オワリ(あとがき)
当初、この話では新興宗教内の男女における、「死=回帰」をテーマにしようと考えていました。クライマックスは「人民寺院」のような集団自殺のイメージ、途中経過は「若きウェルテルの悩み」のイメージでした。
結局、紆余曲折ののちにこの話は「解離と統合」がテーマになりました。
文章が上手ではないので、読みにくかったかもしれません。
この話は、最後の老夫婦を除いて、登場人物は一人しかいません。丸子くん、瑠花さん、そして神父は、丸子瑠花という人間が解離して生まれた存在です。
丸子くんは、元人格のトラウマの記憶やストレスを請け負い、悩み、苦しむことでそれらを消化する役目を担っています。そのせいで一時期自殺を試みますが、瑠花さんがそれを止めます。
瑠花さんは元人格の夢想や抜け落ちた記憶の残債で、一番元人格に近い存在です。
丸子くんや瑠花さんは宗教セミナーの神父の元に通いますが、そこは実際には丸子瑠花の住む部屋です。
神父は、元人格の心の本棚を管理していて、異物を教授します。丸子くんや瑠花さんは神父を尊敬していますが、神父自身は二人の統合を助けるための副人格に過ぎません。
丸子くんは従来の悩みの代わりに新たな悩み……すなわち瑠花さんへの恋心が芽生えてしまいますが、それは分離→異物→統合への意識の変化です。
最終的に三者は統合し(神父だけは副人格なので、早めに消滅します)、最後はトラウマや苦痛が清算された状態の元人格、丸子瑠花が戻ります。
この話は、より多くの人格を登場させることで、もっと厚みのある物語に出来た気もします。
また、丸子瑠花のトラウマももっと掘り下げてもよかったかもしれません。
いずれにしても、文章力がまだ足りませんね、
お読みいただきありがとうございました!