エンカウント
俺は蒼太の言うことに耳を貸さず、現れた醜い生き物を見やった。
「ゴブじゃね?」
(あ、たしかに。ゴブリンっぽいね。)
(鑑定してみればどうだ?)
「よし、鑑定っ!」
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ゴブリン
Lv.1
Gランク
醜い。人型の生き物の雌なら何とでも交尾可能。一度行為に及んだ雌には一生尽くすと言われており、基本的に一夫一妻。人間では、四十を超えもはや結婚できない者や、容姿が醜く、貰い手が現れない女性がゴブリンと添い遂げるため巣へと赴く。
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「一夫一妻て・・・。」
(そこらのチャラいリア充(笑)よりは全然良い奴だね。)
「おい。闇が出てるぞ。蒼太。」
(はっ。危ない危ない。性格の悪いブスなオタクはただのオタクだからね。)
(おい!襲いかかってきたぞ!)
「ちっ、じゃぁ仕方ねえよな。」
(大丈夫なの?)
(大丈夫だろう。ゴブリンだし。)
俺は拳を握りしめ、ファイティングポーズを決める。
「かかって来いやァッ!」
「ギャギャア!」
ゴブリンの攻撃を避け、渾身の拳をゴブリンの顎に叩き込んだ。
「ギギョ!」
数メートル吹き飛び、ゴブリンは動かなくなった。
「あれぇ?弱くね?」
(本来三人分の力を一人で使っているからな。しかも転生なんだ。俺たちはすさまじく強いんだろうな。)
(すごいよ!ついに僕たちの時代が来たんだ!)
(俺の時代は既に来ていたけどな。)
(くそっ、リア充め・・・)
「ん?なんかレベルが上がった気がする。」
(え?まじまじ?見せて見せて。)
「ステータスッ!」
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カイト(17)
種族:下等悪魔
Lv.4/10・1・1
HP:834/834(499+92+243)
MP:331/331(264+67+0)
物理攻撃力:399(271+31+97)
物理防御力:387(217+39+131)
魔法攻撃力:309(204+105+0)
魔法防御力:452(268+82+102)
素早さ :314(223+64+27)
スキル
(略)
SP(360)
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(待って。ねぇ、待って。)
(どうした?蒼太。)
(略、って何?)
「なんの変化もないのにスキルがだらだら書いてあるの鬱陶しいなぁって思ったらできた。」
(アバウトっ⁈)
(しかし、随分早くレベルが上がるんだな。)
「獲得経験値八倍だからな。」
(とりあえずガンガン魔物を倒していってレベルアップした方が良いんじゃない?)
(いや、それ以前にここにあいつ以外の魔物はいるのか?)
「いるだろ。」
(多分どこかのダンジョンだよね。)
「どっかに階段があるんじゃね?」
(階段を上るか下るか、だな。)
(はーい!せんせー!)
「はい。浦中君。」
(上るべきだと思いまーす!)
(はーい。せんせー。)
「はい。金田君。」
(下るべきだと思いまーす。)
「せんせーもそー思いまーす。」
(理不尽だぁ!)
それから数十分。ダンジョンの中をうろうろとしていると二匹のゴブリンを見つけた。
「隊長!前方に目標を発見!」
(どうなさいますか。たいちょー。)
(もうご自由にどーぞ。)
「魔法使ってみようぜ!魔法!!」
(よし。メラだ。メラをうつんだ。)
「メラっ、メラミ!メラゾーマぁ!!」
(しかしMPが足りない!)
(いや、そういうことじゃないだろう。)
「ゲギャギャッ!」
(ちょっと!気付かれたよ!)
「魔法ってどうやって使うんだよ!」
(使わなくてもよくないっ⁈)
「そうは問屋が卸さねぇ!」
(そんな問屋は僕が許さねぇ!)
(おい!前っ!ま、え!)
「グギャワアアァ!」
「のわぁ!え、えぇっと…拳魔法っ!右ストレートォ!」
「ギギャァァァァ!」
(拳魔法⁈)
(もう一匹も来るぞっ!)
「ギャギャ!」
「くそっ!今度こそ魔法でっ!」
(きっと魔法の名前が違うんだよ!)
「よし!ファイア!火球っ!ファイヤーボール!」
燃え盛る火の玉が俺の手の平から飛び出した。勢いよく発射された魔法はゴブリンの顔面に命中し、悲鳴をあげることさえ許さない。
「よっしゃぁ!当たり!」
(えぐいね…)
(まさに虐殺だな。)
「そういうこと言うなよ。それならド○クエの勇者の称号が虐殺者になっちまうじゃねぇか。」
(世のため人のため、って大義名分があれば人はなんだってやっていいのさ。)
(闇が深いな…蒼太。)
(人生経験豊富と言ってほしいね。)
「それはともかく、またレベルが上がった気がする。」
(まじ?)
(その調子でどんどんレベルを上げないとな。)
「それじゃあ作戦はガンガンいこうぜっ!で。」
(ちなみに、リメイク版のドラ○エ4で女主人公を選択すると「ガンガンいくわよ」になるらしいよ。)
「(え、まじ?)」
(まじまじ。)
「凝ってるなぁ。」