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入学式の日

姉、風見涼歌が姿を消したのは俺が中学の入学式に行った日の深夜だった。


眠っている俺の枕元に涼歌姉ぇが来て、


「祥綺のことはお姉ちゃんが守るから……」


そう言って部屋を出ていったことは3年たった今でもよく覚えている。


両親が共働きで家にはいつも俺と涼歌姉ぇ二人だったせいか、何かある度に涼歌姉ぇは俺のことを祝ってくれた。


誕生日はもちろん、入学式や卒業式、学校のテストでいい点をとれたという些細なことでも涼歌姉ぇは祝ってくれた。


俺はそんな涼歌姉ぇが大好きだった。


だからその時は涼歌姉ぇが居なくなるなんて思わなかった。


その言葉を聴いた次の日、涼歌姉ぇが居ないことに気付いた。


家の中を隅々まで探しても見付からず、仕事から帰ってきていた母に聞くと、


「誰その子、新しいお友達?」


その時悪い予感がした俺は頭の上に疑問符を浮かべている母を置いて、慌てて自分の部屋に戻りアルバムを開いた。


そして俺はその時に涼歌姉ぇが消えたことを確信した。


俺の大好きだった姉、風見涼歌の姿がどの写真にも見当たらなかった。


今日はそんなことがあった日に似ている。


そんなことを考えながら俺は高校生活最初のイベント、入学式に向かった。



入学式が終わってクラスで自己紹介をした後、夕飯の材料を買ってから家に帰ろうとしたとき、異変が起きた。


まだ昼だというのに外は暗く、俺以外の人が一人もいなくなっていた。


突然、何か重いものが倒れたような音がした。


その音の方向を向くと遠くで電信柱が倒れていた。


何が起きたのか全然解らなかった。


ただ一つ解ったことがあった。


何かがこっちに来るということが。


何かが電信柱や家の外壁を破壊しながら近づいてくることに。


暫くして音は止んだ。


その瞬間、いつの間にか腰を抜かしていた俺の前に音の元凶らしきやつは姿を表した。


その姿はまるで蟷螂を巨大化させたような姿だった。


そいつは俺を凝視していた。


俺は恐怖した。


アニメや漫画に出てくるような化物が今目の前にいることに。


声も出なかった。


ただ震えることしかできなかった俺を見飽きたのか、そいつは腕から生えている鎌を振り下ろした。


痛みはなかった。


振り下ろされた鎌は余りに速く、俺は何が起きたのか気づく前に蟷螂の化け物に殺された。

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