表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サイコヘイトの能力者  作者:
序章
7/42

第6話 「強すぎる戦士と強がりな売女」

かつてエデン王家が統治していたオスト国は大陸の最東端にある。

北西のノルデン国、西のヴェスト国、南のズゥード国の3つの国と隣接している。

隣接している3つの国は互いに敵対関係にあるが、オスト国は中立の立場を保っていた。


一年前、オスト国の国王であるエデン・ヨアシュとその後継者であるエデン・アダムが地方貴族のバベル家によって抹殺され、王家はエデン王家からバベル王家に交代した。


今まで隣国から中立を保っていたオスト国だが、王家が交代してからその姿勢も改めた。

今まで戦争をしない平和主義の国だったため、国力も伸びないし技術力も進歩しなかった。

なので今更姿勢を変えたところで他国の侵害を受けるだけになる。

そのためオスト国は、歴史的に最も国力が高いが資源の枯渇で国力が低下しはじめている北西のノルデン国と同盟を結んだ。

国力の低いオスト国が国力の高いノルデン国と同盟を結べたのは別にオスト国が資源が豊富などという理由ではない。オスト国の資源の量は他の国と大して変わらない。

ノルデン国がオスト国と同盟を結んだのは、国力の最も低いと思われるオスト国が実は最も高い技術を持っているからである。







オスト国の東の海、陸からかなり離れた海の真中の小さな島。森に囲まれたその島の西側、海に面して人工の白い四角い大きな建物がある。

その建物の上空に白い円盤状の飛行物体が表れた。

その飛行物体がゆっくりと建物まで降下すると建物の屋根が横に開いた。

開いた屋根の中にゆっくりと飛行物体が収まっていき、建物の中に飛行物体が収まるとゆっくりと建物の屋根が閉まった。


建物の中、倉庫のような広い空間の天上の照明が点灯し、白い円盤状の物体のハッチが開いた。



「うわっはぁぁい!!帰ってきたぁぁ!!」



中から出てきた長身の茶髪の女はそう叫ぶと、再び物体の中に入っていった。

中の廊下をドタドタ駆け抜け、螺旋の階段を上り、いくつも二段ベッドの並んでる部屋に飛び入るとそこで寝てる金髪の癖毛頭の男に駆け寄った。



「レイダ!起きて!着いたよ!!」



男の肩を揺さぶると男は眠そうに目を擦りながら上半身だけを起こして女の方を眠そうな目で見た。



「ハァ……」



男はため息をついて頭を押さえると再び体を倒して目を閉じた。



「ん~!!ダメだって!!ちゃんと起きないと!!朝ごはん作ってやらないよ!!?」



そう叫んだ女は男の腕を掴んで無理矢理ベッドから引っ張り出し、靴も履かせずに部屋から飛び出し、階段を下り、廊下を走って物体の外に出た。



「ね?帰ってきたでょ?」


「あぁ、わかったから落ち着け。」



頭を押さえるため息をついた男はハッチの階段を下り始めた。

女もそれに続いて階段を下り、階段を下りると建物の西側の壁についてる扉に向かって走りだした。


扉を開き、外にでるとバルコニーから広大な水平線とそれに浮かぶ朝日が見えた。



「ねぇレイダ、これすっごく綺麗で壮大だよね。そう思うでしょ?」



そう言って振り替えるも男の姿はない。

男がいないことに不満を持った女は頬を膨らませ、開いた扉に顔を突っこみ、もう一度「レイダー!!」と叫んだ。

その数後、めんどくさそうに頭をかきむしりながら男は扉に向かって歩いてきた。



「なんだよさっきから…帰ってきたんだからゆっくりさせろよ。」


「なによ、さっきまでずっと寝てたくせに。」



不満に満ちた目で男を睨んだ女は扉から再び建物の中に入り、勢いをつけて扉を締めた。


女が建物に入った後、男はため息をついてバルコニーの柵の上で頬杖をつき、水平線から昇る朝日を眺めた。



「これ…そんなに綺麗か…?」









男の名前はスキアドラム・レイダ。

実力主義のオスト国で能力者でありながら14歳にしてエデン王家直属の家来となった。それが3年ほど前の話。

王からの信頼も厚く、2年前から極秘である惑星の調査に出ていて今日、一時的に戻ってきた。


一緒にいる女はセヴァと呼ばれている。

彼女もまた、エデン王家の直属の家来であった。









「王家が変わったかぁ…まためんどくさいなぁ…」



頭を押さえてため息をつくと、レイダは建物の中に入っていった。


地下へ続く螺旋の階段を下りて行き、下りた先の扉に指紋、角膜、暗証番号を入力し、開いた扉の先の部屋に入った。



「レイダぁ、どーするの?」



黒いソファに寝そべったセヴァはコーヒーカップを片手に少しニヤついた顔でレイダを見つめている。



「なにが?」


「王家が変わったんでしょ?しかもバベル家だとか。」


「あぁ…ほんとめんどくさいな…」



頭を押さえてため息をついたレイダはセヴァの寝そべっているソファの机を挟んで向かいのソファに腰をかけた。



「あ、そこコーヒー淹れといたから。」


「あぁ、助かる。」



セヴァの指差した机の上のコーヒーカップを片手に取り、ゆっくりと口に運んだ。



「とりあえず、最優先事項は俺達の地位とポストの確立だ。それがないと話にならない。」


「え?それじゃぁエデン王家からバベル王家に乗り換えるの?」


「あぁ、とりあえず明日王城に行って王様に掛け合ってみる。新しい王様は確か…バベル・イエフだったか」



コーヒーカップをソーサーに戻し、頭を押さえてため息をついた。



「私はどーしよっか?」


「そうだな…二人ともバベル王家についたら行動範囲も狭まるしな…お前は王様への顔出しは無しだ。」


「はーい!」



寝そべった体勢から立ち上がったセヴァは飲み終えた自分のコーヒーカップとレイダのコーヒーカップを持って台所に軽いステップを踏みながら歩いていった。

だるそうに腰をあげたレイダは壁にいくつか掛かっている鍵のうちの1つを手に取り、セヴァの向かった台所へ向かった。


台所ではセヴァがコーヒーカップを洗っている。



「セヴァ、俺は調査の報告の資料作っとくから先にそこで待ってろ。」


「資料作りかぁ、大変だね」



コーヒーカップを食器棚に置くとセヴァはレイダから鍵を受け取った。



「なんで02番?」


「新しい王城がその近くにできたんだよ。」


「I see.」



受け取った鍵を指に掛けてクルクル回しながらセヴァは部屋を出ていった。

階段をさらに下に下り、最下層の部屋の鉄の扉に暗証番号、指紋、角膜、さらに顔認証、血液認証、DNA認証をすると扉が開いた。



「ここのロック厳重すぎでしょ。」



そんな愚痴をたれながら開いた扉の中へ入った。

その部屋には高さ3メートル、幅1メートルほどの鉄の柱が等間隔に6本ならんでいる。



「えぇと2番にばん…」



6本の柱のうち3本目と4本目を指差し、柱の鍵穴にレイダから受け取った鍵をさして暗証番号を入力して鍵を抜いた。

すると柱と柱の間に虹色のひらひらした光のカーテンのようなものがかかった。



「セヴァ、行っきまーす!!」



無駄にそう叫んだセヴァは軽いステップを踏みながら光の中へ飛び込んだ。







一年前、王家が入れ代わったとき、田舎にあった王城は都会に移された。

古い王城とは違い5メートルほどの壁に囲まれた新しい王城は警備も防犯設備も厳重で、ネズミの一匹ですら侵入できないだろう。


王城から西に2キロメートルほど離れた2階建ての四角い白い建物の地下の部屋、2本の柱の間に眩い閃光が走るとそこにセヴァの姿が現れた。

軽いステップを踏み、鼻歌を歌いながら出てきたセヴァは出口の鉄の扉に手を掛けると後ろを振り返り、フゥと息を吐いた。



「こんな技術、国にバレたらどーなるのかな。」



扉を開き、螺旋の階段を両手を広げてドタドタと走って上り、直線の廊下を走り抜き、さらに別の階段を上り、突き当たりの部屋の扉を勢いよく開けるとそのままベッドに飛び込んだ。



「おやすみー!!」



誰に言うわけでもなくそう叫ぶと目を閉じて眠りについた。








「おい、セヴァ、起きろ」



体を揺すられて目を覚ますとそこにはレイダがいた。

眠そうに目を擦りながら体を起こしたセヴァは枕元に置いてある時計を見た。



「あれ、私1時間前にタイムスリップした?」


「馬鹿か。一日中寝てたんだろ」


「ありゃぁ」



体を伸ばして大きな欠伸をすると、ベッドから下りてもう一度大きな欠伸をした。



「あれ、もう朝ごはん食べた?」


「あぁ、もう食べた。俺今から王城で王様に会ってくるから。」



レイダはそう言って部屋から出ていった。


一人になった部屋の中でセヴァはベッドに腰をかけた。



「王家が変わった…つまり、後継者は死んだ…」



座ったまま手を伸ばし、本棚から表紙の分厚い本を取り出した。

本のページをめくりながら写真を眺め、ある写真を見た瞬間手を止めた。



「あ、これ」



その写真にはボロボロの家畜小屋の前でめんどくさそうな顔でカメラを睨む癖毛の金髪の男と笑顔でカメラにVの字を向ける長身の茶髪の女、そして、暗い表情でカメラから目を剃らす長い青髪の少女のような少年。



「あの子も…死んじゃったのかな…」



少し暗い声でそう呟いたが、すぐに首を横に振った。



「ううん、あの子がそう簡単に殺されるわけないよね」



アルバムを閉じて本棚に戻すと、もう一度大きな欠伸をして立ち上がった。



「朝ごはんでも食べよっか」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ