謎の男登場
目を開けると案の定白い部屋。そしてパソコン。見慣れた光景になりつつある部屋に再び来た。ここはどこなのか全く見当もつかない。
「まぁそんなこと考えても分からんもんは分からんしなぁ。考えるだけ時間の無駄か。それより今回の特典は…………は?」
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進化特典
1.豪華詰め合わせ(カジノ)
2.SP200pt.
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カジノ。勇者なのに世界を救うのを放置して何時間も入り浸った記憶がある人も多いのではないだろうか。そんなカジノで進化特典をどうやって決めるのだろう。貯めたポイントで交換するのだろうか。どうであれSPはいらないので豪華詰め合わせを選択する。
選択して目線をあげると真っ白で質素だった部屋が煌びやかで豪華な部屋へと変わっており、ポーカーテーブルが置いてある。匠もびっくりの早業である。なんということでしょう。もはやこの部屋には質素のしの字さえも無いではありませんか。
そして……
「ようこそ!カジノへっっ!!!」
「……は?」
謎のタキシード男 が あらわれた!
……コマンド? ➡︎にげる
「しかしまわりこまれてしまった!」
「しれっと心の中読むな!で、誰っ⁈」
「ああっと私としたことが。しまったしまった島倉千代子。」
「何言ってんだこいつ。」
「あら?ご存知ない?」
「知らない。」
「ごはっ……これがジェネレーションギャップっ…」
「いや、だから誰?」
「ミーですか?」
「ユーですよ?」
「吾輩は神である。ひれ伏せぃ!」
「キャラ安定させてくれません?」
「Ооба, ал белгиледи. Менин атым……」
「すまん。日本語でおk。」
「注文の多い方ですねぇ。」
「常識的判断を要求します。」
「常識って何かわかって言ってます?」
「え?」
「意味をちゃんとわかってない言葉使っちゃダメですよ?」
「……すいません。」
「よろしい。ちなみに常識とは、社会の構成員が有していて当たり前のものとしている社会的な価値観、知識、判断力のこと。また、客観的に見て当たり前と思われる行為、その他物事のこと、です。自分は社会の構成員じゃないんで無くてもオッケーですね。ニートなんで。」
「お前さっき神って言ってたよな?」
「やだなぁ。ニートの神様ってことに決まってるじゃないですかぁ。もしかしてぇ、馬鹿なんですかぁ?」
「………………」
「あら?どうしました?」
「…そろそろ黙れよ。ぶっ殺すぞ。」
「神殺しの魔王目指しちゃう?ちゃうちゃう?」
「黙れねぇの?」
「ライオンにシマウマの肉食うなって言うくらい無理な話ですねぇ。」
「無理なのか無理じゃないのか微妙だな…」
「なんかやっていけそうな気もするけど絶対きついとわかってる感じですねぇ。」
「じゃ、黙れ。」
「わぉ、辛辣ぅ。」
「で、誰?」
「だから、ニートの神様。」
「マジで?」
「まじまじマジで我は神。君の態度はマジやばみ。」
「何韻踏んでんだよ。」
「ラップにラップで返さないのはK.Y.だぜ?」
「なんでKYのとこK.O.みたいに言ったんだよ…」
「その方がかっこいい。」
「……もうやだぁ…」
「オッホン。失礼。少々おふざけが過ぎましたね。」
「少々の意味調べてこい。」
「少々。1、数量・程度がわずかであること。副詞的にも用いる。すこし。わずか。2、 たいしたことではないこと。普通。なみなみ。」
「……。」
「あっしに名前が無いのはホンマでっせ?」
「一番最初の感じでお願いできます?」
「私に名前が無いのは本当ですよ?」
「訳せって言ってるわけじゃねぇ…」
「話を進めますよ?」
「……」
「ニートの神にしてニートな神。そうですね。トニーとでもお呼びください。」
「トニー。ここはどこだ?」
「カジノです。」
「それはわかる。ここはどこにあるんだ?」
「ここはどこにあるか。さて、私には分かりかねます。」
「は?神様なんだろ?」
「神とはそもそも天界で暮らす者たちのことを言います。意味的には天界人、といったところでしょうか。全知全能とは程遠い。我々も人間同様進化してきたのです。そんなになんでも知ってて当然みたいに言われるのは少々気になります。」
「それでも長い間ここに住んできたんだろ?」
「ではお聞きしますが、貴方は地球が宇宙のどこにあるのか正確に言えますか?」
「は?」
「宇宙の中のどこかにあってなどと人は言いますが、その宇宙とは一体どこなんでしょう?」
「宇宙がどこにあるか…」
「もしかすると宇宙とは別の何かの中にあって、宇宙みたいなものがわんさかあるのかもしれない。そうですね、天界なんて正にそうですよ?天界人とは宇宙人と同等の広い意義を持っています。つまり、何が言いたいかというと、ここが天界のどこなのかなど私には全くわからない、ということです。」
「なるほど。確かにそうだな。」
「でしょう?」
「でも俺的にはここが天界だってことさえわかれば良かったかなぁ、なんて思ったり思わなかったりする。」
「そうでしたか。あ、ポーカーしませんか?」
「え、唐突だな。」
「ラブストーリー?」
「それは突然。」
「引き受けることは?」
「然諾。」
「…えーっと……」
「そういうゲームじゃないよな?」
「ちょっと黙っていただけます?今考えてるんです。」
「…………はぁ。選択ミスった……。」
本日の教訓。
賭け事には手を出すべからず。