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aotohana  作者: aotohana
6/9

高3*aotohana



部屋に入ったら涙とまらなくなった。



すごくこわい


会ったら「別れよう」って言われそうで…


蒼叶に会いたくない。



朝…起きようと思ったけど、起きれなかった。


寝れなかったせいかなって思ったけど…

なんか身体あつい…


そのまま高熱を出して私は寝込んでしまった。







学校を3日も休んでしまった。37°2…まだ熱っぽい。

彼と会わなくてすむのは、正直心のどこかでほっとした。でも、時間が経つと、余計にどうしていいか分からなくなってしまう。


ほっとしたり、悩んだり…いっそ考えるのをやめてしまいたいのに…


彼の優しい瞳を思い出して…


会いたくなる…


矛盾してる。


最後に見た、彼の揺れる瞳は…どうして?

何を考えてたの?



あれぐらいで、泣くなんて

蒼叶は呆れたのかも知れない。

私が子どもすぎて…。





夕方…熱このまま下がらないといいな…。

心が不安でいっぱいなる。


「花にも俺ってそういう奴に見えるんだな…」


私ね、蒼叶を好きになって、付き合うようになったら…キスしてた彼女にやきもち妬いてた。


あ…違うや…蒼叶がキスした事実が悲しかったんだ。

私と付き合う前のことだから、しょうがないのに。



慣れてる蒼叶が悲しかった…ぎゅって苦しくなるんだ。



やっぱり、蒼叶のこと信じきれてなかった。

噂を聞いて…分からなくなった。

蒼叶が怒って当然だ。

ちゃんと、彼に聞けばよかったのに、勇気がなかった。


彼のこと、ちゃんと知ろうとしなかった。



スマホを無意識に触ってる。

何を期待してるんだろ…

彼からのメールはない。





身体が熱をもってて…うとうと…考えることができなくなった時…


スマホが鳴った。


一気に現実に戻る。あわてて画面をみると…

ユミちゃんからのメールだった。


「具合どう?なかなか熱さがらないんだよね、心配だよ ( ノД`)今日お見舞い行っても平気?」



「心配ごめんね。お見舞いいの?ありがと(^_^)v」



ユミちゃんにホントは相談したいけど…

やっぱダメだ…。なんか、相談しちゃったら、蒼叶と戻れない気がする。自分で考えなきゃ…。




「花~入って平気?」


数回のノック、ユミちゃんの声が聞こえた。

パジャマ姿だけど、いいよね…カーディガンだけはおる。


ベッドから立ち上がり、ドアをあけると、ユミちゃんがいた。



「花~平気?まだ熱あるの?あ、ゼリー買ってきたから食べてね、食欲ある?」



「熱はまだちょっとだけ、でも元気だよ~、あっ、ゼリーありがと」


どれがいい?これ?ユミちゃんと選んでいると…




「おい、片瀬、俺たちいつ入ればいいんだよ」


ハセくんが顔をのぞかせた。


「ハセくん!?え?ユミちゃんと来てくれたの?」


ユミちゃんとハセくん、いつの間に仲良くなったんかな…。


「あ~そうだった。ねぇ、ハセくんと田崎も部屋入れてもいい?嫌なら帰らせるから」



田崎?…今、ユミちゃん、蒼叶のこと言った…?

まだ、心の準備できてないのに…



どうしよ…私がうつむいて答えないでいると…


「なぁ、やっぱ蒼叶帰るって」


あ…待って…違う


「入っていい…入っていいよ」





学校…花の姿はない。風邪をひいたらしい…。


今日ちゃんと話そうって思ってた…


けど、次の日も花は休みだった。そして次の日も…。


軽い風邪だと思っていた俺は、心配になった。

片瀬に聞いたのが間違いだった…


「え?田崎、花に連絡もしてないの?」


怒られた。冷たすぎるって。

で、見舞いに行くから一緒にこいって言われた。


半ば強引にハセと俺は連れてこられた。



正直心配してた。

けど、あんなことしたから…


家にくるとか、さすがに…どうかと思うんだけど。

あいつの具合がよくなったら、直接話すつもりでいたのに…





俺がいることを知った花は…


やっぱり会いたくない様子だった。

だよな…


当然なのに…胸が痛む。




まだ熱っぽいみたいだけど、顔を見てほっとした。

早めに切り上げて帰ろうとした…のに…



「あ…、蒼叶…」


花の声が聞こえた。





気づいたら呼び止めていた。


蒼叶と目が合う…まだ瞳揺れてる…


「片瀬、帰ろうぜ」

ハセくんがユミちゃんを連れて部屋を出てった。


パタン…ドアが閉まる。


……。


私たち黙ったままだ…。

だって、何て言っていいか分からない…




花の瞳がなんだか熱っぽい…


「なぁ、寝てた方がいいんじゃねぇの?」


「平気、ゼリー食べる」


「蒼叶はどれがいい?私はぶどう」



俺はコーヒー、花はぶどうのゼリーをゆっくりスプーンですくい食べる。


「おいしい…」


花が言ったのはそれだけで、後は黙ったままだ。


気まずいはずなのに…

小さなテーブルに向かいあって、無言でゼリーを食べている…なんかダメだ…


「ちょ、蒼叶、なに笑ってんの?」



「だって…お前、どう考えたって気まずいだろ、なんで俺たちゼリー食ってんだよ」


「だ…だって、ゼリー好きだし…」



笑う俺と、そんな俺に戸惑う花の目が合った。





あ…蒼叶の瞳が優しい…


私が好きな瞳…



「花…俺のこと、こえーって思う?やっぱ、あんなんして許せないよな…」


声優しい…。


こわくない…。今はこわくない…けど、あん時は…

こわかった。



「俺さ…花と…」



こわい…別れたくない…


「別れる気ないから」


え?



…彼をみたら


「許してくれるまで、待ってる…」


笑った。優しすぎて…涙がこぼれた。


「わ、わたしだって…わかれ…たくない」




「ごめん」





花は泣いた…。

ほんとは…涙ふいてやりたいけど、抱きしめたいけど…さわれない。


怖がらせるような気がするから…。



「花、横になっていいよ」


なんだか顔が赤い気がして…

ぜってぇ、熱上がってると思うんだけど



でも花はイヤだと言う。俺が帰るからだって…


はぁ…


「花、俺いるから、とりあえず、布団はいって」


話さないと何にも変わらねぇから…


花が布団に入ると…花から離れて俺はドアの近くに

座り直す。


「花…俺さ…」





別れる気ないって言ったよね…


でも、蒼叶は私から離れる…

距離をとろうとする…


また少し不安になった。


こわいって思ったのに…


あの時はこわいって思ったのに、今はぎゅってして欲しい…


私…変だ。






花は黙ったまま…俺の話を聞いていた。


「俺さ、昔…好きな奴いてさ…」


気持ち分かってやれなかったことで、傷つけていたこと。


別な子と付き合っても、どこか自分が中途半端だったこと。


そして…花をちゃんと好きになったこと…。



「ねぇ、その子のことまだ好き?」


「…もうそういう気持ちはない」


「そっか…」




蒼叶の話…彼が好きだった子の話。

ほんとは、聞きたくなかった。



ちょっぴり悲しかった。

けど…やっぱ聞けてよかった…。


そして…


「遊んでる奴」…そんなことなかった。

彼はクールでそんな風に見えないけど…実は傷つきやすくて、不器用なのかも…。


同じ…。


私たちの恋愛…おんなじだ。

違ってなかったんだよね?




「蒼叶…こっちきて…」


…?

花に呼ばれて、近づく。


「あ…あの…」


顔まっかにして


「キ…キス…して…ほしい…かも」


は?

……。




「私も…してほしいこという…た…たまには」


あー、もうっ…こいつ自覚あんのかな…。

今どんな顔して言ってるかって。



俺は彼女の唇に触れた。

軽いキス…


瞳が重なる…なんか照れてしまう。


「なぁ…もいっかいだけしていい?」


恥ずかしそうに、小さく彼女はうなずく。






2回目のキスはすこし長めのキス。


ドキドキが聞こえちゃうんじゃないかって…思う。


あ…、コーヒー…?




キスが終わると、彼は無邪気に笑う。


「マジ…ぶどう味」


蒼叶の発言に、私の体温はさらに上がった気がした。


きっと…明日も休みだ…。


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