亜細亜崩壊
諸国の相互牽制関係によって和平を維持していたアジアは、中世モンゴル帝国時代以来の戦禍に叩き込まれようとしていた。突如原因不明の技術力発展を遂げた日本国は、それまでの武家政権をを革命で倒し、地方に押し込まれていた皇族から即位した強欲な日本皇帝は専制君主制を強いて軍事力を強化し、樺太、朝鮮半島、フィリピンの三方を足掛かりにアジア大陸に侵攻を開始した。大陸に強大な軍事兵器の群れとともに上陸した日本軍は現地住民や兵士を大量虐殺し、建造物を破壊しながら朝鮮半島南部、清国の香港・マカオ、東南アジア諸王国の王都を占領し、徐々に大陸の人民たちの尊厳を蝕みつつあった。しかし、異民族の軍事国家大韓帝国の女帝ミンビ、清国の皇帝溥儀が手を結んだ事で、清韓同盟の大反撃が始まった。まず、大韓帝国南部、日本軍が統治するソウルの朝鮮南部総督府に、突然変異による通常を上回る戦闘能力を持つ人間を主戦力としたミュータント部隊を送り込み、帝国植民地統治の中枢を破壊した。しかしそれでもミンビと溥儀の怒りは収まらず、女帝と皇帝の目的は日本国の滅亡をへと移転していく・・・。
やがて大陸の二大強国と巨大な帝国の相互侵略により、東アジアの国家基盤は崩壊し、殺戮と貧困の渦が皇族から濃度に至るまで全ての改装に広がり、誰ひとり明日の生存が保障されることはなくなっていった・・・。
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朝鮮南部総督府において。
「た、たすけて、たすけてよぉっ、おねがいしますよぉ・・・」
最後に残された一人の日本兵の命を口元に笑みを浮かべてもて遊ぶ改造兵ユニ。彼女が部隊に加入した理由は、自分以外の血族や学校の友人を日本兵に虐殺されたこと。彼女の能力は身体に蟲を埋め込んだことで人工的にもたらされたものだ。
「助けてやるよ、私の友人や家族を生き返らせてくれたらね・・・」
そしてイギリス風の軍服をまとう十八、九歳の長い黒髪の少女は、体中の筋肉組織を破壊され、仰向けの姿勢で動きを封じられた兵士の胸の上に直立し、一時間近くそのまま兵士で遊んでいた。やがて、ユニは口元を整った顔立ちにしわを作り台無しにするほど大きく吊り上げ、垂らした両腕のうちの右腕の小指を巨大なかぎづめに変形させ兵士の顔の近くに屈みこみ、鉄の匂いの充満する吐息をその泣き顔に吹きかけ、
「じゃあな」
その額に、爪を突き刺した。辺りはすでに、兵士の屍体と血によって染まっていた。
台詞少なくてすいません。時間に余裕がないからです。ごめんなさい。