夜を共にすることはありませんでした。
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