表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
帰れなかった勇者の新・異世界生活  作者: 乙三
少年期編
34/79

32.冬の日2

 収穫祭の準備もあり、恐らくは知り合いも軒並み忙しいだろうと露店巡りをする事に。

 母から頼まれた『甘い物』や、神様達へのお礼も兼ねたお供え物も買いたいしね。


 しかし、ずっと家に居たからあまり実感が湧かなかったけど、こうも人が多いとあの戦いからの変化が実感できるな。意識しなくても前はもちろん、横や後ろの人の動きや流れを感じるし、どう動けばぶつからないのかも判る。

 たくさん増えていた恩恵や技能のお陰だろうけど、これで美味い物とかも探せたら凄く便利なんだけどな……。

 『鑑定』では品質や完成度といった評価だし……まあ、自分で探すのも面白いから良いんだけどさ。


 そんな事を考えながらも、色々と見て回った結果、ドライフルーツを混ぜ込んだパンが売っていたので、これを『甘い物』として購入。

 一個買って味見をしてみたが、砂糖も使ってあるようなので軽食にも茶請けとしても問題無いだろう。

 

 欲しい物はたくさんあるが、他にも少しだけ買い足して今日はこの位にしておく。

 合計すると小銀貨三枚分くらいは持っているが、本一冊買えば無くなるレベルだし、収穫祭までは無駄使いしたくないので、ここは我慢だ……。



「――という訳で早くに帰ってたんだよ」

「随分と早かったから何かあったのかと思って心配したけど、そういう事だったのね」


 昼前に帰ってきてので、母に具合が悪くなったのかと思われたが、理解してくれたようだ。頼まれた甘い物も気に入ってくれた様でなによりです。



「それで、これからまた緩衝地帯に行きたいんだけど……良いかな?」

「それは構わないけど、依頼も無いのに外へ行くの?」

「うん、見た事の無い植物とかを見るのは楽しいからね――」


 と、緩衝地帯へ来たわけだが、人が多いな……。

 前に来た時は、道を歩いている人が十数人程度見えるだけだったけど、今はその十倍くらいは居るんじゃないか?



「すげえ人の数だよなあ」


 境界の門を抜けて立ち尽くしていたせいか、後ろを歩いていた人に話しかけられた。

 振り返ると、組合内で何度か見掛けた事のある顔だったので、名乗り挨拶をしておく事にする。


「本当にそうですね、……あ、ルクスと言います。六等級です」

「ああ、四等級のホッゾだ。顔はある程度見知っているが、よろしくな」

「こちらこそ宜しくお願いします。それでこの人の数は……」

「ほら、この間の亜人騒動あったろ? あれで村も道もボロボロになったから、それで職人やらなんやらが入り込んでいるのさ」


 そういう事か。全員が冒険者って訳じゃないんだな。



「それに死体の片付けをしている連中もいるか。なんせ五百近いからな、燃やすにも一苦労だろうさ」

「……亜人の死体は燃やすんですか」

「放っておいたら死霊化するしな。亜人は素材にもならないし、装備品を剥ぎ取ったら燃やすしかないんだ」

「なるほど、……勉強になります」

「まあ、追々覚えていけば良いさ。そんじゃあな」


 と、手を上げてホッゾは未開地へと続く道を進んでいった。

 俺は俺でやりたい事があるので、道を右に外れて前に行った河原へと向かう。

 しかし、こうも人が多いと身体能力や魔法の確認も出来ないな。まあ、領兵の目もあるから派手な事は出来ないんだけどさ。

 仕方ないのでもう一つの目的、神像用の石集めに精を出す事にする。

 目的の色は黄色と黒だけど、家の近くの用水路では見た事が無いので、こっちの川まで来たわけだ。

 

 そうこうしている内に河原へ着き、早々に黒い石を発見する。

 艶のあるすべすべした質感で、とりあえず『鑑定』で調べてみると『ベルーロステ』という鉱物らしい。

 これを一個一個探すのは骨なので、広域の『鑑定』で探せるかなと試してみたが、視界にある物の全てに鑑定結果が出てしまい思わず目を瞑る……視界一杯の文字列はさすがに酔うな。


 さて、どうしたものか…………余計な物を非表示に出来れば良いんだから……。

 いや、逆に表示させる物を指定してやれば良いのか。と、『創造』で『鑑定』を改造して検索窓を追加してみた。

 さっそく『ベルーロステ』と入力して『鑑定』を……おお、成功だ。

 

 視界に入らない地中とか、何かの影になっている物は表示されないけど、入力も思うだけで良いし探し物には便利そうだな。

 試しに『黄色い石』と入れてみると、相当数が表示されたので、これで石の確保も済む訳か……なんかイージーモードだったな。

 集めた石は『収納庫』に入れて持ち帰れば、除菌もされて衛生的だし、能力全般がこういう作業にあっている様な気がする。



 もしかしてと思い、ものは試しに『水晶』とか入れてみたら…………こんなに簡単に見付かるのかよ。

……それなら『宝石』は……なら、『宝石の原石』は…………これはやばい能力だな。


 とりあえず、見つけた物は全て『収納庫』に入れて持って自室へと戻ってきたが、なんだか凄く悪い事をしている気分だ。

 これを使えば一生金に困る事は無い。『鑑定・改(仮)』は、まさにそんな技能だけど……小心者の俺には重い力だな。

 いや、便利な機能だから消しはしないが、精神衛生上よろしくないので、金儲けとかで使うのは控えよう。

 …………この原石は商業組合とかで売れるのかな……。


 ともあれ、まずは神像製作を進める事にした。

いつもの通りに『創造』で石ころを纏めて一つの塊にし、そのまま『魔力操作』で記憶にある姿を(かたど)っていく。

 細部は自作の道具で作り込み……あっと言う間に各二個ずつ、計四体の神像が出来上がった。慣れもあるのだろうけど、本当に物造りには便利な能力だよな。


 ついでに供え物を乗せる皿も、今まで取ってきた石で製作するが……これは売り物になるんじゃ無いかと量産してみた。

 と、とりあえず買ってきた物を皿に載せて、各一体ずつの神像と共に神界へ送った。


 さて、次は何を……と考えていると、自室から出てこちらに走ってくる姉を感じ取れたので、自分用の神像や作ったばかりの皿を全て収納庫にしまい、本を片手に読書をしていた体を取る――。


明日と明後日は、諸事情により更新はお休みさせていただきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ