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帰れなかった勇者の新・異世界生活  作者: 乙三
少年期編
39/79

37.風評被害の続き

 さて、晩飯までは時間もあるし、壊れた魔道具を分解するか。

 まずは、すでに本体と蓄魔石が外れているヤツから、大体の構造を把握する事にする。


 簡単に確認してみたが、本体の銀色部分は全てが金属製ではなく、内側は木製部品に金属製のカバーを被せている構造だった。

 そして、蓄魔石とは樹脂のような接着剤で付けているだけの様だ。


 スイッチの部分には魔法陣が描かれており、スイッチを押す事で魔法陣が完成して動作するという仕組みで、スイッチの反発はバネとかが仕込まれているかと思ったけど、糸のテンションを利用して押し返していた……随分と簡素で原始的だな――。


 色々と試してみたが、スイッチの部分が魔法を発現させる魔法陣で、その魔法陣と線で繋がっている先の印が発現箇所になる様だ。

 蓄魔石の刻印は放出魔力に制限を掛ける物らしい……直接魔法陣に魔力を流したら火柱が立ち昇ったからな。



「ルクシアール様、よろしいでしょうか」

「どうぞー」


 構造解析が終わって、これからどうしようか考えているとノックの音が。

 この声はリトナだけど何かあったかな?



「どうしたの?」

「食料庫にある、冷風の魔道具への魔力充填を忘れておりまして」

「ああ、そう言えば……分かった、すぐ行くよ」

「よろしくお願いします……それって魔法陣ですか?」

「そうだよ。火魔法の魔法陣……使ってみる?」


 火魔法の魔法陣を書き写した、木の板を差し出してみる。

 感覚が鋭くなったのか、他人の魔力も詳細に感じ取れる様になったお陰で、魔力を持っていないと思っていた人にも、僅かながらの魔力がある事が分かる様になった。



「え? 私、魔力はありませんが……」

「大丈夫、リトナさんも魔力は持ってるよ。数字にすると二十くらい」

「そうなんですか? ちなみにルクシアール様は?」

「うーん、その基準に合わせると千とか万とかかな」


 実際はもっと上だけど……まあ、この位なら常人とはいかなくても、魔法が得意という加護や恩恵持ちの範疇に収まるだろう。



「この魔法陣に触れて、指先に意識を集中して不思議な力を使う様に……ほら、点いた」


 火魔法の魔道具(ライター)よりも小さい火だが、確かにリトナの魔力でつけた物だ。 

 リトナも火を確認した所で、板を下げて魔法陣から指を強制的に離す。もっと続けさせてあげたいけれど、元々魔力が少ないし使い方も下手だから、もう半分以上も使ってしまっている。



「凄い! 私にも魔法が! ……あれ、気分が…………」

「残念だけど、魔力量低下による倦怠感だね。今はここが限界って事だよ」


 それに魔法じゃないけど……なんて空気を壊すような事はいえないな。



「それじゃ、私も訓練したらもっと使える様になるんですか?」

「どうだろう……可能性は無いとは言えないけど」

「ちなみにノグマスは、どの位の魔力があるんですか?」

「ああ、数字? 今の段階で二百って所かな。ちなみに、火魔法の魔道具(ライター)に目一杯入れられる魔力は百五十位だよ」

「くっ、十倍も……ちなみにですけど、他の方はどのくらいなんですか?」

「みんな三以下だね、多い人でも五とかかな」

「私、凄いじゃないですか! 四倍ですよ四倍!」


 ノグマスは、その凄いリトナの十倍なのを忘れているんじゃ……。


  

「ルクシアール様、旦那様にお願いして頂けませんか?」

「……リトナさんにも魔力があるから、ノグマスと一緒に訓練させろって?」

「そうです、そうです。さすがに私から旦那様にお願いは出来ませんので……」


 うーん……まあ、一人より二人だし、可能性は否定できないからな。


「うん、分かった。今日の夜にでもお願いしてみるよ……さて、そろそろ行こうか」

「よろしくお願いします。って、どこか行かれるのですか?」

「…………リトナさんは、僕の部屋に何の用事で来たの?」



 その夜、夕食の後に父に先ほどの事を話したが……。


「私の魔力はどうなんだい?」

「ねえ、ルクス君、わたしは?」

「あらあら」



 と、みな自分の事が知りたいみたいだ。


「残念だけど、お父さんは一で、お母さんとお姉ちゃんは二だよ」

「そうか…………まあ、リトナの件は分かった。ノグマスとは別にするのかな?」

「一緒で良いよ、都合が合わなければ仕方ないけど」

「でも、リトナに監視……付き添いしてもらおうと思っていたけれど、どうしようかしら」

「ルクス君とノグマスさんが、二人にならなければ良いんじゃないの?」

「ウルト、それはね――」


 母は姉に耳打ちして何かを……こう言うのも性教育の一環なのか?

 俺をだしにして、姉の反応を見て遊んでいるだけという線も捨て切れないが。


「ルクス君、最低!」


 ……風評被害、甚だしいな。

 

公私共に忙しくなってきた。。。

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