16.5.神像
前話の後ろに付く話でしたが、誤字などの確認が間に合わなかったので分割しました。
少し寄り道をしたが、揚げチポリを堪能し腹も膨れたので自室に戻り、次の作業のために『収納庫』から鉄の剣を一振り取り出す。
それを『創造』で粘土の様に柔らかくして、造形用の道具に加工しはじめる。
平らな物、針の様にとがった物、耳掻きの様に湾曲した物。
先端を様々な形に変えたボールペンのサイズのそれらを、作り出しては作業台に並べていく。
「うーん……こんなもんか……な?」
日本での記憶を辿りながら作ってみたが、使い辛かったらそのつど修正すれば良いか。
次に河原で集めた白い石を取り出して、これも『創造』で柔らかくして一纏めにし、魔力操作で大まかな形を作る。
左手で『創造』の魔力を流しつつ、右手に持った自作道具で細部を作りこんで……。
「出来た……おおよそ十二分の一、創造神様像」
神像化に際して、多少はメリハリをつけているけど……まあ、記憶にある姿に近い物が出来た。
子供なので毎日の様に神殿に通えないから、その代用品として作ってみたが……等身大や、それ以上の巨大な物は無理だし、俺が慣れ親しんだ日本のフィギュアサイズで許してもらおう。
次は、風と自由の神ベンク様だな。
家族への隠蔽の為に加護と恩恵を授けて下さり、何の関わりも無い俺に色々と協力してくれた神様だから、創造神様同様に大恩がある。
こちらは緑色の石を材料に…………言動は少年の様だけど外見は二十歳くらいだったし、女神様だからと女性らしさを出してみたが……ちょっとエロくなってしまったな。
風の神様だからと、ポーズをつけて服に少し動きを持たせて、風に舞った感じを出したのが原因か?
まあ、これはこれで悪くないので、一先ず完成という事で。
最後に土と財貨の神テアル様。
ストーブやリバーシの登録時には世話になっているし、加護や恩恵も賜っているからな……ついでに。
テアル様には茶色の石を使って……容姿は子供で性格も陽気な印象を受けたので、元気の良いやんちゃな雰囲気で。
しかし、こういう感じのキャラって、実はラスボスだったりするんだよねー……いや、フラグじゃないよ。
もっと時間が掛かると思っていたが、『創造』と『魔力操作』を併用するとイメージに近い物が作れるのでかなりの時短になる。材質が石だから『石工』の影響も働いたかもしれないけど。
ともあれ、これで三人? 三柱? の神像が出来た。
他の神様はまだ会った事がないので……いつかは全員分を揃えたいなと、若干のコンプリート欲が出てくる。
「だいぶ日も傾いてきたな……」
光魔法の『照明』を使っていたので気付かなかったが、空はもう薄暗く屋敷内には蝋燭が灯っていた。
両親達はまだ帰ってないようなので、三体の神像を『収納庫』にしまい、これ幸いにとフィギュア製作を再開する。
とはいえ、神像サイズの物はさすがに慣れてきたので、今度はもっと小型のサイズの物を……石ころ一個分、三十五分の一サイズでの製作にチャレンジしようと思う。
人間の模型という事であれば、組み立てたり塗装したりと日本では一番馴染んだ縮尺かもしれないが、いざ自分で作るとなると勝手が違う。
「ああ……またやっちゃった」
『創造』の魔力を流している左手で石を持ち、柔らかくした状態で右手で細工を……これがダメなんだろうな。保持している左手に少しでも力が入ると、せっかく作った形を歪めてしまう。
かと言って右手に魔力を流せば、自作道具も柔らかくなって作業にならない。
「自作道具の表面を魔力で包んで……」
それからも、あれこれと試行錯誤してみたがまったく上手く行かない。
そうこうしている内に、遠くで扉の開く音が聞こえ何者かの走ってくる足音が……どうやら自由時間も終了の様なので、自作道具は『収納庫』へ、作業台に転がっている石は木箱へと戻す。
「ルクス君、ただいまー」
「うん、お姉ちゃんお帰り」
それからと言うもの、今日あった出来事を晩御飯まで延々と聞かされる事となる。
そして晩御飯のあとも食堂に残り、就寝時間となるまで……。
ただ村に行っただけなのに、そんな数年間会わなかった様な対応をされても……別に村に行ったのだって、どちらかが留守番するのだって初めてって訳でもないのに。ほら、父さんも母さんも苦笑いしてるし。
まあ、こう言うのも姉弟としての関係の一つなんだろう……なんだろうな、不思議と悪い気はしない。
今日中に次話も投稿します。




