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物知りなスライム

 メモリースライム。それがアリスの種族名だ。このスライムはただのスライムではない。前世の知識を引き継いでいるのだ。言うなればインテリスライム。賢者スライムと言った方がいいかもしれない。アリスはこの世界のさまざまな事を知っており、非常に頼りになる。というかわりとチートな生き物だと思う。ところが、アリスいわく、メモリースライムはメモリースライム特有の言語を使っているうえ、非常に稀少なモンスターらしく、知識を持っていても誰にも伝えることができない。宝の持ち腐れなモンスターというわけだ。なお、進化不可。……あえてもう一度言おう。進化不可。


「美少女育成計画がァァァ……」

(だから無理だって言ったじゃん。)

(スライムだからうねうねっと美少女的な見た目にならないのか?)

「スライムの体は案外硬いから無理なんだそうだ。」

「うぅ、申し訳ありません。ご主人様。」

「あぁ、いや、いいんだぞ?これはこれで癒されるし。」


 スライムの体の表面はスーパーボールのような感じだ。現代の地球に出現しようものなら無邪気な子供達にサッカーボールにされること請け合いである。いい感じにツルツルしていて触り心地が非常に良い。


「あ、そうだ。アリス、鑑定しても良いか?」

「鑑定ですか?大丈夫ですよ?」

「じゃあ、遠慮なく。鑑定!」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

アリス(137)

種族:メモリースライム

性別:メス

Lv.1/2500


HP:3786/3786

MP:4440/4440


物理攻撃力:609

物理防御力:1728

魔法攻撃力:1042

魔法防御力:1334

素早さ:1776


スキル

変身Lv.1


完全記憶

記憶整理

SP(0)


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


(おお、強い。超強い。)

(最近、俺たちは本当に必要なのか疑問なんだが。)

(え……いや、ほら。あれだよ。海翔の喋り相手とか?)

(アリスがいるだろ?)

(うっ……スキルとか、ステータスとか……)

(ステータスはもはや大したプラスにはなっていないし、スキルはSPで取ればいい。)

(ぐはぁっ……そんな……)

(これは由々しき事態だ。なぁ、海翔。)

「そうだなぁ、そもそも真っ先に思い浮かぶのが喋り相手って時点でお察しなんだが……」

(そこでだ。俺たちの強化を図ることがこれからの目標となるわけだが…)

「え、そうなの?」

(鍛治で鍛えるのは無理でしょ?)

「俺の手が潰れて焼かれてハンバーグになるな。」

(海翔の体を乗っ取って経験値を稼ぐ…とか?)

「怖えよ。マジモンの呪いの装備じゃねえか。」

(なんかないの?このままじゃヤバイよ。これから海翔は二人…二つのニートを抱えて生きていくことになるよ?)

「うわぁ、それはちょっと……」

「ご主人様。前の方からモンスターが…」

「え、まじ?どこど……って、結構近くまで来てる⁈」

「その……これまでずっと一人でいたので、どんなタイミングで話しかければいいのかわからなくて……」

(あぁ、これもまた問題だよねぇ。)

(仲間はずれは良くないからな。)

「よし、アリス仲間はずれ問題は後々解決するとして……あれは、なんだ?」


 近づいてきていたモンスター。鳥だ。地面を走っているが、ダチョウ的なものだろうとは思う。ただ……


「ワンッ、ワンワンッ!」

「ワン、と鳴く鳥なのか?鳥っぽい犬なのか?」

(どっちでもよくない?)

「駄犬鳥ですね。」

「名前かっこわるっ⁈」

「人間が犬のように人間慣れした駝鳥を作ろうとしてその二つを混ぜたところ失敗。なので、無駄な犬鳥。略して駄犬鳥。馬鹿にされ続け、怒りのあまりにモンスターになったと言われています。」

(案外可哀想なんだけど。)

「仲間にして足にするか。」

(今にも襲いかかってきそうだが?)

「じゃあとりあえず押さえつけよう。」

(え、できるの?)

「多分。きっと。」

(うわぁ、不安しかない。)


 駄犬鳥は凄まじい速さでこちらへ一直線に走ってくる。突進を食らってはたまらないので、突っ込んで来たところを避ける。避けるとそのまま遥か彼方へ走り去ってしまった。……えぇ。


(やっぱり無理だったか……)

(ちょっと、仲間にしてあげるんじゃなかったの?)

「いや、だって避けたらそのままどっか行くとか想像するか⁈普通。」

(まぁ、逃げたものは仕方ない。また走ってくるだろう。多分。)

「そうそう。」

(まぁ、しかたないか……)


 モンスターの危機を退けた俺たちは、先程浮上した新たな問題を解決することにした。


「アリスを会話に入れてやるのが今の最重要問題だと思う。」

(たしかに。テレパシー的なのは無いの?)

「あの、気にしなくてもいいんですよ?」

「いや、こっちが気にするし。蒼太と雄岐も一緒に喋りたいって言ってるし。」

(さて、アリスはボケか、それともツッコミか…)

(ボケはやめて。ツッコミじゃなくていいからせめてボケないで……)

「……ふーむ。念話なるスキルがあるぞ?」

(いつもどうやってスキル探してるの?)

「スキルって書いてあるとこがステータスにあるだろ?そこをタップすると入力欄が出てきて、そこにスキルの名前を書いて、そのスキルがあるかどうかを調べる。」

(うえ、なんかめんどい。)

「めんどいとか言うなよ。その検索無い方がしんどいぞ?絶対。」

(その念話のスキルがあれば人間の街に行っても大丈夫だな。)

「え?」

(無いと大丈夫じゃないの?)

(人間の街で俺たちと喋るつもりなのか?変人だ、って警察に突き出されるぞ?)

「お前らが黙ってればいい話だな。」

(うわ、それはひどい。)


 念話のスキルは普通のスキルとは違い、レベルが上がらない。念話スキルは何度でも取ることができ、スキル一つで十人を連絡先として登録することが可能であり、基本みんなが持っているものらしい。1片方がスキルを所有していて両者が念話相手として承認している場合なら連絡先に登録できる。アリスが言ってた。


(んんっ、あー、あー。えー、こちら海翔ー、聞こえてますかー、どうぞー。)

(んんっ、こちら雄岐。こっちは大丈夫だ。どうぞ。)

(え、ええっと…こ、こちらアリス。聞こえてます。どうぞ?)

(真似しなくていいのに…まあいいや。これでアリスとも喋れるね。僕は蒼太。今はなんだかわかんないけど指輪やってます。)

(俺は雄岐。腕輪だ。)

(よろしくお願いします。蒼太さん。雄岐さん。)


 自己紹介を済ませ、次の階層への階段とさっきの駄犬鳥を探す為、草原の探索を再開した。


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