エピローグとは名ばかりのプロローグ
「あぁ、素敵。これこそワタシの人生の潤い! 素敵!」
死体の女は甲高い声で楽しそうに喚き散らしている。誰もいないこの薄暗い路地裏で、女はドロドロとした血液を頭から流しながら、女は生きていた。まぁ、すぐ死ぬのだが。
女は楽しくなるとすぐに死にたがる。それを僕は知っている。嫌悪すべき悪趣味だ。本当に死ねばいいのに。
「やぁ。ていうか、いつまでもワタシを見下して喜んでないで、助けてくれないのかい?」
「嫌です。拒否します。貴女の生存を否定します」
「酷いなぁ。じゃあ、ワタシが死ぬまでそこで見ててくださいね」
うわ、悪趣味だわ。最悪。なんで僕はこの人と一緒にいるんだろう。過去の自分に疑問を抱くよ。あーあ。この人も、最悪だけど、魔女団の日本進出に伴って、三羽市に集まろうとしている奴等も、相当最悪だった。二度と顔を見たくない。
そう。あの、卵を丸飲みする男も、
あの、変態パパラッチも、
あの、全身真っ赤な放火魔野郎も、
あの、気持ち悪いカップルも、
あの、脳筋女子高生も、
あの、怪しげな花屋も、
あの、男嫌いの妹も、
あの、めっちゃ怖いヤーさんも、
あの、友達思いの親友も、
あの、人気アイドルも、
そして、魔女団も、
数え出したらキリがない奴等も、いずれはすべてごった返して、三羽市にあらゆる混乱をまき散らす。僕は、それをこの狂った死にたがりの女と一緒に見守ることが、生存目的。
というか、いつの間にかこの女、東城魚々子は息絶えていた。でもまぁ、すぐに生き返るんですけどね。
ほら起き上がった。
「よっこいしょ。あー、すっきりした」
「その悪趣味やめろ。一緒にいるのが不快になる。今も不快。不愉快」
「あははは。やめてよ、その辛辣ツンデレ」
「デレはありません。死ね」
「はいはい。じゃあ、そろそろワタシ達も行こうか、ミズキちゃん?」
不愉快です。オマエは、僕を呼ぶ時にその名前で呼ぶな、とあれほど言ったのに。マジ潰す。
こんなやりとりが、裏であったとか、なかったとか。そんなことは知ったこっちゃない。何故なら、全部始まるからだ。3年後には、三羽市で、すべてが。
「楽しみだね、全部ぜんぶ、混乱してぐちゃぐちゃになって、壊れちゃえばいいわ」




