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草原の悪くないスライム

 澄み渡る空、青々と茂る草木。階段の先には美しい草原が広がっていた。


「おぉ、草原的なとこだ。てか草原そのままだ。」

(え、なんで?どうなってるの?)

(安心しろ。俺も分からん。)

「どこでもドア的な感じなのを魔法で良い感じに作り上げたんじゃね?」

(魔法が万能過ぎる件。)

(鈍器が脳天にぶつかっても生きてるんだ。この世界では基本なんでもありだと思った方がいい。)

「この世界で気づいたんだが、俺たちまだこっちに来て半日経ってないんだな。」

(なんか色々あったねぇ。ゴブリンを虐殺したり、ゴブリンを皆殺しにしたり、ゴブリンの群れを壊滅させたり、ゴブリンキングを瞬殺したり。)

「あれ?めっちゃ殺してない?それ地球人的にどうなの?」

(見た目が悪魔だからな。俺たちも無機物だし。人間性とかそんな事を言われても困る。)

(郷に入れば郷に従え、ならぬ郷に入ったら従っちゃったって感じだね。)


 異世界の不思議について語りながら草原をウロウロとしてみる。ところどころに林があるだけで何も無い。階段も、モンスターさえ見当たらないのだ。もはやただの一人ピクニックに来た可哀想な奴状態である。モンスターはいったいどこにいるのだろうか。


「ウェア イズ モンスター!」

(Where is monster?)

(……発音が綺麗でムカつく。)

「良いのか?お前たちがそのつもりなら俺は堂々とここでBBQやるぞ?」

(うわぁ、一人BBQとか………ボッチでもしないと思うよ?)

「いや、しねぇからな?そもそも肉無いし。」



 歩き始めて一時間ほどが経った。どこもかしこも草草草wwww。草生やしてないとやってらんねぇ……。この階層にはモンスターが出ないのかと思い、一旦休憩しようとした時、前方に何やら動く物を発見した。近づいてみるとドロドロしていてキモい。


「お、第一動物発見。」

(え?動物?)

(スライムだな。)

「スライムってこう、もっと愛くるしい感じじゃないのか?ドロドロとか聞いてない。」

(鳥山明のだけね。)

「これどこ斬ればいいんだ?燃やすか?」

(あれ使ってみたらどうだ?新しいスキル。)

(あぁ、あの時さらっと流したあれね。…あれ?なんだっけ?)

「えー、たしか契約と、自己再生と、打撃耐性……あ、これじゃね?あの時死ななかったの。」

(Lv.10だからな。ほぼ無効に近かったんだろう。ステータスも高いし。)

(この場で試せるのは契約くらいかな?)

「スライムと契約、つまりスライムが仲間になりたそうにこちらを見るってことだろ?」

(そうだね。)

「スライム…………つまりあれか。最後は火を吹くようになるんだな?」

(レベル99まで上げれば、な。)

(その前に進化するでしょ……)

「なんかよく見ればキモ可愛いと言えなくもないかもしれない気がしてなくもない。」

(それほとんどしてないよね。でもまぁ、仲間は多い方がいいんじゃない?)

「よし。なぁ、スライム。」

「ピ?」

(スライムってピって鳴くんだな。)

(ちょっと静かにしてようね。)

『俺と契約して人外美少女になってくれよ。』


 スライムが仲間になりたそうにこちらを見だしたような気がしたので、ゆっくりと手を伸ばし、優しく触れてみる。液体と固体の中間やや固体より、といった感じの感触で、ツルツルした手触りで気持ちいい。ぜひ一匹ペットに欲しい。


(そんなのでいけるんだ……)

(いきなり美少女とは……気が早いな。)

(そもそも美少女にならないでしょ。)

「いや、頑張ればなれる。な、アリス。」

「ピ?」

(え、アリスってスライムの名前?)

「そうだが?」

(美少女っぽい……)

「だろ?お前は美少女だって言い続けて育てればきっと、いつかは美少女に進化してくれるに違いない。」

(美少女以前にこいつは自我があるのか?)

「あるに決まってるだろ?な、アリス。」

「ピ?ピキィ!」

「ほら、なんか張り切ってるし大丈夫だろ。」

(翻訳こんにゃく的なスキル無いの?)

「全言語翻訳なるスキルがある。」

(ピキィ、は言語なのか?)

「多分。きっと。そうだったらいいな。」

(まぁ、とりあえずそれ取っといたら?これから異世界で暮らすことになるんだろうし。取って損は無いと思うよ。)

「そうだな。………よし、アリス。どうだ?」

「?」

(おぉ、なんか喋れそうな気がする。)

(よし、もっと難しい質問をしてみてくれ。)

「了解。アリス、集団的自衛権についてどう思う?」

「????」

(そうゆう意味じゃない。)

「わかってるってジョークにきまって……」

「集団での自衛、つまり群れでの行動ということですよね?それの権利……ですか。」

「……え、やだ。うちの子賢すぎ。ちょっと違うけど。」

(え、もしかして転生者?)

「それはないだろ。な、アリス。」

「な、と言われましても…先程からいったいどなたとお話ししているんですか?」

(あれ、もしかして僕の声聞こえてない?おーい。)

(お茶。)

(シャラップ!)

「そうか。聞こえないのか……」

「精霊とかですか?」

「いや、指輪と腕輪の声だ。」

「へ?指輪と腕輪の声?」

「あー、あれだよ。ほら、頭の中に語りかけてくる、というか……」

「ええ!呪いの装備じゃないですか!」

「そうだな。ある意味呪われてるな。取れないし。」

「腕輪と指輪、特に指輪はどこに⁈」

「え、左腕と右中指だけど?」

「右手の中指なら大丈夫ですね。さすがご主人様。」

「右中指なら大丈夫なのか?」

「右中指に指輪をはめるのは邪気を払う効果があるとされています。その指輪が呪いの指輪であったとしてもご主人様を邪悪なるものから守ってくれるでしょう。」

「おぉ、あの時の俺まじファインプレー。」

(ねぇ、さっきからひどくない?人権侵害だよ?名誉毀損だよ?)

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