85.女性の誤解とはすごく怖かったようです
依頼は完了した。
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拝啓、レオナルド殿。
今回私が依頼させてもらった依頼。
我が国アルテミアーナの女王決定戦の行く末を見届ける異世界審査員としての任。これを快く引き受けてくれ、なおかつ私が望んでいた【最高の結果】を残してくれた事に感謝の念を送りたい。
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それこそ度肝を抜かれる常識外れな行動だったり、魔剣の影響で大混乱を招いたりと色々あったけれど、三つの儀式+延長戦の四回に渡る女王決定戦は観客の大歓声の元でどうにか閉幕し、その中で選出された次代の女王は――
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知っての通り、お前が奮闘してくれたおかげで私が望んだ通り【マティルダ】が次代の女王として選ばれる形となった。それもその“形態”も母親としては非常に満足のいく結果としてな。今更だが私はお前が今回の審査員に選ばれて良かったとしみじみ思っている。本当にありがとう。
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そう、マティルダが女王となった。
家族を想う素直な気持ち、その為には奇しくも護る力が必要である事など単純ながら心に染み入るキーワードを混ぜながらの力強い演説で民衆を圧倒し、僕もその堂々と語る姿、内容に感銘を受けそのまま勝利の二文字を伝え優勝となった。
なお……補足として確かにマティルダはこれでれっきとした女王にはなったんだけど、本人の意向でヴィクトリアとメアリーも女王補佐として権限等を共有して共に国を支えていく事になった。
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それから……今回の報酬として渡す【金の冠】については本当に申し訳なかった。だがその後のお前との約束通り、次にこの周辺で魔剣騒動の犯人である【老人】の目撃情報があれば、転移用の魔方陣を張ってお前のいる世界へ伝えに――
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それで僕は次期女王の口から“遭遇したある老人の情報”を耳にした後にて、ちょっぴり恋しくなった自分の家へと戻る事にしたんだった。
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と……思ったんだけど……。
ドン! ドンドンドンドンッ!
「おーい! レオナルド出てこいよ!」
「せっかく私達が来てあげたんですから!」
「レオナルド様早く開けてください!」
「…………どうしてこうなった」
どうしたことか僕に休息の時は無かった。
ドンドン! ドンドンッ!
女王決定戦終了後。
僕はようやく自分のいた世界、我が家へ帰ってきた。それから掃除を済まし、帰る前に預かったイザベラ女王の手紙を自室で読んでいた途中、
ドンドン! ドンドンドンッ!
「おーい、聞こえてんだろレオナルド?」
「私達も【こんな格好】は恥ずかしいんです!」
「ワ……ワタクシもお姉様に同意です!」
「い……嫌だ! 僕は開けないからね!」
これは……夢か悪夢なのか。
何故か少し前に別れた王女三姉妹が家に来訪。
そして今も僕の部屋のドアを何度も叩いては、まるで取立人のように引きずり出そうとしてる。
と、正直ここまで聞けば問題は無いんだけど、
「なんで!? なんで“下着姿”なの!?」
問題はその彼女達の装いにあったんだ!
明らかに世間話をしに来た服装では無く!
いきなりドアを開けたら再び赤、黒、水の“エッチな下着”を着けた三人が押しかけて来ていたんだ!? なに、なんなの!? また僕をからかって赤面する顔を笑いにでも来たのかっ!?
「? 何だ、お前聞いてないのか?」
「……はいっ? 聞いてって何を?」
「あら、お母様ってばてっきり話されていたのかと思っておりましたのに……仕方ないですね」
「な、何の話っ!?」
「レオナルド……お前確か母上の手紙預かってたよな? 内容の方は一応私達も聞かされているんだが、今そこにあるなら最後まで読んでみろ」
「て……てがみ?」
全く持って意味が分からない……。
なんでこの事態とお礼の手紙が繋がるのか。
「あるなら早く読めよ! 聞いてやるから!」
「わ、分かったよ! 今読むから!」
正直……半信半疑もいいところだけど。
ひとまず僕はマティルダの言葉の通りに、テーブルの上に置いていたイザベラ女王の手紙を手繰り寄せ、その続きに目を通していく事にした。
「ええっと……なになに」
その途中まで読んでいた手紙の後半。
ページの最後の方に目を向けた……すると?
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ああ……そういえば一つだけ。
もしかしたら“異世界審査員のその後”について説明し忘れていたかもしれないんだが――
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「……うんっ?」
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実はな召喚された異世界審査員ってのは、次代の女王の【結婚相手】になるというわけなんだ。それで実際私の夫も前回の女王決定戦の審査員をやっていた男でな! そのまま結ばれたのだ!
まあ多分、私の記憶が確かならば説明の時に口走った気がするから知っていると思うがなっ!
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「…………なっ!? なっ!? ぬわあああああああああああにいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっっっっ!?」
「まあ……そう言う事だ! だから全然詳しくないけどなんかエロい事しようぜ! 母上も早く“孫の顔”が見たいって大はしゃぎだったし!」
「あらあら……お姉様ってば大胆ですこと」
「え……えろい事……あふう……」
ふっ、ふふふふ……ふざけんな!
そんなの一言も、欠片も聞いてないよ!?
そもそもそんな重要事項は最初に言って!?
こんな明らか国の未来に関わりそうな事を真っ先に言わないってどんな神経してんのさっ!?
「…………………………………ボソボソ」
「……うんっ? 誰だ、お前は?」
「あら……これはこれは可愛い女性ですわ」
「レオナルド様のお知り合いの方ですか?」
「…………ひっ!?」
ブルルルルルルッッッッ!
あれ……い、今の震えは一体何だろう?
今一瞬とんでもない寒気がしたんだけど。
ボカッ! ボカッ! ボカッ!
「ふげっ!?」
「きゃっ!?」
「あひゅ!?」
うん? なんだろう今の変な音?
いや、それよりも何かこうとっても大切な。
絶対に忘れてはならない事がうっかり抜け落ちてた気がするんだけど……って、あ……あれ?
「…………………………………」
「…………………………………」
「…………………………………」
「……急に静かになった?」
するとさっきまでの問答が嘘みたいに。
激しいドアのノック音だけでなく、外で僕を待ち構えている筈の三人の声もいきなり消えた。
もしかして……僕が強情だったから諦めたのかな? まあそれなら一番助かるんだけど、
「とりあえずドアを開けて確かめ――」
「……レオナルド……これ……どういうこと?」
…………………………あ゛っ。
そっか…………そうだ思い出した。
「私が……『じょしかい』の旅行で留守の間に……どうして……下着姿の女の子が……それも三人もいるの? まさか……浮気……したの?」
「いや……違うんだ。これには事情が――」
そ、そうだよ……朝確認したじゃないか。
今日は“彼女”が帰ってくる日だって。
そう! エミリアが帰ってくる日だって!
「この人達は……今私が気絶させた……大丈夫……傷は残らないから……でも、許さない……」
だから家中綺麗にして、美味しい料理を作って待っていてあげようって決めていたじゃないか。
そう決めてたのに……それなのにもうなんていうか人生の中でも五本の指に入る位の【このヤバいタイミング】でご帰還とはマジで最悪だよ!
「だ……だからエミリアさん? これには海よりもずーっと深すぎる位の事情がありまして――」
「問答無用……これでおしおきする……丁度ビンゴで当てたの……丈夫で硬いって評判だったの」
「ま、待ってエミリア! そのフライパンは人を調理するものじゃなくて――ぎゃああああ!?」
と……こうして最後は文字通りの悪夢っ!
「えい……えい……レオナルドの馬鹿……そんなに……エッチな下着が見たいなら……私を脱がせばいいのに……いつでも見せてあげるのに……」
「ぐおっ、ぐはっ!? へっ!? なに!? 殴打音と激痛でよく聞こえなかったんだけど!?」
「ばーか……もう言わない……の」
僕は彼女に散々ボコボコにされた挙句。
その後は気が付いたマティルダ達とで土下座。
思わぬ誤解を招き、怒り心頭状態のブチギレエミリア様に全員で謝る羽目になったんだ。
もう! 誰か僕に休息をくれぇぇぇぇぇ!
ここまで読んでくださりありがとうございます。
これにて長かった五章はついに完結となります。
次話は現在執筆中で完成次第投稿します(*'ω'*)
ではでは最後にもしよろしければブクマや評価であったり率直な感想などお待ちしております!!
皆様がくださる評価等はこの【黒まめ】のモチベに直結するので……あとは飛んで喜んだりもします(´・ω・`)




