第0話
今まで小説なんで書いたことなかったんですが、物語というのを作ってみたくて書き始めました。
文章書くのって難しい。。。。
かつて“勇者”と呼ばれる人間がいた。
勇者の名前はルーシュ。赤みがかった長い髪に、すべてを吸い込んでしまいそうなほどクリっとした目元をした細身の女性。
ルーシュは女性でありながら、天界という人間が暮らす世界の誰よりも、剣術と魔法の扱いに長けており、様々な困難にも諦めず立ち向かう勇敢さを持ち合わせ、そして困っている人間には等しく手を差し伸べることのできる優しさを兼ね備えた、誰からも尊敬されるような存在だった。
対して、魔界には魔族なるものが住んでおり、その魔界を統治する“魔王”という、天界を滅ぼさんとする、惨忍かつ極悪非道な圧倒的支配者が存在していた。
魔族は人間の敵だと天界に住む者は誰もが思っている。
大昔、魔族によって人間が虐殺されるといった歴史史上最も残酷な事件が起きた。
その事件をきっかけに、光魔法を得意とする人間と、闇魔法を得意とする魔族による世界人口の約3/4が消滅してしまう程の大きな戦争が勃発した。
多くの人々の死と美しかった世界の悲惨な姿を目の当たりにした人間は、以降、魔族を妬み嫌ってきた。
当時の人間は、魔族と人間が決して関わらぬようにと、力を合わせ残った光魔法の全てを使い、世界の中心に強大な魔法壁を作り、大地を分断したと言われている。
やがて人間の暮らす世界を天界、魔族の暮らす世界を魔界と呼ぶようになったという。
そして、魔法壁がそびえ建つようになってからは人間と魔族は決して関わることなく世界は長年平和であった。
しかし数百年の時が経ち、平和だった世界に突如として終わりがやってくる。
魔界から魔族の軍勢が、魔法壁を突破し天界へ攻めてきたのだ。
すっかり平和ボケしてしまっていた人間は魔族に対して成す術なく、次第に天界の約半分は魔族によって支配されてしまった。
どんな魔法や力をもってしても破壊されるはずのなかった魔法壁が、なぜ突破されてしまったのか。
誰もが恐怖し、絶望を抱いていた。
ほとんどの人間が諦め、絶望する中、1人の女性が天界を取り戻すために立ち上がった。
それが、後に勇者と呼ばれることになるルーシュだった。
ルーシュは、残された世界の各地で腕が立つ仲間を集め、その仲間たちと共に天界を取り戻すため魔族に立ち向かう。
ルーシュの力は圧倒的であり、強大な力を持つ魔族の軍勢をたった一夜にして殲滅させてしまうほどのものだった。
そしてルーシュ達の活躍により、天界を侵略していた魔族は一時的に魔界へ撤退し、無事、天界の半分を取り戻すことに成功した。
ルーシュの存在は大きく、以降、魔族が天界へ侵略してくることはなかった。
人々は、ルーシュの事を、得意としていた光魔法から、“光の勇者”と呼ぶようになった。
再び平和になった天界で、勇者ルーシュは仲間の一人であったカシムという男と結婚する。
子供を授かり、順風満帆に暮らしていた。
そんな平和なある日のことだった。
「光の勇者が殺された」
誰かが口にしたその言葉は、人々を再び絶望のどん底へ突き落すのだった。