君と僕
掲載日:2017/05/16
まるでぼくだね。
伏し目がちに話す君。
鏡を見ているようだよ。
途切れとぎれの話し声。
少し長い空白。
欲張った洗濯機が歩きそうな音を出す。
君と僕で引っ張りあう静寂。
僕は目を反らし、君は目を伏せる。
大好きだよ。声には出せないけど。
虚ろに見える日常、君も見てるのかな?
そうだろう。その仕草。
そうなんだね。繋がっているんだね。
聞こえるよ、君の声。
何が言いたいのか、何を秘めているのか。
がんじがらめに絡まった思い。
まるでぼくだよ。洗濯機の渦が今日の跡を消していく。
静寂に溺れる言葉たち。
救い出す術は、未だ見つけられず。失語の淵に立つ鏡。
ぼくときみの間に流れる空白。
安心してほしい。
君の思いは聞こえている。それは断言する。
会わせ鏡で弄ばれる君と僕。
まるで永遠の痛みを見せられるように。
今日の洗濯が終わった。
完璧な静寂。君と僕とのいつもの空間。
伏し目がちに君が話しだす。
僕の視線が君を見つける。
安心してほしい。僕はいつでも君の声を聞いている。
失語の淵に立つ鏡は、抱えて僕が木っ端微塵にしてみせる。
それが、僕ではない君の証明。




