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サイコヘイトの能力者  作者:
新生活
35/42

第34話「ルツのお友達」

 ルツがイギリスに来て一月ほど経った頃。

 ルツは家に帰宅し、玄関の扉に触れた途端感じた。誰かいる。

 セヴァは同居してるから当然として、それ以外に二人いる。

 

 

 「もしかして…」

 

 

 重い動きで扉を開く。扉の音に反応してか、すぐに声が聞こえてきた。

 

 

 「あ、ルツ帰ってきたみたい」

 

 「やっと? おっそいなぁ」

 

 

 別に彼らのことが嫌いなわけではやいが、何というか、気恥ずかしい。

 彼らがいるのはルツの部屋。ルツは自分の部屋には入らずに、通りすぎようとした。

 

 

 「ルツ帰ってきたの?部屋来るの遅くない?」

 

 「多分トイレにでも行ってるんだろ。長いし多分━━━━」

 

 

 そんな会話が聞こえてきたので、とっさに部屋の扉をバタンと開いた。

 部屋にはセヴァと、その向かいに座ってる男女が二人。ルツの学校の同学年の友達で、二人とも能力者だ。

 

 

 「おかえり、ルツ。ちょっとお邪魔してるよ」

 

 

 そう言ったのは女の方。金髪の肩にかかる程度の長さの軽いくせ毛が特徴的。名前はエレン・アップルカーゼ。

 

 

 「あ、うん、いらっしゃい。来るなら事前に言ってほしいんだけど」

 

 「エレンが内緒で来たいって言ったんだ。家の場所は俺の能力で追跡した」

 

 

 そう言ったのは男の方。黒い乱れた髪、睨むようなつり目が特徴的。名前はエリ・ヒル。

 彼が言った能力とは、ハルと同じ能力視。どうやらこの能力は、能力者の能力を判別する以外にも、暗い所でも見えたり、残留した見えないものを見たりすることができるみたいだ。

 

 

 「というかルツ、お姉さんいたんだね。ひとりっ子っぽいのに」

 

 「え…?」

 

 

 セヴァの方を見ると、相変わらずニヤニヤしている。ルツはセヴァのところに寄って耳元で囁く。

 

 

 「セヴァ、なんで姉なの…!?」

 

 「いやぁ、昔から妹が欲しかったんだぁ」

 

 「そんなテキトウな設定で…」

 

 

 ルツは小さくため息を吐くと、もう一度二人の方を見て話を建て直す。

 

 

 「エレン違うよ、これは姉じゃなくて親戚の人」

 

 「え?そうなの?でもルツの姉だって」

 

 「セヴァは馬鹿だから。本物の姉だって勘違いしてる」

 

 「なにそれ、おもしろ」

 

 

 その会話を聞いて、セヴァは不満そうにルツを見ている。それに対してルツも、早く部屋から出ていけと言わんばかりに視線を返す。

 

 

 「わかったわかった、出ていくよ。それじゃ、お邪魔しましたぁ」

 

 

 セヴァが出ていくのを冷たい目で見送る。と言うより、それ以外に目を向けにくい。今まで友達なんてできたことなかったし、どう接すればいいのかわからない。ハルとは友達と言うより家族みたいなものだったし。

 

 

 「家族みたいって…アハハァ照れるなぁ…」

 

 

 今変な独り言を言ってしまったのも余計に気不味い。

 とりあえず、お菓子でも出そうか。いや既にセヴァが出してるみたいだ。

 とりあえず、何か話題をぉ…

 

 

 「エレンって、門限厳しいんじゃなかったっけ?大丈夫なの?」

 

 「……!!」

 

 

 エレンの表情が一変して凍った。何か言ってはいけないことを言ってしまった気がする。

 

 

 「アハハ、別に1日くらい大丈夫だって。後でしこたま怒られるくらいだし」

 

 「そ、そう…?」

 

 

 確かに怒られるのは嫌だろうが、さっきの表情はそんな程度のものではなかったような気がする。

 とは言え詮索するのは良くない。話題を切り替えよう。

 

 

 「あの、エリは家で妹達が待ってるんじゃ?」

 

 「大丈夫。妹達の面倒はルナが見てくれる」

 

 

 ルナと言うのはエリの家族の長女で妹だ。

 そんなことよりさっきから私、早く帰って欲しそうな話題ばかりしてるじゃないか。こんなんじゃダメだ。

 

 

 「あの、今度のテストのために勉強でもする? エリももう受験でしょ?」

 

 「……」

 

 

 二人とも無反応だ。

 ダメだせっかく遊びに来てくれたのに勉強って。ハルは、智識と充実感は比例するって言ってたけど。

 

 

 「じょ、冗談だって。それじゃぁ…何かして遊ぶ…?えぇとその…」

 

 

 地球のメジャーな遊びがパッと思い浮かばない。やっぱり研究不足みたいだった。こういう時、ハルならぱぱっと何か思い付くんだろうなぁ…

 

 

 「ふふふ、お困りのようだね」

 

 

 また鬱陶しい声が扉の向こうから聞こえてきた。さっき追い返したばかりなのに。

 

 

 「こういう時は、あの有名な“配管工で爬虫類を踏み潰すゲーム”でもしないかい?」

 

 

 そう言ったセヴァの腕にはテレビゲームのハードが抱えられている。

 

 

 「いいね、配管工で爬虫類を踏み潰すゲーム。私得意だよ」

 

 「配管工で爬虫類を踏み潰すゲームか。まぁ、やったことはあるな。やるか」

 

 

 エレンもエリも乗り気だ。

 ちなみにルツは配管工で爬虫類を踏み潰すゲームをやったことがない。ゲームが下手なのを晒す未来が見える。

 

 

 「え…配管工で爬虫類を踏み潰すゲームはちょっと…」

 

 「え?なに?」

 

 「いや…何でもない。配管工で爬虫類を踏み潰すゲームやろうか、はは…」

 

 

 流石にこの楽しい雰囲気を壊すわけにもいかない。

 まあ、配管工で爬虫類を踏み潰すゲームなんてやれば慣れるだろう。

 とか思ったけど全然できなかった。二時間ほど4人で遊んだが、ルツはいっこうに皆の足を引っ張るばかりだった。

 結局ルツは配管工で爬虫類を踏み潰すゲームで何もできないまま、二人は家に帰った。

 二人が帰った後、ルツはベッドの上に横たわって呻いている。

 

 

 「ルツ、どうしたの?」

 

 「なんか…疲れた…お風呂入って寝る…」

 

 

 ルツはゆっくりと起き上がり、ベッドから降りると、ふらふらと部屋から出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 エレンは自らの家の玄関の前に立っている。

 虚ろな目で鉄の扉を見つめ、震える両手を胸に当てている。大きなため息をつくと、ゆっくりと扉に手を伸ばす。

 開かれた扉から漂う異臭、埃だらけの空気、生暖かい風、それらを掻き分けながら入っていく。

 

 

 「エレン!! 遅いぞ!! 殺されてぇのか!!?」

 

 

 奥から聞こえてきた怒号に足が止まる。足が震えて動かない。それでも無理矢理足を動かし、奥へと歩んで行った。

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