第2話 波乱の入学式
俺は学園の闘技場、選手控室で準備をしていた・・・
「どうしてこうなったんだ・・・」
俺は独り言のように文句言い放つ・・・
「模範試合は普通、決められた生徒に連絡が行くのに真に連絡が行かないなんて、確かに不可解ね」
そう・・・本来、この学園の模範試合は入学前の選抜により決められているはずだ・・・それを左右の黒髪を赤いリボンで束ねる少女は、あごに折りたたんだ人刺し指をあてながら考えている・・・天光院鈴華、俺の幼馴染で、今この一室にいるのは、俺と彼女の二人だけ・・・
「どうして俺なんだよ!」
俺のどうしようもない思いが準備を進める体を重くする・・・
どうして俺がこんな状況になったかは、数刻前の入学式までさかのぼる
数刻前
森林に囲まれた、祭儀闘技場と呼ばれる場所で、俺達は席に着き会式まで待っていた、入学式なだけに周りは生徒の話声でにぎわっていた・・・そして、司会役の教員がみんなを静かにさせる。みんなが静かになると、ステージの上に学園長らしき女性が立つ・・・肩にかかるくらいの黒髪、黒い瞳、服は白を基調とした清楚な感じだ・・・・・その女性は、マイクの位置を微調整すると話し始めた・・・
「新入生の陰陽師候補生の皆さん、初めまして・・・学園長の月閃院京華です。皆さんは陰陽師を目指しこの学園に入学されました。この学園は魔魂から民を守る陰陽師を育てるために創設されました。皆さんには、一流の陰陽師を目指し精進していただきたいと思います・・・以上です。」
外見から見れば30代後半、だがそんな声とは思わせない、凛々しい声が式場に響く・・・月閃院、陰陽師を目指すものならだれもが知っている名家・・・この学園の創設者にして、陰陽師家の中でも高い地位にある陰陽十二家の第1家・・・月閃院家の20代目頭首・・・それが月閃院京華・・・
俺がそんなことを考えていると、司会役の教師が話始める。
「これより、入学式恒例の模範試合を始めさせていただきます。名前を呼ぶ二名は、この後すぐに、一対一の対人対戦を行ってもらいます。」
入学式恒例の模範試合・・・祭儀闘技場に特殊な結界を張り、その中で一対一で戦うこの学園の伝統行事、結界の中でのけがは痛みや出血はあるものの結界が解除されれば元通りになる。闘技場の破損も同様に元通りになる。
「新入生主席・・・孔雀院玲奈・・・・新入生・・・天鏡院家次期頭首、天鏡院真・・・・・今より20分後に模範試合を始めるので準備したください」
「・・・・・・え!」
現在
こんな経緯があり今に至る。俺は制服はそのままだが靴は革靴だと動きづらいので祖父が用意してくれた清装の靴に履き替える・・・清装とは、魔魂と戦う時、白装束だと動きにくいと考案された陰陽師が戦う時の戦闘装束である。
「よし・・・これでいいな・・・あ、そうだ、刀どうしよう。」
いくら動けるからといって武器がないと話にならない。そんなことを思っていると控室の扉が開かれる
「失礼するわね」
扉が開かれると同時に聞こえてきた声の正体に俺と鈴華は驚いた。
「が、学園長!!」
俺と鈴華の声が重なり控え室内に小さく響く。そんな事お構いなしに学園長は俺に近づき、話を始める
「貴方が天鏡院家の次期頭首、天鏡院真君ね」
俺は驚きながらも答える
「は、はい、そうですが」
「貴方に渡すものがあるわ」
そう言って、学園長は横に大きいアタッシュケースを控え室の椅子に置く・・・
「開けてみなさい・・・」
俺は学園長に言われ、アタッシュケースを開ける・・・すると中には刀が三振り入っていた。
「一番上が貴方の刀・・・水心子正秀・・・・・真ん中が貴方の母親の刀・・・稲葉郷・・・・・下が父親の刀・・・獅子王・・・・・霊装としての術式は施してあります。後は自分で好きにしなさい。」
すると学園長は次の瞬間にはもう姿はなく、赤く光る塵が残っていただけだった。
「・・・真、全部使うの?」
鈴華が不思議そうに聞いてくる・・・・・俺は少し考えたのち
「・・・今回は水心子で行く・・・」
鈴華が驚いた顔をして言ってくる。
「え!真って本当は二刀使うでしょ、相手は一年主席なのよ。下手して負けたら家の名に傷をつけることになるのよ。」
「確かに、だけどこの刀は、いわば両親の形見だ・・・無理に使って傷つけたくない」
両親の刀は、二人が死んだときに一緒に折られていた、それを祖父が学園側に言って修復もらったらしい、だから今は戦闘に使うのも避けたいのである。
「真・・・・・」
俺は腰に刀をかけるためのベルトをつけ、水心子をかける。
「・・・よろしくな、水心子」
俺がそう声に出すと鈴華が微笑みながら言う
「真、そういうスピリチュアルな所変わってないね。」
「刀にも魂が宿る、そして霊装ならそれがさらに具現化しやすいと親父から聞いた。」
俺は水心子をみながら言う。すると鈴華は腰につけていた自身の刀を鞘ごと抜くとそれを俺に渡してくる。
「鈴華・・・」
「私の刀を使って、私のだったら気兼ねなく使えるでしょ。」
俺は刀を受け取り、水心子とは反対側の腰に刀をかける
「鈴華・・・この刀の名前は・・・」
「菊一文字よ・・・」
俺は刀の方を見つめながら言う
「いい名前だ・・・」
外からの歓声が聞こえてきた、模範試合の準備が出来たようだ。
「いってらっしゃい真、勝ってね」
俺は控え室を出る前に鈴華をみて小さく頷き、闘技場に出る。
学園内の部屋の一室、私を含めた五人の生徒は、入学式恒例の模範試合の映像がまだ始まらないかと待っていた。ここに集まった生徒は五行天・・・水、木、火、土、金の分野のトップに与えられる。称号、その水の天と呼ばれている私は、静かに席についていた。すると五人の中で一際体格のいい男子生徒が話始める。
「今年の新入生にタフなやつはいねぇかなー」
すると、円形の机、男の対角線上の机に腰を掛けている女子生徒が座りながら男子生徒に言葉を返す。整った顔立ち、腰までかかる黒髪、リボン型の髪飾りで瞳は綺麗な琥珀色の瞳をしている。
「まぁ確かに今年の新入生がどんな実力をしているのか、その一片が見れますからね。とても楽しみです・・・」
するとその女子生徒が私に話を振ってくる・・・
「姫はどう思います・・・」
私は正直こんなことをするぐらいなら寮に戻り、本の続きを見たいと思っている。こんな新入生の試合、面白くもなんともない・・・退屈な茶番に過ぎない・・・
「私からは何とも・・・ただ、こんな茶番をする時間があるなら、もっと魔魂に対抗する時間にあてた方が有意義だと感じます。」
すると体格のいい男子生徒は高笑いする。私の発言がそんなにおかしかったのだろうか
「ガッハッハ、姫の言うとおりだ・・・だがな、新しい陰陽師の種を見守るのも、我らの仕事だと思うぞ。」
私は、表情を変えずに冷静に返答する。
「貴方は相変わらず熱いですね、まぁ、それもお役目のうちですからね、仕方ありません。」
私達はまた、中央に映し出されている映像に再び視線を戻す。
俺は闘技場に俺より先に出ている。少女に視線を送る。腰背中まで伸びる長い三つ編みの黒髪、風がふき髪と同時に揺れる制服のスカート、腰に差した刀、瞳は色が抜け落ちたような灰色、そんな瞳に俺はどこか悲しいものが見えた気がした。
「貴方が・・・天鏡院家の次期頭首・・・天鏡院真・・・」
俺は、少女の目を見てしっかりと言う
「あんたが孔雀院玲奈・・・」
すると、男性教員によるアナウンスが入る。
「これより入学式恒例、模範試合を開始する・・・・・両者・・・構え!」
俺左手で水心子の鞘を握り右手で引き抜く・・・美しい軌跡で抜いた刀の切っ先を地面に向けた状態で右足を後ろに擦り半身の体制になる。体を半身にすることでもし相手に先手を取られても、切られる箇所を限定することにより相手の刀の軌道を予測することができる。孔雀院は刀を右手で引き抜き、左手も刀を握り切っ先を俺に向ける。
お互いの間に静寂が流れて行く、あちらも迂闊に動けばやられると考えているのだろう。
「(・・・・・今!)」
俺は足を思いきり踏み込み、孔雀院との距離を詰めようとする。刀を後ろで構え、横一閃に刀で切りつけるが、孔雀院は刀を当て刀の軌道を途中で止める。
相手は一年主席、流石にこんなものだと驚かないか、すると孔雀院は刀をいなし後ろに飛ぶ・・・その際に孔雀院は腰の札を入れるホルダーから札を三枚取り出す。
「爆轟符」
投擲された札に俺は一瞬、反応が遅れる。
「・・・ヤバイ!」
地面についた爆轟符は一瞬で赤くなり、次の瞬間、3つの大きな爆発が起こる。俺は間一髪のところバックステップで爆轟符の範囲外に逃げる。
「いきなりだったから爆轟符つかったけど、これで終わりってわけじゃないわよね」
俺は刀を横一線に振り、煙を一瞬で払う。煙が晴れた後に孔雀院の顔を見ると俺が無傷なことを最初から予想できてたような顔をしている。
「危ない危ない、いきなり爆轟符なんて飛んだ狂人だな」
俺は左手で制服の袖を叩き、爆発でついた塵を払う。
「これぐらいで終わってたら飛んだ拍子抜けだもんね・・・次期頭首さん・・・」
すると孔雀院は刀の切っ先を空へと向ける。
「来なさい・・・五虎退吉光・・・」
すると刀が青い炎を帯び、その炎が虎の姿になっていく。
「く・・・」
俺はその青い炎から放たれる熱気に少し怯む。御神体・・・霊力の高い陰陽師が刀に宿る魂を具現化させる術式。これが出来る物はかなりの力の持ち主だという証明書代わりにもなる優れもの、当然今さっき刀を手に入れたばっかりの俺は到底できない・・・
「・・・まさか御神体の術式を成功させるなんて・・・」
俺は驚きと共に、何か策がないかと考えるが、なにも浮かんでこない・・・それほどまでに力の差があることを頭が感じ取ってしまったのだ・・・
「諦めなさい、この勝負、貴方に勝ち目はない・・・」
孔雀院が表情を変えずにそう言い俺に切っ先を向けてくる・・・確かにこの状況、陰陽師の力について知っているものならだれもが無理だと思うだろう・・・だけど俺には、刀で応援してくれたあいつが見ている前で無様に降参なんてしてたまるか!
俺は、左にかけてある菊一文字に手をかけ、一気に引き抜く美しく輝くその刃は、新品の水心子にも引けを取らない輝きを放っていた。
「諦める・・・馬鹿言うなよ、お前にプライドがあるように、俺にも譲れないものがある。そのためにここで無様に降参するわけには、行かねぇんだよ。」
俺は右手に持つ水心子を孔雀院に向ける。
「さぁ・・・こい、俺は俺のすべてをかけて、お前を倒す。」
すると孔雀院は、俺の覚悟を汲み取ったのか、厳しい顔になる
「いいわ、その覚悟、しかとみせてもらうわ・・・行きなさい」
そう孔雀院が言うと、虎の姿の御神体が突っ込んでくる。俺は一度水心子と菊一文字を地面に刺し、胸ポケットから一枚の札を取り出す。
「天鏡符・・・」
すると手元から札が消え、地面に刺している二刀が白いオーラを放つ
「何をしても無駄よ、焼き尽くしなさい・・・烈虎豪火弾」
彼女の掛け声と共に虎の御神体が足を止め俺に向け巨大な青白い火球を放ってきた。
俺は腕を肩の後ろに交差させる体制で構える。
「俺に力を貸してくれ・・・」
すると刀を覆うオーラが更に濃くなるが、火球がすぐそこまで来ていた。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
俺が勢いよく刀を振り下ろすと交差した斬撃が火球とぶつかり爆発する。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
俺は煙の中を一直線に走る、煙を抜けると虎の御神体が目の前に立ちはだかる。虎の御神体は大きく吠えた後、その前足で俺に攻撃をしてくる。
「ぐ!!」
俺は刀を前で交差させ攻撃を受け止める。だが衝撃を殺しきれず後ろに足を擦りながら下がる。次に振り下ろされた前足を前に転がり回避、そのまま虎の御神体を抜き去り、術者である孔雀院に接近する。御神体は相当な集中力と霊力を必要とするため、慣れている術者でない限り、術者は下手に動くことができなくなる。孔雀院が俺に攻撃してこないという事は、まだ慣れていないのだろう。俺はそのまま接近する。
「う・・・なら!」
後ろから感じていた御神体の熱気が消える。おそらく術式を解き近接戦をするのだろう。孔雀院まで数メートル、御神体の攻撃が当たるより前に俺に攻撃されると考えたのだろう・・・孔雀院が刀を両手で持ち構える。
俺は速度を落とすことなく走り続ける。孔雀院が左から横一線に刀を振ってくる。俺はその刀を水心子で受け止め、刀の動きが止まるのと同時に、菊一文字の刃を上に向け下から振り上げる。しかし孔雀院はそれを体を少し後ろにそらし回避しようとする。その際、制服に少し切れ目が入った。孔雀院はそのまま後ろに飛びのく。さすがに孔雀院も今の切り上げには驚いたのか、額の汗を拭うしぐさを見せた。
「私にもここにいる理由がある・・・だからここで負けるわけにはいかないのよ」
孔雀院はまた刀を構え直す。今度は刀を右手で持ち、左手には札の束を持っている。
つぎの瞬間、孔雀院は札の束を頭上高く投げ、瞳を閉じ詠唱を始める。俺は水心子の切っ先を孔雀院に向け菊一文字も、上に構えつつ切っ先を孔雀院に向ける。
「無情なる怨嗟の鎖よ・・・全てを縛り、戒めよ・・・」
すると、散りばめられた札が空中で静止し、札がすべて正面を向く。その文字は、怪しい紫色の光を放っていた。
「そっちがそう来るなら・・・」
俺は二刀をいったん鞘に納める。そして胸ポケットから二枚の札を出し、それを片手に一枚づつ持つ。
「術式展開・・・これで決める。」
俺は正面に札を二枚とも投げるすると、記された術式文字に俺の周りに円形に展開される・・・すると次の瞬間、記されている術式文字と同じものが俺の腕や足にも記されていく。今俺が展開した術式は、身体能力や身体強度を、霊力によって上昇させるものだ・・・これで勝負だ。
俺は再び、二刀を引き抜く・・・
「呪詛術式・黒鎖」
すると空中で静止いている札から次々と黒い鎖が俺の方めがけ飛んでくる。
「行くぞ!」
俺は孔雀院に向かい走り出す。それに合わせるかのように黒い鎖は俺めがけ飛んでくる。俺はそれを避けたり、刀で弾きながら孔雀院に近づく、何本かは制服をかすめたり、頬をかすめ鮮血が痛みと共に空中に散るが、足を止めずに走り続ける。
「私は負けられない・・・負けられないのよ」
背後から外れた鎖がまた飛んできたりとだんだん避けるのにも限界が来ていた、身体にかすめる鎖も多くなる。そんな中、鎖の一本が足をかすめ、痛みで一瞬足の運びが止まる
「まだ・・・まだだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
その痛みを耐え俺は思い切り地面をけり、一気に距離を詰める
「そこ!」
孔雀院の周りにある札からも鎖が俺めがけ飛んでくる。俺はすぐに足を地面に付けブレーキをかける。だがすぐそこまで鎖は迫っていた。俺は足でブレーキをかけている状態で捌く・・・そしてようやく刀の届く範囲まで俺は孔雀院に接近した。
「私はぁぁぁぁぁぁぁ!!」
孔雀院が俺を貫こうと刀で突きの一閃をしてくる。俺はそれを菊一文字を使い刀を逸らすが、さすがに逸らしきることができず、俺の左肩を孔雀院の刀が貫くが、俺は痛みに耐えながら右手の水心子を孔雀院の首元で静止させる。
「これで・・・俺の勝ちだ・・・」
荒い息遣いで俺は孔雀院に告げる。
すると審判のアナウンスが入る。
「入学式恒例、新入生による模範試合は、首への寸止めにより、天鏡院真の勝ちとする・・・」
そのアナウンスが終わった瞬間、観客の新入生から大きな歓声が寄せられてきた。俺と孔雀院は、術式を解きお互いに刀を収める。その歓声の中からは、「主席に勝ったぞあいつ」や「天鏡院君カッコイイ」など、驚きの声、称賛の声がいくつも聞こえてきた。俺は孔雀院の方を見る。孔雀院は顔を伏せていたが、その頬からは涙が伝って落ちていった。俺は孔雀院の方を向く・・・
「孔雀院・・・」
孔雀院は顔を上げずに独り言のようにつぶやき始める。
「負けた、これで私・・・みんなに馬鹿にされる。主席のくせに負けたって、く・・・うぅ・・・家からも白い目で・・・」
孔雀院は泣くのを我慢している。負けたこと事態に関してじゃない、その先の事を考えていた。おそらく主席が入学初日に負けることなどそんなに前例があることではないだろう。俺と同じ家の期待を背負いこの学園に来ている。しかも言動から見て恐らく孔雀院はプライドと責任感が高いだろう。そして今の独り言と性格からして友達がいなかったのだろう。
俺は孔雀院に手を出す・・・
「え?・・・・」
孔雀院は突然の俺の行動に顔を上げる。目は少し赤くなり、涙の後が日差しに照らされうっすらと光る。俺は痛みに耐えながらも精一杯の笑顔で言う。
「孔雀院・・・俺と友達になってくれないか・・・」
すると孔雀院は困った様子で訪ねてくる。
「私、貴方に負けたのに・・・何で貴方より弱い私を友達なんかに・・・」
俺は笑顔のまま答える。恐らくこいつは、弱い自分と友達になってもいいことはないと思っているのだろう。陰陽師も政治家や貴族と変わらない、力なき者は力ある者に淘汰される世界だと思っている。
「友達に強いも弱いもない、もしお前を馬鹿にするやつが現れたら、そん時は俺がお前を守ってやる・・・約束だ・・・」
すると孔雀院は晴れやかな顔になるがすぐに頬を赤らめそっぽ向いてしまう。咳払いをした後こちらを向く、変わらず頬は赤いままだ
「し、仕方ないわね・・・貴方がそういうんだったら、友達になってあげるわよ・・・」
するとおどおどした手つきだが俺の手をしっかりと握ってくる。少し力を入れるだけで折れてしまいそうな華奢な手・・・そんな俺たちを見た観客は更なる歓声を送ってくる。すると孔雀人はすぐに手を放し、赤い頬のまま腕組みをする。
「これからよろしく頼むわね、真」
俺は急な呼び捨てに驚く、さっき知り合ったばかりでいきなり人のことを呼び捨てってと思いながら言葉を返す。
「いきなり呼び捨てかよ!」
「いいでしょ!!」
顔をグイっと近づけていってくる孔雀院はいきなり顔を離しもじもじした様子で言ってくる。
「わ・・・私のことも・・・その・・・これから玲奈って呼びなさい。」
これが彼女なりの精一杯の努力なのだろうと納得する俺である。
「おう!、これからよろしくな・・・玲奈」
すると玲奈は今まで見たことのない笑顔で言ってくる
「うん!」
これが俺と彼女、孔雀院玲奈の出会い・・・森の祭儀闘技場の中、お互い全力で戦い・・・生まれた友情・・・戦い終えた俺たちを祝福するかのように風が優しく吹く・・・どうなるか不安の中、学園でできた初めての友達・・・それに俺は、内心とても嬉しくこれからに期待するように俺は、空を眺めるのであった。
皆さんこんにちは、福音寺朧です。武装陰陽師の花嫁楽園、第2話いかがでしたでしょう。入学式新入生、新生活を始められる方、新しく社会人になる方、こういうイベントは、その場一回限りしかありません。こういうことは楽しんで行かないとそんな気がします。おっと、話が逸れました。孔雀院玲奈ちゃん、責任感とプライドが高く、自分の感情を表に出さない、いわゆるお嬢様キャラというやつです。普段は冷たいのにたまに見せる笑顔とか見ると、かなりレアだなと思いませんか?こんな状況なら俺は燃えます。それでは皆さん。次回また会いましょう。




